ハート(市場)

ここではインド先住民族たちが週に一度開催する、「ハート」と呼ばれる市場をご紹介致します。

*注:今回私は3か所のハートに行きましたので、写真はそれらが混ざったものになっています。

バスタル地方はアディヴァシーと呼ばれるインド先住民族が多く暮らす地域です。その数は実に40万人とも言われ、バスタルの総人口の約3分の一を占めるそうです。
彼らはかつてほどではないにしろ、今でも伝統的な生活様式を色濃く残しており、その中のひとつに「ハート」と呼ばれる市があります。
ハートは地域ごとに週に一度、曜日を決めて開かれます。インド先住民の市場「ハート」

開催時間は基本的にお昼過ぎ(12時半頃)から夕方(5時頃)までと意外に短時間です。
しかしハートの開かれる日は、はるか遠くの(たとえば20km以上も離れた)村から大きな荷物を持ってはるばる歩いて来たり、
インド先住民の市場「ハート」

あるいはぎこぎこと自転車を漕いで来たり、
インド先住民の市場「ハート」

はたまた乗合自動車に押し合いへしあいしながら乗っかって来たりと、とにかくみんなハートを目指すのです。
インド先住民の市場「ハート」

それほどハートは彼らの生活の中で大切なものなのです。
そしてハートに来れば、彼らの生活に必要なものはなんでも手に入るのです。
インド先住民の市場「ハート」

それではいったいここではどんなものが売られているのか、その一部ではありますが見て行きましょう。

まずは市場の基本中の基本、野菜です。
これはインゲンにかぼちゃ(切ってあるやつです)、瓜にオクラ・・・でしょうか。
インド先住民の市場「ハート」

これは私が大好きなトウモロコシです。
これが日本のものみたいに変に甘くなくておいしいのです。
ちょっと固いですけど。
インド先住民の市場「ハート」

それからこれも私の好物の落花生です。
サヤ付きのまま売られています。
インド先住民の市場「ハート」

でもって豆類各種です。
インド先住民の市場「ハート」

こちらはインド料理には欠かせない胡椒です。
インド先住民の市場「ハート」

この丸めたものは砂糖だそうです。
インド先住民の市場「ハート」

動物性たんぱく質も売られています。
まずは魚です。
なにぶん山の中ですので淡水魚ばかりですが、結構種類もあって、魚卵まで売られていました。
インド先住民の市場「ハート」

これはアヒルです。
もちろんペットではなく、大切な食糧です。
あっ、もしかしたら飼って玉子を取るのかもしれません。
インド先住民の市場「ハート」

そしてこの地方の名産品、アリです。
このチャプラと呼ばれる蟻は木の中に巣を作る種類とのことで、食用にされます。
白いものは蟻の卵だと思いますが、肝心の「どうやって食べるのか?」ということは聞きそびれました。だってその姿だけでかなり衝撃的なのです。
インド先住民の市場「ハート」

ここからは加工食品の部です。
まずは通称ポン菓子、あのお米をはぜて作るあれです。
インド先住民の市場「ハート」

これは豆の煮物です。
試食してませんのでどんな味付けかわかりません。
インド先住民の市場「ハート」

それからこのコンニャクみたいなものはスイーツだということなのですが・・・
これも試食してないので味はわかりません。
インド先住民の市場「ハート」

さらにはこいつ、
ジュースらしいのですが、私にはどう見ても泥水・・・いえ、カニミソを溶かしたものにしか見えなくて、せっかく勧めてくれたのですがご辞退申し上げました。
えっ?なにも試さないんだなって?
私だって体が大事なのです。
インド先住民の市場「ハート」

またその場で揚げ物を作って売ってるなんて人もいらっしゃいました。
ええ、ええ、これも試しませんでしたともさ。
インド先住民の市場「ハート」

さて、ここからは生活用品の部です。
まずはこの地方で作られる石鹸です。
インド先住民の市場「ハート」

それから金物各種です。
包丁は柄の部分まで金属でできています。
もしかしたらこの柄の中に棒をさして使うのかもしれません。
インド先住民の市場「ハート」

女性の必需品、化粧品やお手入れ用品も売られています。
しかし割れた鏡まで置いてますが、売れるのでしょうか?
インド先住民の市場「ハート」

こちらは紐です。
さすが売りものはなんでも立てて飾ろうとするインド。
こんな紐みたいなものも工夫して立つようにしています。
インド先住民の市場「ハート」

そして最後は、私がこの市で「いちばん素朴な商品」なのではないかと思ったもの、
はい、「焚き木」です。
たまに道でこいつを天秤棒のように担いでいる人や、自転車の荷台の左右に吊るしている人を見かけたのですが、ここに持って来て売るためだったんですね。
インド先住民の市場「ハート」

