さて、前回まではホテルの設備関連の説明だけで終わってしまいましたが、このホテルはなんと行ってもアーユル・ヴェーダを中心とした各種リラクゼーションプログラムが目玉なのです。
とは言ったものの、私はこのホテルに関しての予備知識がほとんどないままに来てしまったので、そういったものを受けるつもりはありませんでした。
しかし、「ここまで来てこれを受けないと意味がない」というC君の言葉もあり、自分でも「そりゃそうだな」と思いましたので、まずはコースの予約ができるスパ施設へ行こうじゃないかと、部屋に備え付けのクルタに着替えて出掛けたのであります。
スパ施設の受付で100種類以上もあるコースメニューを見せてもらい、私はマッサージ中心の「Abhyanga」というものを選びました。
これは全身オイルマッサージのコースで、時間は約60分とのことです。通常インドでは「5分待て」と言われると軽く30分は待たされ、「明日できる」と言われると1週間かかったりしますので、この60分コースも実際には10時間くらいかかり、長時間のマッサージに耐え切れず全身の皮がはがれてしまい、まるでイナバの白ウサギみたいになってしまうという恐れもありましたが、まあそれはそれで一皮むけたいい男になるのでいいのではないかと、その場で正式に申し込みました。
ところが驚いたことに、結構予約が立て込んでいるようで、午後7時からのコースでないと予約できないとのことでした。しかし後に知ったところによりますと、混む時は希望のコースを受けることもできないとのことなのであります。
と言うことで、7時少し前に出直して来て、まずはスパの施設でリラックスすることにしました。
しかし外国、しかもインドのスパの利用方法がイマイチわかりません。
はたして日本の温泉のように、素っ裸で湯船に飛び込んでもいいものなのでしょうか?
そんな疑問と不安を抱きつつロッカー室に行くと、そこにはインストラクターらしきおにいさんがいるではないですか。きっとこのおにいさんがいろいろ教えてくれるのでしょう。
はたしておにいさんは、私たちにスパの設備や使用方法などを説明し始めました。しかし肝心の「素っ裸になるのかどうなのか」というところは説明してくれません。わざとその説明をはぶいて、温泉大国日本から来た人間が、どうやってスパを利用するか観察するつもりなのでしょうか。
そんな観察者の前で、うっかり素っ裸になって後で話のタネにされるのはいやですので、単刀直入に「これもとるのか?」とパンツを指差して聞いてみました。するとおにいさんはやさしく微笑んで「これをお使い下さい」と、紙でできた使い捨てパンツを手渡してくれました。
危ない危ない・・・うっかり素っ裸になってしまい、スタッフルームでの笑い話にされるところだった・・・
手渡された使い捨てパンツはかなりのデカパンで、しかも紙でできているため思いっきり横に平べったく広がっており、それをはいた姿は鏡を見ずとも相当かっこ悪いであろうことが容易に想像できましたが、この際仕方ありません。素っ裸よりはマシでしょう。
そんなデカパン二人組みは、インストラクターのおにいさんの指導の下、第一番目の浴槽へと向かいました。
第一番目のものは、浴槽とは呼べないような、くるぶしくらいまでの深さしかない円形のものでした。
その円形は四分割されており、ぬるめのお湯と少し温かいお湯が交互に張ってあり、底にはうずらの玉子大の石が敷き詰めてあります。
そこをじゃぶじゃぶと何周か回れというのです。どうやら足の裏に刺激を与えるのが目的のようです。
私とC君はデカパン姿で浴槽をゆっくりと歩き始めました。
歩き出すと全体重が交互に片足にかかるため、敷き詰められた石が結構強い刺激を足の裏に与えます。
私より体重のあるC君は浴槽中央のポールにつかまり、かなりつらそうに顔をゆがめて歩いて行くのですが、そのデカパン姿がおかしくてとても同情する気にはなれません。
でもまあ、このつらい第一の浴槽をこなしてしまえば、きっと次からはリラックスできる浴槽が待っているだろうと思っているところに、筋骨隆々たる男が我々の前に登場したのであります。
お、お前はいったい誰なんだ!
さあ、はたしてデカパン二人組みの前に現れた謎の男は、いったい何者なのでしょうか。そしてその男の目的とは。
えっ?
そいつはアーユル・ヴェーダの施術者で、予約の時間だから迎えに来たのだろうって?
・・・・
さ、さあ・・・そ、それはどーかな。
と言うわけで、いよいよ次回はアーユル・ヴェーダを受けに・・・
あっ、まだわかりません。その男は悪者で、スパを舞台に大活劇が繰り広げられるのかもしれません。
とにかく、手に汗握る展開は、次回を待たれよ!
つづく