前回の両替のお話の最後に、「破れたお札のお話は、またの機会に」と書きましたが、大変お待たせ致しました、ついにその機会がやって参りました。
っつーかさあ、最近ますます物忘れがひどくなってきたので、忘れないうちに書いてしまおうっていうのが本当のところなのであります。
さて、インドのお札、特に庶民がよく使う小額紙幣には、破れたものや穴のあいたものがよくあります。お札が破損してしまう理由は、まあそれだけよく使われているということがあるのでしょうが、もうひとつの理由にお札をホッチキスでバッチン!と束ねてしまうということがあります。このホッチキス留めの札束は、ここ何年かで姿を消しつつありますが、それまではちゃんとした銀行などでも、お札を100枚ずつでっかいホッチキスでがっちり留めたりしておりました。
で、そんな穴が写真上のものです。
穴はたいてい透かしの部分にあいています。そしてホッチキス留めは銀行から市場に出回る時にだけ行われるのではなく、市場でも100枚集めてはまたバッチン!とホッチキス留めで札束にしたりしますので、何回もその「札束→解放→集積→バッチン!→札束」という輪廻を巡るうちに、あわれ透かしの部分には大きな穴があき、透かしではなく素通しになってしまうのであります。
ところがインド人はそんなお札の穴にはとても寛容で、指が入ってしまうほどの大きな穴があいていても気にせず受け取ってくれます。つまり写真上のお札は、インドでは問題なく流通するということです。さすが悠久の国インド、えらい!
しかしその一方で、お札の破れに対しては神経質すぎるほどの反応を見せ、たとえば写真下のお札などは、ほとんどの人が受け取りを拒否するのであります。
物質としての損壊具合は、どちらのお札も似たようなものなのですが、周囲をぐるっと囲まれている欠損と、その一部が外界とつながってしまっている欠損とで、こうも取扱いが違うというのが不思議でなりません。
もちろんインド政府並びに中央銀行としては、お札の一部欠損くらいで通貨としての価値をはく奪することはないでしょうから、大きなお店などでは破れたお札でも受け取ってくれます。
でも無用なトラブルを避けるため、両替所で渡されるお札、そしてお店などでおつりとして渡されるお札は、ジロジロと穴のあくほど見ることをお勧めするのであります。
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