とまあ、ハートでは実に様々なものが売られているというのがおわかり頂けたかと思いますが、実はハートでの一番の目玉は、これからご紹介するものなのです。

ハートを巡っていると必ず目に着くのが、こうして大きなカメを置いて座る女性たちです。
実は彼女たちの売り物はお酒なのです。
インド先住民の市場「ハート」

この地方では家庭で盛んにお酒が造られます。
たとえばこの茶色い液体は、マウワという木の花から造ったお酒です。
インド先住民の市場「ハート」

お願いすると、このような葉っぱの器にお酒を注いでくれ、試飲させてもらえます。
しかしこれも彼女たちの貴重な現金収入の元なのだからと、下手にお金を出そうとすると(と言っても10ルピーとかの小額なのですが)、お酒を山ほど渡そうとするのでちょっと困るのです。
このお酒はほんのりと黒砂糖のような甘さがありました。
お酒なら試飲してしまうところが我ながらおかしいです。
インド先住民の市場「ハート」

こちらはサルフィというお酒で、椰子の樹液から造ります。
味は酸味があって、冷やして飲むとおいしいかもしれません。
気温が高いためか醸造の進みが早いとのことで、朝仕込んだお酒が夜には飲めるとか、昨日と一昨日のものではかなり味が違うとかいう話を聞きました。
インド先住民の市場「ハート」

さて、こうしてたくさんのお酒が売られているということは、それを飲む人もいるということです。
で、ちょっと周りを見渡してみれば、あちこちで酒盛りの輪ができているではありませんか。
そうなのです。ハートは物を売り買いするだけの場所ではなく、一週間に一度、みんなでお酒を酌み交わして楽しむという場でもあるのです。
インド先住民の市場「ハート」

そしてここの酒盛りの実に良い所は、男女が分け隔てなく楽しんでいるということなのです。
とかく飲酒の習慣を良く見られないインドで、しかも女性の飲酒ともなれば白い目で見られるこのインドにあって、この光景はちょっと信じられないものです。
とにかくみなさん本当に楽しそうにお酒を飲んでいます。
インド先住民の市場「ハート」

こちらの人たちはすでにだいぶ飲んでいるようで、ちょっとふらつきながら陽気に話しかけて来ました。
なにぶん土地の言葉ですので何を言ってるのかよくわからないのですが、まあ「お前はどこから来たんだ?飲んでるか?」みたいなことを言っていたのだと思います。
インド先住民の市場「ハート」

ここでもお酒は主にコップや金属容器に入れて飲みますが、先ほど試飲したときに使った葉っぱの容器も大活躍していて、地面には使い終わった容器が散乱しています。
でも葉っぱの容器は超自然素材ですので、やがて土に返るでしょうし、その前にこうしてウシが食べたりするのです。
おいウシ、お酒の付いた葉っぱ、うまいか?
インド先住民の市場「ハート」

もちろんお酒はその場で飲むだけでなく、お持ち帰りもできます。(容器は各自で用意します)
このおじさんはお酒を入れたひょうたんを担いで、これからウキウキしながら家を目指すわけです。
きっと出がけに奥さんから、「いい、途中で飲んじゃダメよ」なんて言われたことでしょう。(想像ですが、たぶんそうです)
インド先住民の市場「ハート」
余談ですが、この後私は酔っぱらったじいさんが自転車ごとひっくり返る光景を目撃しました。
転んでしまったじいさんもかわいそうでしたが、私はそれより自転車の荷台にくくりつけられていたジャックフルーツを見て、おそらくは家族に食べさせようと思って買ったであろうそのじいさんの気持ちに思いが至り、つい涙がこぼれそうになったのでありました。

そんな風にハートとそこに集うアディヴァシーの人たちを見ていると、なんだかほのぼのとした、実に温かい気持ちになるのであります。

心がささくれ立ったら、ハートに行こう!

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