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2005年10月14日:パインズクラブ通信 第172号

         
  • 公開日:2022年8月11日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

早くも10月も半ばに突入し、朝晩の冷え込みがさらに増して参りました。
寒い寒いと思っておりましたら、ついに富士山でも初冠雪が観測され、ふと窓から富士の高嶺を見やりますれば、♪ふ~じのしらゆきゃのぉ~え~、となっておりました。あーこりゃこりゃ。

そうかと思えば最近日本各地でニシキヘビやらサソリなどが発見され、地球温暖化もついにここまで来たか!という感もあるわけでございます。

まあそいつらはみんなペットとして飼われていたものが逃げ出したもののようでして、別に温暖化によって日本が熱帯になり野生種が出現したというわけではないようです。

でもそういうことが起こりますと、一番大変なのは通報で駆けつける警察官です。
なにしろ大捕り物の末にニシキヘビを捕獲して、さあ手錠をかけよう!と思ってもヘビには手がないため手錠が使えません。しからばヘビの胴体に手錠を掛けますってえと、それはもはや手錠ではなく「胴錠」になってしまうわけです。するとつい昔はやったドラマの決め台詞が口をついて出て来てしまうわけですよ。

「胴錠するならカレー食え!胴錠するならカレーを食えよ!」

かくして警察官は今日もカレーを食すのでありました。めでたしめでたし。

えーと・・・

まあヘビをペットにしてる人はもちろんそういうのが好きなのでしょうが、一般的に見てやはりヘビをキモチ悪がる人の方が多いかと思います。
あのてらてらした皮膚、その模様、見開いたままのマナコ、そしてなにより別名「くちなわ」などと呼ばせてしまうあの形態・・・

あっ、今確認のために辞書で「くちなわ」って調べたら、「朽縄」って書くんですね。私はずーと「口縄」かと思っていました。口のある縄だって。本当は「朽ちた縄のようだから」が正解のようです。勉強になるなあ。


シンガポールの動物園には「ヘビコーナー」というのがあって、それはジャングルみたいな中の遊歩道を歩いてヘビを見るというものです。
温度や湿度を保つためか、ヘビコーナーの入り口には扉があり、中はまるで熱帯植物園みたいになっています。
中に入りますと、葉っぱの大きな熱帯性の樹木ばかりが目に付いて、どこにヘビのケースがあるのかちっともわかりません。
きょろきょろしながらなおも進んで行きますと、だんだん目が慣れて来て、突然ヘビを発見してしまうのです。そしてそこで初めて、このヘビコーナーのヘビはケースに入っているのではなく、このヘビコーナー自体が巨大なヘビのケースなのだと気付くわけです。

そうです、ヘビはすぐ目の前の木の枝にいたのでありますよ。げげっ!

目の前の木の枝には、葉っぱと同じグリーンの体の細いヘビが、頭を少し前方に突き出し、その口元からちろちろと赤い舌を出しているのです。

そして一匹見つけると、あーらフシギ、あちらにも、こちらにも、やですわ奥さん、そこにもいるじゃあござーませんか!おほほほほほ!

そんな風にたくさんいるのです。
ホントに手が届くすぐそこにも、そして頭上の木の上にも・・・ちろちろと。

たぶん、毒を持っているヘビではないのでしょう。
たぶん、人間を絞め殺すような怪力のヘビではないのでしょう。
たぶん、人間を丸呑みにできるような大口のヘビではないのでしょう。

そしてたぶん、入り口にはちゃんとそこら辺の説明が書いてあったのでしょう。英語でね。

とにかく私にとっては事情がわからぬまま、突如至近距離でのヘビ出現!であり、とても驚いてしまったわけです。
そんなヘビが本気を出せば今すぐにでも噛まれそうな状況で、なんとかヘビに穏便に事を運ぶように説得したいところであったわけですが、いかんせん相手がヘビだけに、聞く耳も持たなきゃ、目をつぶってくれそうな気配もまったくないのでありました。

そんなわけで相変わらずのペットブームです。
テレビなどでもペット動物を中心に扱った番組がいくつかあります。

まあ動物ものの番組は昔からありましたが、昔は動物=野生という図式だったように記憶しております。

たとえば「野生の王国」なんて番組がありまして、ライオンがシマウマを襲うシーンやハイエナがその残り物を頂戴するシーンなどを見たものです。
さらにアフリカのジャングルで動物に育てられた男の話「ターザン」(アメリカ製のテレビドラマです)を見て、自分もチンパンジーのチータみたいなペットが欲しいなあと思ったり、やはりアフリカで暮らす家族のドラマ「動物家族」という番組(これもアメリカ製のドラマだと思います)に出て来るクラレンスという名のライオンが欲しくなったりしたものです。

で、実際にはそんな変わった動物など飼うのは夢のまた夢であった時代だったのであります。

そんな昔に手に入れた変わったペットと言えば・・・あれだな・・・

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

当時は少年雑誌に通信販売の広告がよく載っており(今でもあるのかもしれませんが)、いろいろ珍しい商品が魅力的な説明文とともに紹介されていました。

私は毎回その広告を眺めては、欲しい商品に思いを巡らせていたのですが、なかなか注文するところまでいきませんでした。
私に二の足を踏ませる要因は、「どんなものが来るのかちょっと不安」というものでしたが、さらに代金として郵便為替を同封しなければならないなど、手続きも面倒だということもありました。

