マッタンチェリーからフォート・コーチンに戻り、ちょっと遅めの昼食を取ることにしました。
行ったのはここ、四年前に泊まっていた宿「エリート・ホテル」です。インドでは「Hotel」の看板が出ていても宿ではなく、ただの食堂だったりすることも多いのですが、ここは両方ともやっています。ちなみに下の写真が四年前に泊まった部屋です。
エアコン付のトリプル(ダブルベッドx1、シングルベッドx1)の部屋なのですが、その時はそこしか空いておらず、1200ルピー(2010年当時で約2400円)で泊まりました。この部屋には大きな窓がありますが、母屋の瓦屋根しか見えません。
まあ見晴らしは悪いのですが、外から見られる心配もないということになります。で、その母屋が通りに面したレストラン&ベーカリーになっていて、その品ぞろえの良さから、宿泊者だけでなく別のホテルに泊まっている外国人旅行者などにもよく利用されているのです。これはココナッツ・ケーキ(15ルピー、約30円)です。
こういうスイーツが食べられるのも、外国人受けする理由なのでしょう。しかし私がわざわざこの店に来たのはケーキやパンを食べるためではありません。
私のお目当てはこれ、ビーフカレー(150ルピー、約300円)です。そんなことを言うと、
えっ? インドにビーフカレーがあるの?
と驚かれる方もあろうかと思います。
確かにインド国民の大多数が信仰するヒンドゥー教では、牛は神聖なる動物であり、殺して食べるなんてことはもっての外です。
しかしインドにはヒンドゥー教徒と比べたら少数派であっても、人数で見ると日本の人口と同じくらいのイスラム教徒もいますし、またここケララ州にはその歴史的背景からキリスト教徒も結構いるのです。
なのでいろいろな宗教が同居しているのと同様に、食材もいろいろあっても不思議ではないわけです。
ただしインドでは「ビーフ」と書いてあっても、本当に牛の肉かどうかはわからないのです。
一番可能性が高いのは水牛の肉で、そういう場合はちゃんと「バフ」( Buffalo の略)と明記している良心的な店もあります。ここエリート・ホテルのメニューには「バフ」ではなく「ビーフ」と書いてありますので、たぶん・・・おそらく・・・牛なのでしょう。
別注のプレーンライス(70ルピー、約140円)と合わせて皿に盛ると、ほ~ら、カレーライスの出来上がりだい!
お肉もごろごろ入っていてボンカレー・ゴールドのようです。
思わずあの往年のCMに出ていた少年のばか丁寧口調で、「王さん、どうしてボンカレー・ゴールドはおいしいのですか?」と言ってしまいそうになります。思えばあの頃は、日本国民みんなが牛肉に憧れていた時代であったのです。そんなインドのビーフカレーのお肉はなかなか噛みごたえがあります。
ボンカレー・ゴールドが牛肉以外のお肉をいっさい使用していないのに対し、もしかしたらこのエリートカレーは牛肉以外のお肉を使用しているのかもしれません。
でもいいのです、インドでビーフもしくはそれにごく近い種のお肉が食べられるのですから。
とまあ、そんなささやかなインドの食肉事情なのでありますが、最近のニュースではそれすら全面的に禁止すべしとの動きがあるのだとか・・・
だとするとノン・ベジの酒飲みには、ますます旅しづらい国になってしまうなあ、インドは。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]