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悲しいときぃ~、夕日が沈むときぃ~:マウント・アブー

         
  • 公開日:2010年7月16日
  • 最終更新日:2022年6月3日

マウント・アブー一日観光バスツアーのフィナーレを飾るのは、サンセット・ポイントでした。

参加したツアーは「9時半から日没まで(パンフレットには英語で”9:30 am. to Sunset”と表記)」というものでしたが、正確には「サンセット・ポイントまで」という意味だったらしく、サンセット・ポイントの駐車場でツアー参加者を降ろすと、バスは帰って行ってしまいました。

さすがツアーに組み込まれるだけのことはあり、ひな壇状に整備されたサンセット・ポイントにはすでにたくさんの人が来ており、さらに後から後から人が沸いて出るように増えて行きました。そんなたくさんの人が集まるところをインドの小商人が見逃すはずはなく、わたがし屋や豆売り、そしてキュウリを細長く切って食べさせるウリ売りがウリ売りに来て人ごみの中をウリウリ、いえ、ウロウロしてたりなんかするのであります。

そもそもインド人は日本人より夕日が好きなように見受けられます。
ここだけではなく他の土地のサンセット・ポイントでも、結構大挙して人が押し寄せていたりします。おそらくそれはただ単に「きれいだなあ~」とか「ロマンチックだわあ」という思いからではなく、日中さんざん苦しめられた暑さからようやく解放されるという安堵感と、それをヴィジュアル的にも確かめようということではないかと思うわけです。つまりあれだけ凶暴だった太陽が弱って行くその様を見届けてやろうじゃないのさ、そしてできれば「ふん、あんたももう年貢の納め時だわね」などと言ってやろうじゃないのさ、ということなのだと思うのです。

さて、そんなマウント・アブーから眺める夕日でしたが、残念ながらラジャスタンの広大な大地に沈むという光景は見ることができませんでした。
なぜなら大地の際にはうす雲だか霞だかがかかっていたため、太陽はその中に埋没して行き、次第に姿を消して行ったのであります。そして完全に太陽が見えなくなると、それまで静かに見守っていたインド人たちは、薄暮の余韻を楽しむこともなくどんどん帰路についてしまうのですが、それはなんだか映画が終わった瞬間に席を立つような行為のようで、エンディングロールが終わり館内が明るくなるまで席を立たない私にとっては、実に残念なことのように思えてならないのでありました。

花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは・・・

悲しいときい~、夕日が沈んだ瞬間に帰り始める人たちを見たときい~

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インドの南京錠