インドには動物がいっぱいいます。
それも人間の生活しているすぐ隣にいます。
みなさんもよくご存知の聖なる牛を始めと致しまして、ヤギ、ロバ、ウマ、ヒツジ、サル、トリ、イヌ、イー・・・イー?
まあ実物十二支ができてしまうくらい、身近にたくさんの動物がいるのです。
その中でもやはり一番目に付くのは牛です。
インドの牛はやせていますがやはり牛、大きいです。
あんなに大きな動物が放し飼いにされていてもいいのでしょうか?
せまい路地なんかで牛と遭遇しますとちょっと怖いです。
牛と壁のわずかな隙間を通り抜けようとするとき、牛がわき腹を押し付けて来たらどうなるでしょう?
なにしろやせてあばら骨が見えているような牛なのです。
あのあばら骨でぐりぐりやられたら、たちまち肩こり腰痛、眼精疲労などが消え、さらには洗濯板効果で服まできれいになってしまうでしょう。
まさに聖なる牛、ありがたいじゃあありませんか。
さらに牛のフンは良い燃料になります。
牛のフンにワラを混ぜて乾燥させたものを燃料として使います。
ちょっと田舎に行きますと、この牛フン燃料を手のひら大にしたものが、家の壁一面に張り付けられていたりします。
それは肉厚の茶色いクッキーのように見え、それが壁を覆いつくした家は、まるでおとぎの国のお菓子の家のようです。
とってもロマンチックな光景なのです・・・匂いさえなければ・・・
そして牛は農作業や運搬の仕事にも使われます。
鋤を牽いて田を耕したり、重い荷物を積んだ車を牽いたりします。
ムチでお尻をピシピシ叩かれたりもしています。
こんなんで本当にインド人は牛を大切にしているのでしょうか?
バラナシの路地で前を歩いていた子供が、通りすがりの牛のわき腹を拳固で殴りました。とてもバチあたりな子供です。
そこで私も真似して拳固で殴ってみました。
牛のわき腹は意外なほど柔らかく、またあたたかでした。
ところが私が牛を殴った瞬間、前を歩いていたバチあたりな少年が急に振り向き、私の行為を目撃しました。
その少年はすごく驚いた表情で私を見ました。自分も殴ったくせに。
つまりそんなバチあたりな少年でも「牛は大切にしなければならない」と思っているのでしょう。自分も殴ったくせに・・・
このようにインドの牛は、耕運機、運搬車両、燃料製造器などになり、そして時にはサンドバックにもなったりしながら、たくましくのらくら生きているのです。
注:良い子のみなさんは、牛を拳固で殴ったりしないで下さい。
肉が柔らかくなりおいしくなってしまいます。