観光地でもないヴィシャカパトナムに来た理由は、ただ単に乗り継ぎの為だけでした。この旅の私の最大の目的地であるバスタル地方へ行くための列車が、毎朝一本この街から出ているのです。
ということで、ここは一泊するだけの街という位置づけでありまして、特にここで何かを見よう、また何かが見られるとは思ってもいませんでした。
ところが昼飯を求めて路地裏をウロウロしておりましたら、おっ、なんだあれは?オートリキシャのオープンカーか?とにかく何か私の好物の匂いがするぞ!という光景にぶち当たったのです。なにぶん強烈な太陽の降り注ぐインドですので、さすがにオープンカーではありませんでしたが、ここは私が前々から見たかったオートリキシャの修理工場だったのです。
まあ工場と言っても道端を作業場としているような、ホントに小さな小さな工場なのですが、日本で考えるような整備を中心とした修理とは違い、どちらかというと「作り直し」みたいなことをやっているようです。そんな工場がこの路地裏にはたくさんあるのですが、この工場では幌を掛けるフレームの溶接作業を3人がかりで行っていました。
もっとも溶接をしているのはその中の一人で、それを見守っている人が一人と、さらにその二人を見守っている人の計3人で作業を慎重に行っているのです。
見れば傍らにはまるで骨と皮だけといった変わり果てた姿になったオートリキシャが、打ち捨てられたようにたたずんでいましたが、これもきっとそのうち立派なオートリキシャに生まれ変わり、街中をパタパタ走り回る日が来るのでしょう。ちなみにここヴィシャカパトナムはアーンドラ・プラデシュ州に属しているのですが、ここのオートリキシャもタミル・ナドゥー州と同じ全身黄色の塗装です。
さて、そんな通りには修理工場以外にもいろいろなオートリキシャ関連のお店があります。
たとえばこちらでは、愛車をさらに美しくドレスアップするための各種ステッカーを扱っています。ちょうどフロントガラスにステッカー装飾を施しているところでしたので、その作業風景を写真に収めようとしたところ、このおっさん一度身を引いてしまいました。
おっさんからすれば、ガラスにきれいに貼ったステッカーが写しやすくなるようにとの配慮だったようですが、「いや、作業風景を写したいんだよ」と言って(ジェスチャーでね)作業を再開してもらいました。なるほど・・・ただ単に出来合いのステッカーを貼るだけではなくて、アーチの形に切り抜いたり、またそこに細いテープで縁取りしたりと、なかなか手の込んだ職人技なのですね。
この他にも、シートばかりを専門に張っている店や、泥除けやマットなどを作る店などがありました。
とにかくこのあたり一帯は、オートリキシャ関連で生活している人が寄り集まっている、いわばオートリキシャ横丁といった感じの所で、オートリキシャ好きの私にとってはヨダレがでーでー流れ出てしまうくらいの夢のパラダイスなのでありました。
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