暦の上では・・・
暦の上ではもうすぐゴールデンウィークです。
10連休なんていう、長いお休みのところもあるようです。
私はと言いますとカレンダー通りのお休みですので、連休は3~5日の3日間です。さしずめ「シルバーウィーク」と言ったところです。まあ、今年はそういう方が一番多いのではないでしょうか。
この時季には、お祭りがあったりします。
私の住む地域のお祭りは4月の初め頃に終わってしまいましたが、連休に合わせて行われるところもあるようです。
お祭りと言えば「露店」です。
私は子供の頃、普段あまりお金を持っていませんでした。
と言うか、もらったお金はすぐに使ってしまうので、いつも何も持っていませんでした。それはそれは気持ちのいいくらいの使いっぷり(1日10円ですが)で、いつ地球滅亡の日が来ても、何の心残りもないくらいでした。
それがお祭りになると、特別にお小遣いがもらえたりします。
露店だってたくさん出て、普段は買えない珍しいものがたくさんあったりもします。
そんなたくさんの誘惑の中から、毎回必ず買うもののひとつに、「風船ヨーヨー」がありました。
そうです。あの、小さい風船に少しだけ水を入れて、口元に長いゴムひもが縛り付けられている、あれです。
その風船ヨーヨーを毎回買う(正確にはヨーヨー釣りで取る)のですが、たいてい2~3日するとしぼんでしまいます。
そこで子供たちは、そのしぼんだ風船ヨーヨーのゴムひもを一旦解き放ち、再びあの雄姿をよみがえらさんと口で息を吹き込もうと奮闘するのですが、これがぜんぜんふくらまないのです。あの風船はものすごくゴムが硬くて、子供の力ではぜんぜん歯が立たないのです。
それでも必死でがんばるのですが、耳の下のくぼみが痛くなったり、勢い余って風船が前方に飛んで行ってしまったりするのが関の山です。
しかたがないので、完全にもとの雄姿を再生することはあきらめて、比較的似た形でがまんすることにします。まあ、パンダが死んでしまったので、しかたなくハクセイにするようなものでしょうか。
どうするかと言いますと、水道の蛇口に風船の口元をかぶせ、水だけでふくらませるのです。
これですと水圧が風船をふくらませてくれるので、耳の下が痛くなることもありません。
ただ、水を止めるタイミングを逃すと、下に落下したり、破裂したりで、そこらへんが水浸しになってしまいます。
ですから、風船の口元をしっかりと蛇口にかぶせたのちは、左手で風船の下を支えながら、右手で徐々に水を充満させていかなければならないのです。
そして注水によって在りし日の雄姿に近づいたら、慎重に風船の口元を蛇口から抜くとともに、しっかりとしばってしまうのです。
ところが、水は空気よりはるかに重いため、外見は同じような雄姿に見えても重量が違います。もはやゴムひもを中指にかけ、ぽんぽんと心地よい音を響かせながら、ゴムマリのように弾む(ゴムマリの親戚なのであたりまえですが)あの雄姿は、もう戻っては来ないのです。
ああ、別れた人の面影を求めて付き合い始めた今の彼・・・でも、外見が似ててもやはりあの人じゃあないのね・・・くすんくすんってな感じです。
さて、それではもはやヨーヨーとして機能しなくなってしまった、元風船ヨーヨーの運命はいったいどうなるのでしょうか。
そうです。元風船ヨーヨーは、人に水をかける道具として使われるのです。水道で水を満たしたその後は、口元をしばらずにしっかりとつまみ、人をめがけて放水するのです。
初めて風船ヨーヨーの開発に成功した科学者は、まさかこんな使われ方をするとは思っても見なかったことでしょう。
あくまでも平和利用を目的に作られた「風船ヨーヨー」が、その内部に多量の水を満たされ、ゴムの収縮機能によって激しく水を噴射する武器として使用されるのです。
しかも犠牲者はいつでも一般市民なのです。そりゃあそうです。警察官や自衛官に向けて放水したら、そりゃ偉いことですから。
