暦の上では・・・
暦の上では「立夏」を過ぎたそうで、季節はもう「夏」です。
日に日に日差しが強くなって来て、夏が大好きな方にはたまらない季節の到来かと思いますが、日差しとともに当然紫外線も強くなって来ております。
その紫外線から大切な体を守る「紫外線対策」商品などもたくさん出ています。クリームに日傘、シャツにサングラスなどなど・・・
今朝電車の中で窓の外を眺めていますと、ふと窓ガラスに小さなシールが貼ってあるのに気が付きました。
なんだろう？と思い、よく見てみますと「ＵＶ ＣＵＴ」と書いてあるのです。「ＵＶ」つまり紫外線カットのガラスがはめ込まれているようです。電車も日々進歩を続けているのですね。
さて、今では一般的になった「ＵＶ」という言葉ですが、何の略か知らない方もいらっしゃるのではないかと思い、知らない代表者として私が皆様に成り代わり、頼まれもしないのに調べました。
そしたらあなた、驚いちゃうじゃありませんか。
なんと「ＵＶ」とはウルトラバイオレット（ULTRA・VIOLET）のことだと判明したのです。
とても強そうな名前ではありませんか。
昔、セクシャルバイオレットNo.１と言う、やはりなんだかとても強そうな感じの歌がありましたが、こちらはセクシャルではなくウルトラと付くだけ、さらに強そうです。あなどれません。
普段何気なく「紫外線はお肌に悪いからＵＶカットのクリーム使ってんの」なんてお気楽に言ってしまいますが、事はそんなに穏やかなものではなかったのです。なにしろ相手はウルトラなのです。そんなお肌に薄く塗るだけのクリームで防げるわけがありません。鎧兜を着けるとか、完全武装で敵にのぞまねばならないでしょう。
さて、なぜ「ウルトラ」と付くだけですごく強い相手だと思ってしまうかと言えば、これは当然テレビの特撮物の元祖とも言える「ウルトラＱ」や「ウルトラマン」のイメージがあるからでしょう。
その番組が放映されていた当時、まだ幼くかわいい少年だった私は、ウルトラＱやウルトラマンが見たくて仕方ありませんでした。
ところが今と違ってテレビは一家に一台しかありません。そして家族は５人いました。１４インチのテレビだとしたら、ひとり頭３インチにも満たない計算なのです。
そんな状況下で、ウルトラシリーズはある強力な裏番組によって、わが家のテレビ受像機にはめったに映し出されませんでした。
それでは、その「ウルトラ」よりも強力な番組とはいったい何なのでしょうか？
＊このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
＊このメルマガの前半からの続きです。
ウルトラシリーズは、関東地方では日曜日の７時からＴＢＳで放映されていました。
そしてその同じ時間、ＮＥＴ（「ネット」ではなく「エヌ・イー・ティー」と読み、現テレビ朝日のことです）で放映されていたのが「アップダウンクイズ」だったのです。
アップダウンクイズという番組は、ロート製薬が提供していた番組で、１０問正解するとハワイ旅行に行かれるというものでした。
回答者は５～６人（正確には忘れました）で、それぞれがビルの窓拭き用のゴンドラみたいなものに乗っており、そのゴンドラはクイズに正解するたびに一段ずつ上がるという仕組みのものでした。
提供がロート製薬なので、今のスマスマのオープニングのように、ロート製薬本社と思われるビルの上を、無数の鳩が旋回している映像で始まります。当然そのバックには「ろぉ～と、ろおと、ろぉ～とぉ～」という、女性合唱団の歌声が流れます。
そしてスタジオにカメラが切り替わると、男女２名のアナウンサーがおり、こう言います。
「ロート製薬提供アップダウンクイズ。クイズに１０問正解して夢のハワイへ行きましょう。司会は私小池清と、問題を読むのは・・・」
「佐々木絵美です」
と、なぜか女性アナウンサーは自分の名前だけしゃべります。
佐々木絵美さんが問題を読むと、回答者は早押しで答えていきます。
正解だとゴンドラが１段階上がるのですが、間違えると下がってしまいます。
これは何段階目にいても下まで下がってしまうので、見ていてとてもハラハラするものでした。
さらに２回不正解を出すとゴンドラからも降ろされてしまい、スタジオの隅の方に用意されている普通のイスに座らされます。
その普通のイスに座らされてしまった人は、残りの回答者だけで進行されていく番組を、間抜けな顔で眺めているのです。
それはまるで、会社をリストラされてしまったような感じとでも言いましょうか。
なにしろ、さっきまで自分が所属していた世界が、自分なしでも動いているのです。
「私が今まで会社のためにしてきたことは、いったい何だったんだ！」
といった心境でしょう。
しかしそんなリストラとーさんにもチャンスは与えられます。
他の回答者が誰も答えられなかった問題に、みごと正解するとゴンドラに戻れるのです。
ただ、リストラとーさんは、すでに問題を２回も間違えてしまった落ちこぼれです。まだゴンドラに留まっている精鋭達が答えられなかった問題に、どうして答えられるでしょうか。
ほ～ら、やっぱりダメでした。せっかくのチャンスだったのに・・・
ところがです。そんなチャンスも２度目くらいになると、リストラとーさんの口から正解が飛び出すのです。
ちょっと気になるのは、リストラとーさんの視線が、司会者ではなく、何かその横にあるものを見ているような感じがすることです。答え方もどこかぎこちありません。
何かテレビ番組制作の裏を垣間見たような気がします。
ようやく自分のゴンドラに戻れたリストラとーさんなのですが、その間にも番組に参加していた他の出場者は、すでに８段目や９段目に達しており、夢のハワイももう目の前と言った状態です。
せっかく会社に戻れても、かつての同僚はすでに部長や取締役に昇進しているといった感じでしょうか。
さてさて、ついに９段目の回答者が正解を出しました。
ゴンドラは最上部に達しファンファーレが鳴り響き、頭上のくす玉が割れます。
そして旅客機用のタラップを模したはしごがするするっとゴンドラに近づくと、ＪＡＬのスチュワーデス姿の女性がレイを持って階段を上がり、１０問正解者の首にレイをかけ、ゴンドラの扉を開けるのです。
階段をゆっくり下りて来るその人の顔には、人生の成功者としての喜びがしっかりと現れています。
一方、ゴンドラに戻っただけで１段も上がっていないリストラとーさんに目を移すと、なんとその顔にも、それなりの満足感がうかがえるのでした。
「あー、普通のイスで終わらなくてよかった・・・」
人間の幸せって、それぞれの立場や状況で違うものなのですね。
あっ、今気付きましたが、私もウルトラシリーズが見られなければ見られないで、結構アップダウンクイズで楽しんでいたようです。
見果てぬ夢を思って泣くよりも、身近なことに幸せを感じましょう。
それでは、また来週！
