門をくぐり、その先の高い石の塀に挟まれた緩やかな坂道を登りますと、そこはもう宮殿のスペースです。ああ、なんて美しいのでしょう。
まさしくこの世の楽園といった感じです。
華麗な建物の前に広がる手入れの行きとどいた芝生の広場は、インドの太陽を受けまぶしいほど鮮やかな緑色を空中に放ち、
花は咲き乱れ鳥は舞い降り、リスたちは我が物顔で走りまわり、
心優しいおじさんはリスに餌をやり、
かわいいな、かわいいね、
そしておもむろに私たちに手のひらを差し伸べるおじさん、
って・・・
金取んのかい!
とまあ、そんな風についうっかりインド人のちゃっかり根性を忘れてしまうほどまったりとした雰囲気なわけなのですが、実はそんな極楽的雰囲気や自慢げな建物などはどうでもいいのです。
ここを訪れた一番の目的は、その最晩年を囚われの身として過ごしたシャー・ジャハンと同じ目線でタージマハルを眺めてみたいということだけなのです。
別にこんな大きなお椀のようなお風呂が見たかったのではないのです。なんだこんなもの! お前は目玉おやじか?
さてさて、それではそのシャー・ジャハンが日々タージマハルを眺めていたであろう場所、人呼んで「囚われの塔」はどこにあるのでしょうか。
はるばるここまで来たのですから、ぜひその場所に立ってタージマハルを眺め、少しでもシャー・ジャハンの気持ちを感じ取ってみたいものです。
と思いながら探しておりましたら、ありました、その右側の塔がそれらしいです。さっそく行ってみましょう。しかし!
なんということでしょう、そこは一般観光客は入れないではありませんか。
ああ・・・ここまで来たのに・・・
でもまあ入れないものはどうにも仕方ありませんので、なるべく同じ角度になるような場所からタージマハルを眺め、かつて愛妃のために国が傾くほどの富を捧げた愚かな・・・いえ、世にも情熱的な男がいたということに、思いを馳せてみようではありませんか。
*すべて2008年3月時点の情報です。
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