暦の上では・・・
さあ、ついに11月も終わりに近づきました。
いよいよ今年も秒読み段階に入って参りましたが、みなさんやり残したことなどございませんでしょうか?
まあこれからやり残したことを片付けてしまおうと思ってもなかなか大変です。なにしろ年末は何かと忙しいのです。忘年会にクリスマスパーティー、年賀状作りにおせち料理作り・・・あっ、大掃除もしなきゃなりません。
そんなですから、いまさら片付けようとしても無理です、ムリ。いっそのこと大掃除の時に捨ててしまいましょう、年当初の目標なんて。
私もNHKラジオ英会話のテキスト捨てちゃいます。2冊だけですけど。
そんなわけで、もう12月です。「師走」なんて言い方もしわすよね。
とにかく師が走るくらいの忙しい月ですから、なにかと事件・事故も起こります。以前このメルマガにも取り上げましたが、相変わらず「オレオレ詐欺」が横行しているようです。
今朝の新聞に載っていた事件では、孫を装った犯人がお年寄りにお金を振り込ませました。まあここまでは今までの「オレオレ詐欺」と同じです。
しかしこの犯人はその先がちょっと違いました。
その犯人は被害者のお年寄りに、「最近大金を振り込もうとすると、銀行員や警察官が『オレオレ詐欺』を警戒して話しかけてくるので、ローンの返済だって説明して欲しい」なんてことを言ったそうです。まったくずうずうしいったらありゃしません。
で、結局そのお年寄りは行員に声をかけられたにもかかわらず、何百万円か振り込んでしまったんですねえ。
だんだん犯行の手口が凝ってきました。
なにしろオレオレ詐欺の犯人が、「オレオレ詐欺だと思われちゃうから」なんて言うのです。れっきとしたオレオレ詐欺なのにです。
でもこの手口は決して新しいものではありません。同じようなことは昔から行われています。
それは「屁はもとから騒ぎ出す」というやつです。
自分でくさい屁をしたくせに、それをごまかそうと、
「あれ? ねえ、なんかくさくない?」
なんてことをとぼけて言うのです。まさか屁をした犯人自らが騒ぎ出すわけがないという「常識」を、逆手にとったわけです。
まあ部屋にふたりしかいないときには通用しませんけど。
さて、そんな「屁はもとから騒ぎ出す」レベルのオレオレ詐欺にひっかかってはいけません。くやしいじゃありませんか。
少なくとも「オレだよ、オレ」とかかってきた電話に、こちらから「マサオか?」などと聞き返してはいけません。それでは犯人に情報を与えることになります。そんなことをすると犯人は即座に、「うん、マサオだよ」と言うはずです。
じゃあどうすればいいのかと申しますれば、こちらも探りを入れるために、全然違う名前で問い返すのです。
たとえば、
「クリストファーか?」
とかです。
すると犯人は必死にクリストファーになりきろうとします。
「イ、イエース、グランパ!」
なんてことを言ってくるわけです。まったく笑っちゃいます。
でも電話の相手が本当の孫だったりしたら、「あっ、おじいちゃんボケちゃった」と思われてしまいますから、ご使用にあたりましては充分お気をつけ下さい。
*このメルマガの後半へ続く
〔本題〕実際のメルマガではここに新着情報などが載ります。
*このメルマガの前半からの続きです。
昔はよく子ども相手に詐欺まがいの商売をするというのがあったもんです。私も何度かそんなインチキ商品を買ってしまいました。
あれは私が小学校の1年のときでした。
放課後、家に帰ろうと校門を出ると、ちょっと離れたところに人だかりができていました。
人だかりは自分と同じ1年生ばかりで、その輪の中心にはひとりのおじさんが立っており、口からはなにやら聞きなれた音楽が流れ出していました。
しばらく音楽を奏でていたおじさんは、やがて演奏をやめ口から何か小さなものを取り出してみんなに見せました。
それはセルロイド製の小さな笛でした。
ただ笛といっても学校で使うタテ笛や、牛若丸が吹いているようなヨコ笛ではありません。そいつは幅2cmくらいで、厚みも2~3mmくらいしかない、平べったいものでした。
おじさんはそいつを子どもたちに見せると、
「この笛は新発売のもので、いろんなことができるんだぞ」
と言うと、ポケットからさっきのとは違う色の笛を出し口の中に入れ、今度は少しお尻を突き出したかと思うと、
「ぷっ!」
と音を立てました。
