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インド:雨は職業洗濯屋に笑顔をもたらすのか涙をもたらすのか・インドでの洗濯事情その4

         
  • 公開日:2007年3月2日
  • 最終更新日:2022年6月25日

過去3回(その1その2その3)にわたりまして「インドでの洗濯事情」と題して、主に旅先のホテルでの洗濯の仕方などを書いて参りました。

で、今回はその4として、ホテルのランドリーサービスのお話です。

ランドリーサービスの話は前にも少し書きましたので、重複するところもあろうかと思いますが、まあお付き合い下さい。

日本ではホテルに限らず衣服をクリーニングに出すということは、コスト的にばかになりませんので、出すものと言えば大切な晴れ着や高級衣類、または自宅では洗えないスーツや革製品、それからビシッとのりをきかせたいワイシャツなどが中心になるかと思います。
少なくともごく普通のTシャツや、ユニ○ロで買ったようなコットンパンツを、クリーニングに出すということはあまりないのではないでしょうか。

ところが、インドではそういうものも出す時があるのです。

前回までのお話にありますように、インドではホテルに泊まっていても、基本的に洗濯は自分で行います。(あっ、ファイブスターホテルなんかの事情は知りませんよ、私は)
しかし、雨季などに入り洗濯物の乾きがイマイチ悪い時などは、ホテルのランドリーサービスを頼むことがあります。
料金はTシャツで20ルピー(約60円弱)、ズボンで30ルピー(約90円弱)と言ったところです。
今日本にいてこの料金をあらためて見直してみますと、とても安いですね。
これならあんなに苦労して洗濯しなくてもよかったんじゃあないか・・・とも思うのですが、インドにいる時はそれがもったいないと思ってしまうのです。現地の金銭感覚になりますから。

で、とにかく部屋に干した洗濯物が乾かず、毎朝洗濯ロープに掛かった湿ったズボンを外し、それに足を入れるときの気持ち悪さといったらありません。
また部屋の中央を横切る洗濯ロープは常に洗濯物が花盛りで、それが部屋を薄暗くし、さらには異臭さえも放つようになると、もう精神衛生上あまりよろしくない状態になります。
あまつさえ、出発の日が近いとなると、こいつらをどうにかしなければ、という気持ちになるのです。

そこでいよいよランドリーサービスのお出ましです。

ホテルのランドリーサービスと言えば聞こえがいいのですが、来るのはごくふつーのおっさんです。そのおっさんはドビーと呼ばれる洗濯屋で、ホテルと契約して宿泊者の洗濯物を一手に引き受けているのです。そんなおっさんが毎朝ホテルに来ては、「洗濯の御用はないかね?」と聞いて回るのです。

私もある朝ついにTシャツやズボンを出しました。もう自分の力ではちゃんと乾かすことができなくなってしまったからです。
ドビーのおっさんは私の出した衣類を抱えて専用の洗濯場、または川、もしくは池などに行き、洗濯をします。
そしてそこら辺の石の上や、塀の上などに干し、一応アイロン掛け(これはおそらくアイロン掛け専門の人がやるのだと思います)までして再び部屋に持って来てくれるのです。

その日の夕方、私の洗濯物が戻って来ました。ドビーのおっさんは私にそれらを渡し、料金を受け取ると逃げるように出て行きました。なんだかとても急いでいるようです。

私はさっそく洗濯された衣類をチェックしてみました。
きれいにアイロン掛けされ、折りたたまれたズボンはまだ温かく、あたかも湯気が出そうな気さえします。

ん? 湯気が出そう・・・

それは気のせいではありませんでした。
さすがに湯気は立ち上ってはいませんでしたが、私のズボンはまだちゃんと乾いておらず、ポケットの部分などはかなり湿っているではありませんか。
どうやら午後に降った強い雨のせいで、洗濯物が乾かなかったのでしょう。
そしてアイロン掛けはその水分を飛ばし切るほどは掛けられておらず、ただ単に水分を温かくしただけなのでした。そりゃあそうです、水分を飛ばすのがアイロン掛けの目的ではないのです。

考えてみればこの雨は、私の頭上にのみ降っているわけではなく、外で洗濯をするドビーたちにも同じように降るわけで、ランドリーサービスなんだから大丈夫と思った自分が浅はかだったのであります。

アイロンの熱がさめた私のズボンは、部屋で干したときとあまり変わらない状態になってしまいました。

まっ、いいか。

ここはインドなんだから。