関西の人と話をしていると、ついこちらの言葉のイントネーションが変わってしまいます。
まるで大きな惑星の引力によってコースが微妙に変えられてしまう流星のように、「言葉」が引っ張られてしまうのです。
きれいな文章の本を読んだあとは、自分もそんな文章を書いてみたくなります。
その作品世界に引っ張られ、またそれを引きずりたくて、真似してみたりなんかするわけです。
今回この本を紹介するにあたり、その内容にふさわしい言葉を色々考えていました。
この本の文章が、とても透明感のある爽やかなものだったからです。
で・・・結果、長い時間無駄にしてしまいました。
ぜんぜん言葉が出て来ないのです。たぶんそういう才能がないのでしょう。
仕方がないので、いつも通りに書こうと思います。うん、そうしようそうしよう。
この本の著者は文筆家ではありません。
そしてこの表紙を始め数々の挿絵を自ら描く著者は、画家でもありません。
なんてうらやましい才能なんでしょう。
内容は、著者が行った2回の中央アジアへの旅の記録です。
そこで見たもの、出会った人々、感じたことなどが、力みの無い文章で、それでいて情熱的につづられています。
そして著者が旅先で出会う人々の、なんと温かいことでしょう。
それはきっと、著者の人柄が相手に伝わるからに違いありません。
笑顔の写真のこちら側には、やはり笑顔の撮影者がいるものです。
そんな雰囲気が全編に流れ、まるで中央アジアの爽やかな風に吹かれているような気分になる一冊です。
【参考】
題 名:「風をたべた日々」
著 者:渡邉義孝
出版社:日経BP社
価 格:1,800円
*発行は1996年と、ちょっと古い本です。
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