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2003年3月6日:バスの車掌は大忙し

         
  • 公開日:2003年3月6日
  • 最終更新日:2022年8月5日

「インドのバス」と一口に言いましても、路線バス、長距離バス、観光バスなど様ざまあります。
今回はその中の「路線バス」についてお話し致しましょう。

そのバスはゴア州の小さな街マプサとビーチリゾートで有名なアンジュナビーチとを結んでいる路線バスでした。
バスはオンボロのインド製のもので、前方にはフロントグラスとしてふたつの窓のあるタイプでした。窓がふたつということは当然その境目には非武装中立地帯があり、一見前が見づらそうですが、バスの窓は大きいのでたぶん充分な視界は確保できるのでしょう。
ちなみにインドではこのフロントグラスがふたつのタイプはまだまだ現役で、バスやトラックなどの大型車には普通に見受けられます。
一枚ガラス(中央につなぎ目はありますが)があたりまえになっている日本から行くと、逆に新鮮でかわいく見え、思わず近づいてなでてみたくなるくらいです。

バスには運転手と車掌の二名が乗務しており、ワンマンバスに慣れている日本人にはなんとも懐かしい感じがします。ただし車掌は男なのですが。

車掌の仕事はと言いますと、まず切符を売ることです。
車掌は車内をくまなく回り(たいして大きくないバスですが)、乗客から運賃を徴収します。
そして間抜けそうな外国人旅行者からは、運賃のほかに自分のお小遣いなども徴収したりします。その際には決して運賃の書いてある切符を渡しません。・・・あっ、だから切符をくれなかったのか・・・

そして車掌はバス停で乗客の誘導をします。
インド全般のバス停事情は知りませんが、その路線に限って言えば、どこがバス停なのか定かではありませんでした。
だいたいが田舎の田んぼの中や林の中を走る路線でしたので、なんとなく家が建っているあたりで停まるようです。
バスはその「バス停」に近づくとクラクションをけたたましく鳴らし、バスが来たことを告げます。
車掌はバスがスピードを緩めるとサッと飛び降り、乗客を集めて来ます。
その仕事振りは牧用犬がヒツジを集めて来るように見事なものです。
おそらく車掌の勧誘に負け、特に用事もないのにバスに乗る人もいるのでしょう。

さらに車掌はバスの誘導もします。
せまい道が多いその路線では対向車とすれ違うのも大変で、特に大型車同士ですれ違う時には、車掌が降りて誘導する必要があるのです。
車掌はバスの前や後に回って誘導し、やがてバスは無事難所を越え再びスピードを上げて走り出します。
あれ?スピードを上げるのはいいのですが、まだ車掌が乗って来ません・・・
と思ったら横の窓から乗って来ました。さして大きくない窓です。
体の間接でも外したのでしょうか?驚きました。
でもこんな芸当ができるのも、暑くて窓を開け放ったバスならではです。
もし異常気象で雪なんかが降り、乗客が窓を固く閉ざしていたら、おそらくこの芸当は使えず、車掌は泣きながら必死でバスの後を追いかけて走らなければならないのです。
その時の彼の息はきっととってもとっても白いんでしょうね。
自分の姿を運転手の視界から消すくらいに・・・

出発進行!今日も路線バスはガタガタ走る!

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