インド亜大陸の先端近く、ケララ州の州都トリヴァンドラムのバスターミナルには小さなお店が何軒かありました。
そうしたお店は新聞や雑誌を売るとともに、チャイなどの飲み物や、その場で揚げたスナック類なども供しており、これからバスで移動するという人たちが便利に使っているようでした。まあインド版キオスクといったところでしょうか。
そんなお店の一軒で私もチャイを飲みました。
するとお店のおっさんが、「おい、これも食ってみろ」と差し出して来たのが、この油で揚げた丸いボールのようなものだったのです。せっかくの親切を断る理由はどこにもなく、また私もお腹が空いていましたので、それを受け取り食べてみましたら、あ~ら、日本のお饅頭とそっくりな味じゃあないですかあ~。
まわりは油で揚げられているとはいえ、中身はまるであんこそっくりで、いやあこんなインドの先っちょで、まさかの懐かしい日本の味とご対面です。
そのお饅頭の名前を聞くと、おっさんは「そいつは『ファイル』だ」と言いました。(と、私の耳にはそう聞こえました)
そしておっさんはさらにこう付け加えました。
「お金」
なんだよお、タダじゃないのかよお・・・
でもまあそのおっさんのそうした振る舞いはごく自然なものに思え、決して不快なものではありませんでした。
いえ、むしろこんな知らぬ土地で親しく(商売とは言え)接してもらえたことがなんだかちょっと嬉しく、笑顔で代金を払った私だったのであります。
[dfads params=’groups=39&limit=1′]