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2006年8月11日:パインズクラブ通信 第219号

         
  • 公開日:2022年8月12日
  • 最終更新日:2022年8月20日

暦の上では・・・

お盆です。

今年もまた、あの帰省&行楽ラッシュが始まります。

高速道路や鉄道、飛行機や船舶の関係機関は、その混雑を予想していろいろ対策を考えていることでしょう。

しかしいくら対策を考えても、道路渋滞はなかなか解消しないでしょう。
確かにETCの普及で料金所は多少スムーズに動くようになったかもしれませんが、サービスエリアの周辺はどうにもなりません。
まあそれでも食事などは、事前予約とドライブスルー方式の受け渡しなんてのが導入されれば、駐車場に停めて食事をするよりは混雑が避けられるかもしれません。

でも、

トイレはねえ・・・

まさか、事前排泄とドライブスルー方式での受け渡し、なんてのはできないでしょうねえ・・・こぼれちゃうと大変だもんねえ・・・ちゃぽちゃぽ。

車も大変ですが、列車の移動も大変です。

まず指定席が取れません。
特に家族やグループでの旅行でまとめていくつか席を確保するには、切符の発売と同時に予約を入れなければなりません。
旅行会社などに手配を頼んでも、ピーク時はなかなか思うように取れなかったりします。
それでも今は自宅のパソコンからも空席状況を確認できたり、切符の予約ができてしまったりするので楽になったものです。

それがあーた、昔は大変でした。
まあ私の言う「昔」というのは、まだ汽車のことを丘蒸気と呼んでいた時代や、終戦直後の混乱期を言ってるのではなく、私の高校時代のことを言ってるわけで、ほんのつい先日のことです。

あれはまだJRが国鉄だった頃、キャンペーンで「ディスカバー・ジャパン」なんてものを始めた頃です。
そして私が、高校一年生だった夏でした。

私は夏休みに友達3人(計4人)と旅行をすることになりました。
行き先は私の父親の郷里である三重県の伊賀と、友達の父親の赴任先である山口県の柳井でした。
行き先が親族関係なので両方とも宿には困らなかったのですが、そこまでの移動の切符は当然自分たちで手配しなければなりません。
そこでさっそく列車の時刻表を買って来て、みんなで行き方をあれこれ検討しました。

まず最初の目的地は三重県の伊賀ですので、普通に考えれば小田原から新幹線で名古屋まで行き、そこから関西本線ということになるのですが、みんなまだ15歳と若く、というか子どもで、そんな当たり前の行き方じゃ面白くないと、わざわざ小田原発0時ちょい過ぎの夜行列車で行こうということになりました。

そこで切符の予約をするわけですが、これが実に大変だったわけです。
今から考えると、なんであんな苦労をしなけりゃならなかったのだろうか?と不思議に思うのですが、まず、乗車希望列車の切符発売日(前月の同じ日)に駅の窓口に申込書を提出します。そして、申し込みを締め切った後に、抽選を行い当落を決めるという方法でした。
つまり切符が買えるかどうかは、当選発表を待たなければならないのです。

そんな運を天に任せる式のものにも関わらず、私たち4人は予約開始日の朝8時に小田原駅にいました。
先着順ではないので、なにもそんなに早く行くことはなかったのですが、そこはやはり「やる気」を見せる必要があると思ったのです。
しかし駅の窓口には、私たち以外にも「やる気」満々の大人たちが数人、すでに列を作って待っていました。
これは大変です。小田原駅だけでこれだけやる気のある人たちがいるのなら、東京駅や横浜駅、静岡駅や浜松駅も今頃は「やる気」に満ち満ちているに違いありません。もしかしたらすごい高倍率になるかもしれません。こんなことなら6時に来ればよかった・・・
そう思いながら、私たち4人は列の最後尾に並び、予約受付開始の正午を待つことに致しました。

 

*このメルマガの後半へ続く

〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。

*このメルマガの前半からの続きです。

 

「ゾウの時間、ネズミの時間」という本によりますと、ネズミのような小動物は短命な代わりに心拍数が高く、一生に打つ心臓の鼓動は長命の動物とあまり変わらないそうです。つまり、小動物にとっての1時間と、ゾウように大きな動物の1時間とは、その感じ方が違うということなのです。

若干15歳で、体もまだ小さかったその頃の私たちにとって、4時間はとてつもなく長い時間でした。
それでも最初は冗談など言いながら元気に並んでいましたが、みんなだんだん疲れと飽きが出始め、誰ともなくホコリだらけのコンクリートの床に座り込み、交わす言葉もなくなり、みなひざを抱えてひたすら時間が過ぎるのを待ちました。
当時の駅には冷房なんてものはありません。ただ、なぜか昔から小田原駅に設置されている小便小僧の、じょぼじょぼという放尿の音だけが、唯一涼を呼ぶものだったのであります。

そんな苦労をして「やる気」を見せたためか、希望の切符は無事に買うことができました。

にもかかわらず、特急列車「銀河」の向かい合わせにした座席は予想以上に狭く、しゃべり疲れて寝ようとしてもなかなか眠れないのでありました。

そんな寝不足のまま降り立った名古屋駅で、1時間の待ち合わせののち関西本線に乗り込んだ私たちは、まだその日が始まったばかりだと言うのにすでにぐったりとなっており、駅まで迎えに来てくれた私のいとこのおにいちゃんが、親切にもその足で連れて行ってくれた奈良見物の最中も、ずーと寝ぼけマナコだったため、その時どこに行って何を見たかぜんぜん記憶にないのであります。あー、もったいない。

伊賀で3日ほど過ごし、今度は柳井まで移動するのですが、これがまた大変でした。

ちょうどお盆の時期であったため、新大阪から乗ろうとした新幹線はどれも満員すし詰め状態で乗れず、2本ほどやり過ごさなければなりませんでした。
ようやく乗り込めた3本目の新幹線も当然超満員の状態で、席などあろうはずもありません。
しかたがないので車窓の景色でも楽しもうとしても、なんだかやたらにトンネルが多くて、ゆっくり景色を楽しむこともできませんでした。

そんな思いをして行った旅行でしたが、いえ、そんな思いをして行った旅行だったからこそ、今でもはっきりくっきり私の思い出に刻まれております。

厳粛な思いで見た広島の原爆資料館、きし麺が出て来てびっくりした名古屋駅の立ち食いうどん、厳島神社よりシカが印象的だった宮島、そして陽にキラキラ光っていた瀬戸内海・・・どれもこれも15歳の夏の思い出です。

お盆の帰省&行楽ラッシュで苦労されるみなさん。
苦労の分だけ思い出は深くなります。
どうぞ事故には充分注意をされ、行って来て下さい。

では、また来週、元気な姿でお会い致しましょう!

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