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スリランカは果てしなく遠かった・その3:ダヌシュコーディー

         
  • 公開日:2010年12月20日
  • 最終更新日:2022年6月3日

私は今、オートリキシャでラーメシュワラムからダヌシュコーディーというところを目指しています。いえ、うっかりまた同じ記事を書いてしまっているのではありません。
それが証拠に先日の記事とは乗ってるオートリキシャが違います。前回のはサイドミラーが車内に取り付けられていましたが、今回のは外側に出っ張っています。

実は私、前回のダヌシュコーディー単独踏破の夢が断たれた晩、悔し涙で枕を濡らせながら、「せっかくここまで来たのにアダムス・ブリッジを見ずに帰ってしまっていいのか?」と自問自答したのです。
そして「この機会を逃したら、またいつここに来られるかわからない。いや、もしかしたらもう二度と来られないかもしれない」と思い、ラーメシュワラムの滞在をもう一日延ばし、再度アタックを仕掛けてみることにしたのであります。

とは言っても、また歩いて行くぞ!というのではありません。
今回はちゃんとトラックに乗って確実に先端にたどり着こうというのです。まあそれが常識的な選択であり、たいていの人はそうしてるわけですけど。

昨日はトラック野郎たちに完全に無視され、相手にしてもらえなかったことが最大の敗因(もしかしたら短気を起こしたのが最大の敗因かもしれませんが)と分析し、今日はこちらから積極的にトラック野郎に話し掛け、「我ここにあり!もう無視なんか許さない!いじめ反対!自殺(行為)撲滅!」のスローガンも勇ましく、トラックが出発するための要件を満たす人数が集まるのをひたすら待ちました。ところが観光客の乗った車は散発的に到着するものの、なぜかほとんどの人がトラック乗り場に来ず、また不思議なことにトラック野郎たちもなんら勧誘行為をしないのです。こいつらホントにインド人なのでしょうか?
そしてようやくこちらに来る一団があるかと思えば、昨日同様自分たちだけでトラックを一台借り上げてしまい、私を置いてさっさと行ってしまうのであります。

しかし今日の私は昨日よりひとつ成長していますので、もうヤケになって歩き出したりしません。ただひたすらチャンスが来るのを待つのみです。

そんな私を神は見捨てませんでした。やがて現れたグループ客と利害が一致したのです。
彼らも自分たちだけでは一台借り上げるまでの人数がないため、私を含めた他の観光客とトラックをシェアすることになったのです。
ただしそれでもまだ人数が少なく、一人頭100ルピー(約200円)という料金になってしまいましたが、あの灼熱の砂浜を歩くのに比べたら安いものです。

ということで、ようやく私も車上の人となれたのであります。しばらくは深い轍(わだち)のついた道を、左右に大きく車体を揺らしながらゆっくりと進んでいたトラックですが、やがて砂地に出るとスピードを上げて快走し始めました。

と、10分も走らないうちに、昨日私が小一時間かけて到達した小さな教会が見えて来ました。う~ん、さすがに車は早い・・・

しかしそこから先がまだまだ距離があったのです。

実はこのトラックに乗る直前、ようやくトラック野郎の方から私に話し掛けて来ました。おそらく彼らにとって少人数の旅行者をトラックに乗せるという作業はなかなか厄介で、できればあまりかかわり合いたくないと思っていたのでしょう。

とにかく私がトラックに乗れることになって安心したのか、「お前は昨日も来てたよな?おれはお前を昨日もここで見たぞ」などと軽口をきくようになったのです。私としては「だったら昨日声掛けろよな!」と言いたいところではありますが、まあ今さら怒っても仕方がないので、「昨日は歩いて行ったんだ。でも先端まで行き着かなかった」と答えました。
するとそのトラック野郎は笑いながら、「そりゃそうだ。ここから先端までは9kmあるからな」と言ったのです。

9km・・・そりゃ徒歩で行くのは無茶だわな・・・

まあガイドブックの情報が間違っているということは決して珍しいことではありませんが、今回の場合はかなり深刻です。「4km」とあれば私みたいに「歩くぞ!」と思う人は結構・・・いや、たまに・・・う~ん・・・まあまれにいるかもしれません。ガイドブックはあくまでも目安として、現地で情報を得るというのも必要なのです。まっ、現地の人にウソ(悪気はなくても結果的に)つかれちゃうこともありますけどね。

しかもダヌシュコーディーの先端への道は、途中から水の溜まった泥濘地なども通過しなければなりませんので、距離的な問題だけでなく、やはり無難にトラックに乗るのが賢明なのです。そんなわけで、オンボロとはいえ四輪駆動のトラックを持ってしても、先端に到着するまでに25分ほどの時間を要しました。その間外の景色もまともに見られない狭い車内(日本では通常それを『荷台』と呼びますが)に押し込まれ、激しい揺れに耐えながらの行程でしたので、まずは景色を楽しむより先に、体を思いっきり伸ばしてみた私だったのであります。

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インドの伝統工芸細密画