そんな私がついに注文に踏み切ったのは、「発泡スチロールから簡単にボールが作れる」という器具でした。そいつを使うと、テレビや冷蔵庫などの梱包に使われていた発泡スチロールからボールが作れる(少なくとも私は、説明文からそう解釈していました)のです。
発泡スチロール製のボールは、投げると空気抵抗でコースがよく変化するので、教室の隅でやる野球ごっこには最適のアイテムだったのです。
通常は廃材の発泡スチロールを適当な大きさに割り、そいつをブロック塀でごしごし擦り丸くするのですが、それがなかなか難しいのです。
球体というのは限りなく面の小さい「正多面体」なわけですが、どうしてもイビツになってしまうのです。つまりどうしても「大きな面」と「小さな面」ができてしまうのです。
それが!その「画期的な器具」を使うことによって、限りなく球体に近いものが、いとも簡単に何個でも作れてしまうというのは非常に魅力的だったわけなのであります。
そしてそんな器具を持っている私は、野球ごっこの中心的人物、つまりは球団オーナーの地位が与えられることは明らかなのです。わっはっはっ!

価格は500円でした。500円で球団オーナーになれるなら安いものです。
郵便為替を買う手間など惜しんでる場合ではありません。

私はさっそく郵便局で郵便為替を買い、申込用紙と一緒に封筒に入れ投函しました。そして心はすでにそいつを手にした気分になっておりました。

「あー、早く届かないかなあ」

翌日から私は、学校から帰るとすぐポストを覗き、何も入っていないと母親に郵便物の有無を聞くという毎日が始まりました。
そして待つこと2週間、ついに私の元に一通の郵便物が届けられたのです。

しかし、届けられた郵便物は薄っぺらな封筒で、とてもその中にあの素晴らしい夢の器具が入っているとは思えません。
でも封筒に書かれているのは、確かにその業者の名前であり、間違いはないようです。

さっそく封筒を開けてみますと、中にはやはり夢の器具は入っておらず、出て来たのは手紙で、そこには、

「ご注文頂きました商品は都合により製造中止となりました。つきましては別の商品にご注文を変更して頂きたく・・・」

というようなことが書いてあり、「500円商品券」というものが同封されておりました。

別の商品に・・・ったってさあ・・・

私はしばし呆然となり、つい先ほどまで頭の大半を占めていた、野球ごっこの中心的人物になる夢が遠のいて行くことを感じていました。

同封されていた「商品券」は、その業者でしか通用しないものでした。つまりその業者に再注文するしかないわけです。たとえ欲しいものがなかったとしてもです。

仕方なく私は雑誌の商品カタログをもう一度眺めたのですが、これといって欲しい商品はなく、あったとしてもそれは価格がもっと高いものですので、商品券にお金を足さなければなりません。
しかしそれは危険です。なにしろ相手は期待を大きく裏切った業者なのですから、なんとしても「500円」で買えるものを探すしかないのです。

そんなわけで私は、もはや「欲しいもの」を探すのではなく、「500円のもの」を探すという、なんだか理不尽な境遇に追い込まれていたのでありますが、ようやくカタログの中からひとつの商品を選び出したのであります。

それは、

「マリモ」

でした。


2週間ほどしてそいつは届きました。

本来欲しかったものが手に入らず、仕方なしに注文したものではありましたが、それでも何かが自分の手元に来るというのは嬉しいものです。
そしてそいつは、あの阿寒湖にしかいないという、悲しいアイヌの伝説を持つ天然記念物のマリモなのです。

♪晴ぁ~れれえば浮ぅ~かぶぅ~、みぃ~ずのをうえ~

と、歌にも歌われているマリモなのです。

マリモは封筒に入っていました。よくよく封筒が好きな業者のようです。

封筒の中のマリモは、水と一緒にビニールパックされていましたが、少しつぶれていて丸くありませんでした。
そして同封の紙切れには、「時々手で軽く丸めて下さい」と書いてあり、どうやらこいつは天然記念物のマリモとは違うようでした。まあそりゃそうでしょうねえ。

それでもそのビー玉ほどの大きさの緑色のマリモはなかなかかわいく見え、さっそく大きめのブランデーグラスに入れ、ガラスの入った飾り棚の中に置きました。

初めのうちは珍しさもあって毎日覗いては、たまに手の上で軽くころころと丸めたりなんかしておりましたが、1ヶ月経ち2ヶ月経ちますと次第にマリモの存在を忘れていってしまいました。

そしてある日、思い出したように飾り棚の中のマリモを見ますと・・・

なんと、完全に水が涸れているではありませんか。

ブランデーグラスは、かつて水があったあたりの色が変わっており、それだけが往時を偲ばせているのでありました。あらららら・・・

私は慌てて、干上がったブランデーグラスの底からマリモを救出せん!と、ひょいとつまみ上げたのですが・・・

あわれマリモはすでに枯れ果てており、指の圧力に抗えず青ノリのように粉々になってしまったのであります。

そして主を失くしたブランデーグラスは、

♪こぉ~れぇ~でぇ~およ~しよ~、そんなに強くない~のにい~

と歌っておりましたとさ。合唱、もとい、合掌。

ちなみにその後、私は北海道を旅行した折に瓶入りのマリモを買いました。
そして今度はマリモを渇水の災難から守ろうと思い、大きな水槽の中に入れることに致しました。

しかし不思議なことにその数日後に水槽を観察すると、マリモは何処へともなく消えており、水槽はまた元の通り金魚だけになってしまっていたのでございます。あなオソロシや・・・


みなさん、生き物を飼う時は、正しい知識と責任を持って飼いましょう!

では、また来週!

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