道端に打ち捨てられた一台のポンコツ車。かつての華やかな活躍ぶりは見る影もなく、あとはスクラップを待つだけの悲しい運命・・・ な~んてね。そんなことを言っちゃあいけません。この車はまだまだ立派に現役で活躍しているのです。
この車は「テンポー」と呼ばれる三輪の乗合自動車です。
写真のものは、前輪とその上にあるエンジンを覆うべきカバーがありませんが、このテンポーはその風貌がゾウに似ていて、いかにもインドらしくていいのです。
そんな「鉄の象」はデリー辺りではとんと見かけませんが、ジャイプールやその近郊の街などでは今でもごくふつうにみることができます。
ただ、やはりかなり古いタイプの車と見え、最近では前輪カバーのないものが多く、大勢の乗客を乗せて走るその姿は、ちょっと痛々しく感じてしまうこともあります。ではこのテンポーの歴史はと申しますと、これはドイツの車メーカー”TEMPO”社のものがオリジナルであり、インドで走っているものはインドのメーカー”bajaj”が1960年代初め頃から製造を始めたもののようです。
とまあ、この情報はこういう車の愛好者から聞いたお話で、私が調べたわけではないのです。
でも、インドやその近隣国でこうした小型の乗合自動車が「テンポー」(またはテンプー)と呼ばれるようになったルーツが、実はドイツにあったということは、ちょっとした豆知識であり、飲み会の席で女の子に教えてあげたら、きっと気持ち悪がられること請け合いです。なにはともあれ、高齢化の進む鉄の象「テンポー」よ、一日でも長くインドの大地を駆け抜けてくれ!、と心より願う次第なのであります。
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