2001年6月22日:海と空と風と / カニャークマリ

インドな日々

2001/06/22 海と空と風と カニャークマリ

ここは風の街カニャークマリ・・・
そしてここにはでっかい空があった。

高い建物がなく、緩やかな起伏が海に落ち込んでいるからだろうか、本当にここにはでっかい空があるのだ。
絶えず吹く風に雲が流されて行く様をみていると、なんだか地球がぐんぐん回っているように見えてくる。

私は昔から、夏空に湧き上がる入道雲を見ていると、すごく幸せな気分になり、「夏休み帳」とか「夏のドリル」とか「夏のおともだち」なんかを忘れて、無敵になったような気がしたものだ。

そんな雲が、南インドにはある。

私がここに生を受けていたら。万年夏休みの無敵ボーイとして活躍していたであろうに・・・
神様のいじわる・・・

さて、私の滞在しているホテルは「オーシャン・ビュー・モドキ」ではあるが、なかなか快適な環境である。
いつも窓から風が入って来て、とても涼しい。
どのくらい涼しいかと言えば、エアコンはどこだと言う私の質問に対し、係の者が「この周りぜーんぶです!」と胸を張って答えたくらい涼しいのである。
もっとも彼のジョークは、部屋にエアコンのスイッチが無いことを発見するまで気が付かなかった。
私はしばらくの間、本当に全館冷房のホテルだと思っていたのである。
安いわけだ・・・

そんな快適ライフのお供は、じいさんなのである。
係員がみんなシルバー人材センターから派遣されたような人たちなのだ。
私の部屋の担当も、当然じいさんである。
じいさんは、昔は体格が良かったであろうと思われる、彦左衛門のような感じの人である。

この部屋は水しか出ないので、風呂に入る時はお湯を貰わなければならない。
彦左衛門は「いつでもバケツでお湯をお持ちしますじゃ!」と言う。
私が「それでは欲しいときはフロントに電話するから」と言うと、「ブザーをならせば馳せ参じますじゃ!」と言う。
見れば壁に「ベル」の絵が付いたスイッチがある・・・
ふーん、なるほど便利なものだ、と感心すると同時に電話機がないのに気が付いた。
このホテルは彦左衛門と同じくらい古いのだろうか?

彦左衛門は本当に来た。
ブザーを押したら、「お呼びで御座いますか?」と10分くらいしてから来た。
お湯を頼むと、大きなバケツにいっぱい入れて、おっちらおっちら歩いて来る。
なかなか面白い光景である。それ見たさに朝晩風呂に入りたくなる。

もちろんチップが欲しいのであろうが、一生懸命、ルームサービスやランドリーサービスを薦めるのだ。
試しにTシャツを洗濯に出したら、ワイシャツになって帰って来た。
すごいサービスである。

彦左衛門は暇な時、空いてる客室でテレビを見ている。
おそらくいいシーンの時は、都合よくブザーが聞こえないであろう。
まあ、良いではないか、苦しゅうない。

彦左衛門は朝も早い。
頼みもしないのに、「もうすぐ日の出です!」と6時前に起こしてくれる。
たしかにここは、日の出を見る客は多いのだが、各部屋のブザーを鳴らして回るのである。

そんな彦左衛門は、日本の製品が欲しくてたまらないようだ。
チェックアウトの日に、呼んでもいないのに部屋に来て「何か拝領願えぬか?」と聞くのである。
しかたがないので、100円のボールペンをあげたが、不満そうであった。

まあ、変なホテルではあったが、こんなホテルがあってもいいのではなかろうか。
このホテルに行く時は、ぜひ日本製品を持っていってあげて欲しい。

たぶん彦左衛門は、ボールペンや100円ライターではなく、CDウォークマンとかデジタルカメラのほうが喜ぶと思うが・・・

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