以前ご紹介したサイクルリキシャでは、その乗り物がいかに乗りづらいものかということをお話し致しました。
そしてその際に「ニュータイプ」のサイクルリキシャも増えている、ということを付け加えておきましたので、今回はその新しいタイプのサイクルリキシャをご紹介致します。
はい、これです。後ろからの撮影でしたので、ちょっと分かりづらいかもしれませんが、何卒ご容赦下さい。
なにしろここは天下の観光地ジャイプールの中でも特に人気の高いハワーマハル(風の宮殿)の前なのです。
そんな観光地中の観光地では、みんなして観光客から金をぶったくろうと、鵜の目鷹の目魚の目で狙っているわけです。なのでうっかり「あっ、サイクルリキシャだ!」なんて感じで写真など撮ろうものなら、すかさずリキシャワーラーの右手が宙に浮き、「金くれ」なんて言われてしまうのです。
で、話を本題に戻しますと、このサイクルリキシャが「ニュータイプ」なわけですよ。
旧タイプとの大きな違いは、後部座席の作りです。
旧タイプが人力車をそのまま利用したのに対し、これは初めからサイクルリキシャとして設計され、製造されたことが、その後部座席の形から分かるのです。
椅子はとても座りやすそうな2シーターで、あまつさえ肘掛まで付いています。
さらに旧タイプではまず閉じられたことのない天蓋が、これには固定式ながら、いえ、それだけにしっかりと、天上より降り注ぐインドの厳しい日差しを遮っているではありませんか。
これはただ単に「乗り心地が良くなった」というだけの問題ではありません。
その背景には、インドもしっかりと着実に前進しているんだ!ということがうかがえるのです。
なぜなら、旧タイプのサイクルリキシャの設計コンセプトは、従来あるものを無駄にせず有効利用するということにあり、つまりそれは経済性を優先するあまり、乗客の快適性、安全性といった、本来公共交通機関が最優先に取り組むべき課題をないがしろにしていたというわけなのです!どん!
はあはあはあはあはあ・・・・
ちょっと興奮してしまいました。申し訳ありません。
それで、
ニュータイプのサイクルリキシャの設計において、ようやくそこら辺の改良がされたわけです。
おそらくサイクルリキシャメーカーの開発チームは、旧タイプのサイクルリキシャを使った衝突実験において、急停止による乗客の「前つんのめり現象」をダミー人形によって把握し、さらには車幅から大きくはみ出たダミー人形の腕が、隣を走るスクーターの男にぶつかり、言い争いになるという危険性を発見するなどのデータを積み重ね、改良に改良を加えてニュータイプを完成させたのです。
これはいうなれば、インドにおける「人間工学を取り入れたものつくり」の先駆的な例だと思うわけなのです。
ここ10年の経済発展でのみ「インドは決して悠久などではない」と語られがちですが、それ以前にも、こうした地道な取り組みがあったということを、想像の範囲ではありますが、みなさまにお伝えする次第なのであります。どん!
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