「旅の楽しみはなんといっても食べること!」という人は多い。
その証拠に旅番組でも食事のシーンは必須項目となっている。
さらに移動中の車内ともなれば「食べることだけが楽しみ!」と言い切る人もいるほどである。
インド国鉄の誇るシャタブディ・エクスプレスは、そんな人たちの期待と胃袋を満足させるべく、食事のサービスがもれなく付いて来る。
そう、このサービスは “もれなく” なのである。
でも中にはそんなに食べることに重きを置いていない人もいるのである。
そう、私がそんな一人なのである。
まあ早朝出発の時はまだいいのであるが、夕刻出発の場合は疲れていて寝たい時もある。
特に私は移動中の楽しみを「外の景色を見ること」としている人間なので、暗くなってしまってはそれもできず、ならば寝てしまいたいと思うのである。
なのにシャタブディはそれを許さないのだ。
たとえば15時35分ラクナウ発、22時15分ニューデリー着のシャタブディで見てみると・・・
まず出発してすぐにペットボトル入りのミネラル・ウォーターとプラスチックカップ入りのニンブーパーニー(レモネードのようなもの)が配られる。ニンブーパーニーはさわやかな味でなかなかおいしいく、まだ明るい車窓の風景を垣間見ながら(あいにく窓側の席ではなかったのでよく見えないのだが)ありがたく頂いた。
17時になると軽食のサービスとなる。
内容はお茶にサンドイッチ、サモサにスイーツである。私としてはサンドイッチかサモサのどちらかひとつで充分である。なにしろ座ったままで体を動かしていないのだから。
また甘いものも付いて来るので、これを全部食べたらもう夕食はいらないと思うのだが、そうもいかないらしい。あくまでもこれは「軽食」なのである。
18時45分、次なるプレートが配られる。
これはスティック状のクラッカーとトマトスープである。トマトスープはスパイスが効いていて結構おいしい。
それに温度もちゃんと熱くしてあり、冷房の効いた車内ではなおさら体に染み渡るようでありがたい。
でもホント、もうこれくらいでいいから。どうぞお構いなく。
しかしシャタブディはこれくらいじゃ許してくれない。
20時40分、ついにメインの夕食が配られた。
内容は2種類のカレーにライス、それにチャパティである。食えないよ、こんなに・・・特にご飯とチャパティなんて、どちらかひとつにしてくれえ。
これは食後に配られたヨーグルトである。素焼きの壺に入っていてなかなかいい雰囲気である。
まあこれなら少々胃に膨満感があっても食べられるので、やれやれといったところである。
そしてとどめはアイスクリームである。これもヨーグルト同様、食べるのにそれほど難儀はしない代物であるが、なにしろ配られたのが21時25分である。良い子はこんな時間に冷たいアイスなんか食べないんだぞ。
とまあこんな感じでシャタブディ・エクスプレスは、食事の波状攻撃で乗客を眠らせてくれないのである。
もちろん私は食べることを一番の楽しみにしている人を非難もしないし、食べることは旅の大きな楽しみであるという意見も否定しない。
でもせめて、シャタブディ・エクスプレスやラージダニ・エクスプレス、そして多くの航空会社が行っている食事の一斉サービスはやめて頂き、その分料金を引き下げた上で別途有料の食事サービスを行って頂きたいと、切に願う次第なのである。
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