ラクダ隊商の隊長こと松本です。
その後いかがお過ごしでしょうか。
暦の上では・・・
四月です。
新年度あけましておめでとうございます。
今年度もどうぞよろしくお願い申し上げます。
みなさまのところの桜はどのような具合でしょうか。
私のところの桜はすでにピークを過ぎ、葉桜になっていたり、早いものはほとんど花びらの散ってしまったものなどもあり、とにかく今年の花見はもうおしまいっていう感じになっております。
そんなわけで先週の日曜日には、市内の運動公園というところで桜祭りなどというものが盛大に開催されておりました。
しかも当日は初夏を思わせる陽気とあって、たくさんの市民が繰り出し、かく言う私も花粉症を気にしながらも行って来たわけであります。
私は公園に向かう途中、少し遠回りをして缶ビールを2本買いました。
お祭りの会場などで買うとさぞ高いであろうと予想したからです。
ところがどっこい、市民公園で開催する市民祭り的なイベントのためでしょうか、会場で売られていたビールは予想に反して安く、私が買った値段より20円ほど高い程度でした。
あーあ、これじゃあわざわざ遠回りして買った私の立場ってえものがないじゃないですか。
できればお祭りの会場では一本500円くらいで売って欲しかったなあと思ったわけであります。
さて、日曜日はそんな風に穏やかに過ぎて行ったのですが、その後の冷え込みといったらありゃしません。
四月だってえのに霜がおりたり雪がふったりで、とにかく寒いのなんのって・・・
テレビのニュースキャスターも、「あまりの寒さに仕舞ったコートを引っ張り出しました」なんて言ってましたが、さすがにそれはウソでしょう。
きっとまだ仕舞ってなかったと思いますよ。
なので引っ張り出してなんていないのです。ただハンガーから外して着てきただけだと思うのです。
えっ?
それはこういう時のあいさつみたいな言い方だから追求するなって?
なるほど・・・
実は私もあまりの寒さに、すでに灯油を抜きピカピカに磨き上げ、物置の一番奥に仕舞い込んだファンヒーターを引っ張り出して点けたのであります。
とまあ、寒暖の差が激しい今日この頃ですが、新年度もスタートしたことですので、はりきって参りましょう!
*このメルマガの後半に続きます。
〔 中略 〕
*前半からの続きです。
えー、国内での寒暖の差も激しいのですが、私は夏の始まったインドから帰国したばかりですので、そのギャップといったらありません。
ああ、インドの暖かさ(暑さ?)が懐かしい・・・
ということで、先週に引き続きましての「砂漠の都市ビカネール」への旅のお話しをして参りましょう。
まずは前回までのあらすじです。
【前回までのあらすじ】
私たち一行は、前人未到の地・・・いえ、個人的未踏の地ビカネールを目指し、おんぼろアンバサダーでジャイプールの街を後にしました。
ジャイプールの市街地を抜けるとすぐに、行けども行けども砂また砂の風景になるかと思いきや、予想に反して砂漠はなかなか姿を現さず、「早く姿を現せ!」といら立つ私だったのであります。
【あらすじおしまい】
我らがアンバサダーはNH11(国道11号線)アグラ-ビカネール線を突っ走ります。
この道は主要幹線道路ではあるのですが、路面は簡易舗装といったもので、そのアスファルトの両側はお好み焼きの端っこみたいに、土の上にだらだらと流れ出したような感じになっているのです。
そんな片側一車線の対面通行の道をアンバサダーは突っ走っているのですが、遅いトラックなどは反対車線にはみ出て追い抜かなければなりません。
これが実に怖いのです。
まずアンバサダーはトラックの尻にくっつくくらいに接近し、追い抜きのチャンスを伺います。
そして対向車が途切れた瞬間反対車線に飛び出し、一気にアクセルを踏み込むのです。
しかし!
おんぼろのアンバサダーは悲しいくらいに加速が鈍く、ドライバー氏のアクセルを踏み込む力に対して実に不誠実にのろのろとスピードを上げて行くだけなのです。
そうする間にも前方から迫って来る大型トラックの姿がみるみる大きくなって来たではありませんか。
ああ!このままでは追い越す前にあのトラックが来てしまう~!
危ない!ぶつかるぞ!
と次の瞬間、対向のトラックがわずかにハンドルを切り、片側の車輪を土の路肩に落としながらすれ違って行きました。
ああ・・・死ぬかと思った・・・
こんなことがいったい何度あったでしょうか。
その都度私は少しでもおんぼろアンバサダーの加速のお手伝いができればと、右足を力いっぱい踏ん張ってしまうのでした。もうくたくたです。
しかし、経験は人を成長させるものです。
しばらくすると、そんな危険な追い抜きもそれほど怖くなくなって来ました。
なんかもう半分開き直って、ドライバー氏に命を預けた気分になったのです。
そんな風に少し落ち着いた気分で追い抜き風景を観察してみましたら、このドライバー氏の追い抜きは決して無謀なものではないことがわかりました。
ドライバー氏は追い抜きを掛ける際に、前方から来る対向車の車種を見極め、その車のスピードと自分の車のスピード、そして追い抜く車のスピードとそれに要する距離を瞬時に計算し、反対車線に飛び出しているということがわかったのです。(そうであって欲しいと思います)
また、一見みな勝手に爆走しているように見える車たちにも、暗黙のルールというものがあり、先ほどの対向車のようにギリギリのところで路肩に避けたり、追い抜かれる車も必要に応じて微妙にスピードを落としたりしていることに気付いたのです。(ぜひそうであって欲しいものだと思います)
う~ん、まあ誰だって事故はいやだもんねえ。(インド人も同じ思いであることを切に願います)
しかしこの道路、実に動物の死体が多いのです。
それらはおそらく車に轢かれてしまったものなのでしょうが、先ほどから見かけただけでも、ヒツジ、ヤギ、子ウシ、イヌ、ブタなど、それはもうインドでおなじみの動物オンパレードといった感じなのです。
さすがにゾウやラクダといった大きな動物の死体は見かけませんでしたが、それはたとえ事故が起きても車の方がつぶれてしまい、ゾウやラクダは無傷のまま現場から立ち去っただけなのかもしれません。
とにかくまあ動物の死体が多いのですが、その上をまたどんどん車が轢いて行ってしまうものですから、しばらくすると原型を留めなくなり、やがてきれいさっぱり大地に返って行くのでしょう。
またカラスなども車の往来を縫って死体に近づき、ひとつの命が大地に返るお手伝いなどをしているのであります。ああ、大自然の摂理、食物連鎖よ。
そんな風景を見て私は、このNH11を「ミンチ街道」などと密かに名づけ、世界で一番栄養価の高い肥えた道路であると認定することにしたのであります。
砂漠の旅人よ、飢えたる時はNH11の路面を舐めるがよい。
つづく
はい、今回のお話しいかがでしたか?
また道路を走っているというお話しだけで終わってしまいました。
いつまでたってもビカネールはおろか、砂漠にもたどり着きません。
それでもまあ、目的地は確実に近づいているのです。
待たれよ、次号!
では、また来週!