暦の上では・・・
もう12日になりました。
特に今年は成人の日が1月8日と、史上最早記録を更新してすでに終わっておりますので、なんだか余計に正月から遠ざかるのが早いように感じます。
で、今さらながらお正月の話なのですが、今年も私は三が日は全般的にごろごろして過ごしまして、昼間はお笑い番組を見たり、箱根駅伝を見たりして過ごしておりました。
しかし箱根駅伝なんか見ておりましても、時折アナウンサーの実況中継に違和感を覚えることがあります。
たとえば6位争いあたりの、特になんてことのない順位入れ替えシーンなどで声を張り上げて、
「ついにジャパン・アスレチック大学が、ツムラ・ニンテンドー大学に追いつき、並びました! そして今・・・追い抜きました!逆転です!」
なんて叫ぶのです。まだ往路の3区あたりだったりするのにです。
まったくあれじゃあ実況中継じゃなくて、絶叫中継じゃないですかあ。
そりゃあ、第三中継車とかバイク中継車は出番が少なくて、マイクを渡されたらせいぜい絶叫してみたくもなるのでしょうが、そんなアナウンサーの自己満足が、視聴者をしらけさせているのでありますよ。ぷんぷん。
さらに、その場の状況を伝えるのではなく、自分の考えを述べてしまうことなんかもあります。
「ちょっと足の状態がおかしいか? セントラル学院大学のマイケル選手、顔をしかめております。しかし!その目はしっかりと前方を見据え、中継所で待ち受ける仲間に、なんとかたすきを渡したい!その思いだけで懸命に走っています!」
わかんないでしょ、そんなの。
もしかしたら彼女のために走ってるのかもしれないじゃあないですか。
まあ、以上はあくまでも仮想の中継なのですが、実際それに近いことがあるのは事実です。
と、なんだかんだ言ってしまいましたが、私は毎年箱根駅伝の中継を楽しみにしているわけで、あれを見ないとお正月という気がしないのであります。
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さて、そんなテレビ三昧のお正月でしたが、夜の番組ではあまり私好みのものがなくちょっと残念でした。
「新春スターかくし芸大会」なんていうかつてのお正月の看板番組も、もう見なくなって久しいですねえ。
でも昔はよかったです、かくし芸大会も。
高橋圭三アナの司会で、東西両陣営が激突するわけですが、それぞれの応援団長的存在が、クレージーキャッツとドリフターズのメンバーだったりするわけですよ。しかもそのお笑い界の二大コミックバンドが、それぞれのメンバーを東西に分かち、そしてそれぞれの陣営でタッグを組む姿は、まるで夢を見ているようなすばらしい光景で、まさしくお正月とお盆とお肉の特売日が一度に来たような豪華さがあったもんです。
東西を分かつのは箱根の関所だったようですが、私は住んでいる所が関所の東側でしたので、地理的には東軍側になるわけです。
しかし、好きなタレントが所属している方を応援したくなるのが人情というものじゃあないですかあ。なので、そのタレントが西軍だったりすると、それはもう複雑な心境でした。「ああ、こんなに思い焦がれているというのに、愛しいあの娘は関所の向こう。箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川。大井追っかけ音次郎」なんてね。
では、私がその頃(中学生の頃です)好きだったタレントは誰だったかと言いますと、それはアグネス・チャンだったのです。
「はて?アグネスの出身地ホンコンは、箱根の関所のどっちかしらん?」
まだホンコンなんて良く知らない私は、ワクワクドキドキしながら当日の放送を待ったわけですが、結果は関所のあちら側、つまり西軍だったのであります。およよよよ・・・
で、今これを書きながらそんなことを思い出し、ちょっと気になって世界地図を見直してみましたら、あ~ら、関所の東西で分けると、アジアから中東、アフリカ、ヨーロッパまで西軍に編入されてしまうのですね。
一方東軍はといいますと、だだっ広い太平洋をその圏内に取り込むものの、大陸は南北アメリカ、そしてオーストラリアの一部、シベリア、アラスカという状態です。
う~む・・・
当時私は中学生でしかもあまり頭が良くなかったので気付かなかったけど、これはあきらかに東軍に不利な形勢ではないでしょうか。
だいたい国内だけ見ても、関西地方にお笑いの人が多かったりするわけです。
そこに持ってして西軍の版図には、アジアからヨーロッパに至るまでの壮大な地域が含まれ、そこには韓流スターやインド映画スター、上海雑技団やボリショイ・サーカス団、ビートルズやベイシティー・ローラーズまたはバスター、オスマン・サンコンやボビー・オロゴンなどが含まれるのです。
一方東軍はと言いますと、まあアメリカ出身のハリウッドスターが入るものの、あとはブラジルサンバチーム、アンデスフォルクローレチーム、ハワイフラダンスチーム、ポリネシア幻想なる火の踊り保存会といった民族系の芸能人たちが相集い、アグネス・ラムが一輪の彩を添えるといった感じです。
はたしてこれが本当に公平なる「東西対抗かくし芸大会」と言えるでしょうか?
太平洋戦争直前の日本とアメリカの国力の差ほどありはしないでしょうか?
だいたい東西冷戦時代を見ても、圧倒的に西側が有利だったではないですか!
まったく気付かなかったけど、東軍はこんな不利な戦いを強いられていたのか・・・
こんなことならアグネス・チャンにつられて西軍を応援するんじゃなかった・・・
あー、
アグネス・チャンの話をしてたんですよね、わたし。
だいたい真剣に東西の勝ち負けで、一喜一憂してる人なんていないのです。はっはっは!
とにかく当時の「新春かくし芸大会」は、お正月のお茶の間に夢と笑いを運び、そして東西格差を思い知らされるわけで・・・
ぬぬぬぬぬ・・・おのれ西軍!
かくなる上は夜陰に紛れ、みんなして箱根の関所をうんせうんせと少しずつ西に移動して行き、東軍の版図をじわじわ拡大して行くしかない。
そうすると年々お正月番組の内容が変わるだろうなあ。
「現在一位を行くアジアンエスニック大学は、最終5区のランナー山越君が今一気に芦ノ湖畔に駆け下りて参りました。さあ、今年のゴールはいったいどこになっているのでしょうか?昨年は箱根峠に移動していた箱根関所跡でしたが、今年辺りはもう三島辺りにまで移動してしまっているかもしれません。しかしそんな状況下でも、山越君はしっかりと前を見据え、往路のゴールで待つチームメイトたちを思いながら、懸命に走っています!」
あゝ、美しきかなアマチュアスポーツ!
そして楽しきかなお正月番組!
それでは、また来週!