これには周りにいた子どもたちは大喜びです。どっ!と笑いがこぼれ、おじさんと子どもたちの距離が急激に近づきました。
気を良くしたおじさんは、こんどは子どものお尻の近くで「ぷっ!」とやり、またまた子どもたちは大爆笑です。
しばらくそんなやりとりをしたのち、おじさんは口から笛を取り出し、
「これはオナラの音が出せる笛で、10円なんだよ」
と言いました。
その言葉に子どもたちは即座に反応しました。みんなが「10円なら欲しい!」と思ったのです。
しかしおじさんは、そんな子どもたちのはやる気持ちを抑えるようにして、また別の笛をポケットから出しました。
今度の笛も形は同じで色だけ少し違います。
おじさんはそいつを口に入れると、上手に「さいたぁ~、さいたぁ~」とチューリップの歌を吹き始めました。
そしてまた口から笛を出し、
「これは20円だよ」
と言いました。
なるほど、20円出せばチューリップの歌が吹ける笛が買えるのか・・・
さらにおじさんはポケットからまた微妙に色の違う笛を取り出したかと思うと、大ヒットしたマイク真木の「バラが咲いた」を吹き始めました。
これには驚きました。なにしろ楽器の生演奏といえば、音楽の授業の時に先生が弾くオルガンか、6年生の鼓笛隊の音楽くらいしか聞いたことがなく、しかもそれらはみんな「学校推薦」の曲しかやらないのです。つまりあんまりおもしろくないのです。
それなのにこのおじさんは、あの大ヒット曲を演奏している・・・すごい!
おじさんは口から笛を出し、
「これは30円ね」
と言いました。
あー、そうだろうなあ、それくらいはするだろうなあ、なにしろあの大ヒットした歌謡曲が吹けちゃうんだもんなあ・・・
と深く納得した私でした。
ところがおじさんがそのあとポケットから取り出した笛はすごかった!もう最強ってゆーか、そいつをしのぐものは当分現れないんじゃあないかという代物だったのです。
その最強の笛は、外観こそ先ほどまでのものと変わらず、また色も微妙に違う、というかなんというか、まあおじさんがちゃんと見分けているんだから違うものなんだろうなあというくらいの際どい違いではありましたが、とにかくその機能が先ほどの笛とは比べ物にならないくらいすごかったのです。
なんと! その笛は「オナラ」も、「チューリップ」も、そしてあの大ヒット曲「バラが咲いた」も全部、ぜぇ~んぶまとめてできるというのです。
実際におじさんはその笛ひとつで、オナラやチューリップ、そしてあの大ヒット曲「バラが咲いた」まで吹き分けたのです!
そしてそれだけではなく、おじさんは今まで他の笛では決して吹けなかった、別の曲まで演奏したのです!
おじさんは口から笛を出すと、
「これはなんでも吹ける笛で、50円だよ」
と言いました。
おー、そりゃそうだろう!そのくらいして当然だよな。
なにしろあの笛ひとつに、オナラの10円とチューリップの20円、そしてあの大ヒット曲「バラが咲いた」の30円の、合計60円分の機能が詰まっているんだもんなあ。しかも他の曲だって吹けるんだから、こんなにお得な笛はないよな。
その時点で私の心は決まりました。
走って家に帰り、50円玉を握り締めるやおじさんの元へと再び走ったのです。
おじさんはまだ先ほどのところにいました。相変わらず大勢の子どもたちに囲まれて、すごい人気者です。
そんな人気者のところへ駆け寄ると、私は胸を張って言いました。
「おじさん! なんでも吹けるやつちょうだい!」
その声に周りにいた子どもたちは一様に驚き、そして羨望のまなざしを私に投げかけてきました。どうやらほとんどの子どもは、10円の「オナラ」か20円の「チューリップ」の笛くらいしか買えなかったようなのです。
笛の吹き方は至って簡単で、笛を前歯で軽くくわえ、歌を歌うようにして息を出せばいいだけでした。さすがに「なんでも」吹ける笛だけあって、本当にどんな曲でも吹けました。
翌日私はその笛をこっそり学校に持って行きました、笛の力を借りてクラスの人気者になろうと思ったのです。
ところがそんな私の野望も、友だちのこんなひとことで打ち砕かれたのです。
「昨日あそこで売っていた笛さあ、全部同じものなんだってさ。6年生が言ってたよ」
やい6年、余計なことを言うな! もし言うならもっと早く言え・・・
みなさんもウマイ話には充分お気をつけ下さい。
決して笛を吹かれても、踊らされてはいけないのです。
それでは、また来週!