とにかく第二の人生(?)を歩み出した風船ヨーヨー改め「収縮式放水器」は、その秘められた力をいかんなく発揮して、今日も元気に水を撒き散らしているのです。
考えてみれば、これも立派なリサイクルかもしれません。
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
誰でも水を掛けられるのはいやなものです。「水掛け論」なんて言葉だってあるくらいです。しかもこの時季はまだ水を掛けられると寒いのです。
だからこそ、この風船ヨーヨー式放水器を持って人に近づいて行くと、みんな必死で逃げ惑います。それはそれは痛快です。
そして私は、さらに人が嫌がることを考えました。
それはこの水を充満させた風船をズボンの中に隠し、俗に言う「社会の窓」、つまりは男性がおしっこをするときに開く窓から風船の口元を出し、「しょんべんひっかけるぞぉ~!」と叫びながら人を追いかけることでした。
さっそく実行に移すべく、風船にいつもより多めに水を満たしてズボンに入れると、「窓」から出した口元だけつまんで、友人に近づいて行きました。
友人はズボンの前を押さえた格好で現れた私を見て、怪訝そうな顔をしました。感のいいやつです。
私は計画通り「しょんべんひっかけるぞぉ~!」と叫ぶが早いか、つまんだ指を少しゆるめて、中の水を少し出しました。
気をつけなければいけないのは、ここで勢いよく出さないと言うことです。
なにしろタンクの容量には限りがあるのです。ここは相手が「本物の小便」と思い、必死に逃げ惑えばそれで目的達成なのです。
もともと怪訝そうな顔で私の行動を見ていた友人は、「本物の小便」と思ったようです。それはそれは必死の形相で逃げて行きます。
やった!ついに研究の成果が実ったぞ!プロジェクトXみたいだ。
気を良くした私はその友人を追いかけます。「しょんべんひっかけるぞぉ~!」を繰り返し叫びながら、たまに水を少し出したりしながら、こちらも全速力で追いかけます。友人は泣きそうになりながら必死に逃げていきます。とても痛快です。
ところがです。
ただ単に走っている友人と違い、私は右手で風船のさきっちょをつまんでいるのです。そして左手は風船本体をズボンの上から支えています。つまり私の走る格好は、両手を股間に持っていき、ガニマタ気味でエリマキトカゲのように走っているのです。これではカールルイスでも早く走れないどころか、バランスだって崩すでしょう。
果たして私はバランスを崩し、転びそうになりました。
みなさん。バランスを崩して転びそうになったとき、どんな防御策をとりますか?
おそらく普通は、なんとか転ばないようバランスをとるため、更には最悪転んでしまっても、少しでも怪我を防ごうと、自然と手が出ることでしょう。
そのときの私も自然と手が出て、バランスをとる行動に移りました。
そしてその「手」の行動が功を奏して、私は転ばずにすんだのです。
まったく人間の体とは良く出来たものです。
自分では命令した覚えがないのに、勝手に手が出たのです。
自分の持ち場を離れて勝手に手がバランスを取ったのです。
風船の先っちょをしっかりつまんでいなければならない右手が、自分勝手な行動をしたのです。
はい、確かに私は転ばずに済みました。
ただ、先っちょを解き放たれた風船は、その持ち前の収縮力で放水を始め、さらにはその水圧で風船の先っちょがズボンの中へと入って行ってしまったのです。
バランス修復作業が完了した右手が現場に戻ったときには、すでに先ほどまでつまんでいた風船の先っちょはそこにはなく、はるか奥深い場所でジョージョーと気の済むまでの放水を続けていたのです。
先ほどまで奇声を上げてガニマタで走り回っていた少年は、もはや自分の意志ではどうにもならない不思議な感覚をその下半身に感じながら、ただただ呆然と立ち尽くすだけでした。
今さら友は信じてくれるだろうか?
これが本物の小便ではないということを・・・
良い子のみんな!部屋の中では絶対にやってはいけないよ!
それではまた来週!