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2001年7月9日:カオスの都 / カルカッタ

         
  • 公開日:2001年7月9日
  • 最終更新日:2022年6月2日

インドな日々

2001/07/09 カオスの都 カルカッタ

カルカッタは「混沌」という言葉が似合う街である。
私が言うのではない、本に書いてあったのだ。

人口1,200万人を抱える大都市カルカッタ。
そんな魔窟にいよいよ到着である。いやが上にも力が入るではないか。

なにしろ私はインドの大都市には連敗中なのである。
しかも今回は、インド四大都市の中でも強豪中の強豪「カルカッタ」なのである。

なめんなよ!ぶっとばすぞ!

列車はなぜか定刻より20分も早くハウラー駅に到着した。
あんまり早く到着したので、着いたのに気付かずしばらく降りずにいたら、周りに誰もいなくなってしまったくらいである。
着いた早々これではいかん!

早速タクシードライバーと称する男が誘いに来た。
ばか者め!私を誰と心得る。
越後のちりめん問屋のご隠居で、二冊法師なのだぞ!
えーい!頭が高ぁーい!

ハウラー駅には「プリペイド・タクシー」と言うのがあり、事前に窓口で行き先を告げ料金を払うシステムのタクシーがあるのだ。
ガイドブックにそう書いてあったもんね。
そう言う私にタクシードライバーは「プリペイド・タクシーは余計な手数料が掛かるし、それに長い列ができているぞ」と言う。

ふーん、混んでいるのか。
少しぼられても普通のタクシーで行こうかな。
なにしろもう4時だし、日暮れまでに今日の宿を決めなければならないし。
距離からすれば、たぶん30ルピーくらいだろう。
ぼられても60ルピーくらいのものなら大した事はない。料金を聞いてみよう。

「180ルピー」

お話にならない。完全にカルカッタになめられている・・・

並ぶのを覚悟でプリペイド・タクシーのブースへ行ってみた。

そこにはたしかに長い列ができていた。
しかしそれは客ではなく、タクシーの客待ちの列であった。

窓口で43ルピーのチケットを買い、指定されたタクシーへ乗り込む。
しかしまだ油断はできない。
ドライバーはなんだかやる気のなさそうな若者である。
違う場所に連れていかれる可能性だってあるのだ。

それでもおんぼろタクシーはのろのろとぬかるみだらけの駅構内を走り出した。

このハウラー駅のあるハウラー地区から、カルカッタの中心地区へ行くには橋を渡らなければならない。
有名なハウラー橋である。
朝夕のラッシュ時には橋を渡るのに30分以上もかかることもあると言う。
今は午後4時なので、そろそろ混雑が始まっている可能性もある。

やはり混雑はしているものの、それほどの渋滞ではなく、タクシーはのろのろと橋を渡って行く。
下に流れる川はフグーリー川と言う。
なんだか金玉袋みたいな、ちょっとはずかしい名前の川である。

橋を抜けるといよいよ魔窟の本陣である。
いつ敵が襲って来ても反撃できる態勢にしておかなければならない。
バンビーノのボクシングゲームで鍛えた腕が頼りである。
来るなら来い!来ないなら来るな!できればそうしてくれ!

天に祈りが通じ、敵の襲来もなく無事目的地周辺に到着した。
しかし私の指定した行き先は、この通りの奥なのだ。
それなのにこのやる気のないドライバーは「ここはタクシー乗り入れ禁止なんだ」と言い、後は歩けと言う。
なるべく面倒な路地には入りたくないのであろう。大通りのタクシースタンドで降ろされた。
それならそれだいいだろう。でも覚えておけよ。
この礼はマフラーにジャガイモを突っ込むとかの陰湿な方法で返してやるぜ!

私が行こうとしてるのはリンゼイストリートという所である。
この辺で有名なのはサダルストリートという通りで、そこには安宿が集中し、各国からの旅行者目当てにドラッグの売人やトラックの外人などがうごめく魔窟の中の魔窟があるのだが、今回はパスしてその一本手前の通りにしておいた。
ここで再確認しておくが、私は怖くなんかぜんぜんないのだ。
なんだ!魔窟なんか!
私はとても勇敢な男で、人からも「内弁慶」と言う強そうな称号を与えられたことがあるのだ。

さて、リンゼイストリートに入ろうとすると、入り口に「タクシー・進入禁止」の看板があった。
あのやる気のない運転手が言っていたのは本当だったのだ。
むやみに人を疑うものではない。よかった、ジャガイモ持ってなくて。

ホテルでは窓の無い穴蔵みたいな部屋に入れられそうになったが、必死の防戦の末、窓のある部屋を確保した。

こうしてカルカッタ第一戦は、辛くも私の力投で強豪打線を封じ幕を閉じたのである。
明日から始まるカルカッタ第二戦が楽しみである。

来るなら来い!カルカッタ!

窓の下には夜の帳が下りた魔窟が「おまえこそ来るなら、たった今下りてこい!」と、とても実現不可能な無理難題を吹っかけてくるのであった。

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