インドのホテル事情の続きです。
インドの安目のホテルには、私が怖いと感じる「ある」ものがあります。
それはカンヌキ式のドアです。
安目のホテルのドアは、ノブに錠がついたタイプではありません。
ただの木の扉の外側と内側にカンヌキが付いるだけなのです。
もちろん安全のための「覗き窓」とか「チェーンロック」など付いているはずがありません。
でも私が「怖い」と思うのは、賊の侵入に対する安全性のことではないのです。
いくらインドのカンヌキでも、しっかりと閉めればまあ安心です。
じゃあ何が怖いのか?と申しますと、誰かが外のカンヌキを閉めやしないかということなのです。
特に外のカンヌキは、大きな南京錠が掛けられるようにしっかりとした造りのものが多いのです。
そんな立派なカンヌキをガシャッと掛けられた日にゃぁあんた、二度と外には出られないでしょう。
しかもインドの安目のホテルは、よく窓に鉄格子がはまっていることがあるのです。
これでは牢屋とあまり変わりません。火事にでもなったら大変です。
そんな訳で、私はあのドアの外側のカンヌキを見るたびに思うのです。
「誰か閉めたりしやしないだろうか。結構軽い気持ちでいたずら半分にやっちゃったりするんだよな。
私だったらやるもんな・・・驚くだろうな中にいるやつ。カンヌキ閉めといて『火事だぁ~!』って叫んだら・・・くすくす・・・やっちゃお・・・」
ってね。
そんなホテルの部屋に二人で泊まると、これがまた不便です。
自分は外出したいんだけど、相棒が寝てしまっていて起こすのはちょっと悪いかな、というようなときです。
相棒が起きていれば、自分が部屋を出たあと内側からカンヌキを閉めてもらえるのですが、相棒は寝てしまっています。
そこで外側からカンヌキを閉めるのですが、それだけでは相棒が寝ている間に賊が侵入する可能性があります。
しかたなく南京錠も掛けてしまいます。がちゃり。
そのまま外出してしまうのですが、それこそその間に火事にでもなったら大変です。
内側からはドアは開かない、かといって外側からも開けられない・・・・とても悲惨です。
今度はもっとハイクラスのホテルの話です。
私もカンヌキ式ではないドアのホテルにも泊まったことがあります。
なにしろカンヌキ式ではないちょっとハイクラスのホテルですから、トイレとシャワーも部屋についています。
さらに驚くべきことに、その部屋とトイレを仕切るドアにも錠がついていたのです。
その錠はノブの中央のボタンを押し込む方式のもので、日本でもおなじみのものだったのですが、これがついうっかりボタンを押し込んだまま外からドアを閉めてしまったのです。
もちろん外側からはノブが回らなくなってしまいました。
外側のノブには鍵穴があるだけなのです。
ハイクラスのホテルですからフロントに電話をすれば誰か来てくれるでしょうが、もう夜中だったので面倒くさい気持ちもあり、朝までおしっこもうんこも我慢しようと覚悟を決めました。
でもその時、なぜか「やるだけやってみよう」という気になって、手持ちの鍵を出してみました。
そしてその中からサムソナイトのスーツケース用の鍵を選ぶと、鍵穴に差し込んでみたのです。
「かちゃり」
ドアの錠は難なく開いてしまいました。
私は心底ホッとしました。
「あ~、これでおしっこやうんこがし放題だ・・・・」
しかし安心して冷静になるとなんだかとても不満な気持ちになりました。
「たかがトイレのドアだけど、スーツケースの鍵で開いていいのだろうか?えっ、インド人よ」
でもこれを私だけの秘密にしておけば面白いかもしれません。
たとえば相棒がトイレでうんこをしている最中に、鍵を開けてドアを全開にしてしまうとか。
あっ、それよりいつも錠のかかった状態にしておいて、自分が使うときだけ開けるという方がいいかもしれないな・・・
くすくす・・・相棒あせるぞ・・・トイレ行きたくてもドアが開かなくて・・・・
うんこ漏らしちゃったりして・・・くすくす・・・
誰か私とインド行きません?