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第73回:ブジ / ラクダのラグ作り見学

         
  • 公開日:2014年6月16日
  • 最終更新日:2022年6月21日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時の1ルピー(Rs.と略す)のレートを約1.7円とお考え下さい。

2013年11月22日(金)ブジ 晴

食後はラクダのウールの織物作り(機織り)を見学する。

ヨコ糸をたるませて織り、将来的な縮みに備える工夫もされている。

4x6インチのもので4週間かかるとのこと。

最後に奥さんが手作りのバングルやミサンガを見せに来たが、誰も買わなかった。

〔以下メモに解説を加えて〕

2013年11月22日(金)ブジ 晴

食後はラクダのウールの織物作り(機織り)を見学する。

一般的に「ウール」と言うと羊のものを指すので、「ラクダのウール」というのはちょっと違和感を覚えるかもしれないが、まあ「ラクダの羊毛」と言ってるわけではないのでこれでいいのだ。
とにかく食事を頂いた家は、そのラクダのウールでラグを織ることを家業としているというので、その作業風景を見学した。

簡単な造りの作業場には、あらかじめラグの大きさにタテ糸が張られていて、そこに二人がかりでヨコ糸を織り込んで行くという作業である。使われる糸はもちろんラクダから採ったものである。
そのためか色合いは主に地味なものが多い様だが、インドらしく派手なオレンジ色に染められたものもある。ヨコ糸をたるませて織り、将来的な縮みに備える工夫もされている。

反対側にいる相棒にヨコ糸を通して渡すのだが、この時ヨコ糸はピンとは張らず波状にたるませる。こうすることによって実用に供された際の(おそらく水洗いなどによる)糸の縮みによるゆがみを防ぐのだという。なるほど、よく工夫されているものだと感心したが、そのことを発見して質問したのは同行の日本人女性だったので、その人の観察眼のほうにより感心してしまった。

でまあヨコ糸はたるませた状態のまま、ハタと呼ばれる櫛歯の工具で叩き込むといった感じでしっかり織り込まれて行く。
4x6インチのもので4週間かかるとのこと。

4x6というのは実際には40インチx60インチのことで、およそ1mx1.5mの大きさである。そのサイズで約一ヶ月もかかるということであったが、おそらく朝から晩までこの作業をやり続けてのことではないと思う。たぶん合間に農作業などをしているか、それとも農作業の合間にこちらの作業をしているのだろう。
最後に奥さんが手作りのバングルやミサンガを見せに来たが、誰も買わなかった。

本当はラグを買ってもらうのが一番嬉しいのだと思うが、普通の旅行者は荷物になるのでなかなか買わないからであろう、奥さん手作りのお土産品が目の前に並べられた。しかしそれも誰も買わないし、手に取って見ようとすらしない。
もしかしたらこうしたお土産品の制作販売は、近年地域興しの一環として観光協会やガイド組合(そんなものがあるのかどうか知らないが)から奨励されているのかもしれないが、まだそうしたことに慣れていない女性たちが、なんとも恥ずかしそうに商品を広げるのを見ていると、気の毒に思えてならないのである。

奥さんはお土産品と一緒にお子さんを連れて来てご主人のひざに預けた。
この次代を担う子どものためにも誰かラグを買ってあげればいいのになあと、あらためて同行の方々の顔をうかがったのだが、みなただ押し黙って微笑み続けるだけで、ガイド氏からの「そろそろ行きましょうか」の一言をただただ待ち続けているのであった。

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