2001年5月27日:商店 / ムンバイ

インドな日々

2001/05/27 商店 ムンバイ

インド人は商売人である。
とにかく何でも売ろうとする。相手の事情なんてお構いなしなのだ。

大きな風船を抱えたおじさんが歩いて来る。私に買えと言う。
笛を沢山抱えた少年が片手で器用にピョロリピョロリと吹きながら来る。
太鼓をいくつもぶら下げた男や、絵葉書セットを持った子供が来る。
鍋の取っ手売りまで来る。私はインドに鍋を持って来ていないので断った。
こんどは簡単に刺繍ができてしまう針を売るおじさんが来た。
不思議だ。布に針を刺すだけで刺繍ができる。便利じゃないか!

私が興味を持ったのを見てとったおじさんは俄然はりきり「どこにでも刺繍ができるんだぞ」と、自分のシャツにぶすぶす刺して行く。
すごいすごい、あっと言う間におじさんのシャツの胸には3センチほどの赤い線が縦に引かれた。
でも買ってまで使ってみようとは思わないので断ると、おじさんはさっきのはりきりようは何処へやら、とても悲しそうな顔になってしまった。

私はその後同じ通りを歩くたびに、胸に赤く「1」と刺繍されたシャツを着たおじさんと何度もすれ違った。
簡単に刺繍ができるが、取るのは簡単ではないのだろうか?
でも胸に「1」って書いちゃったのはおじさんなんだからね。私のせいではないぞ。

物売りはなにも路上だけではない。

ホテルの部屋にいるとフロントから電話がかかってきた。
次の目的地までのバスチケットを買えと言うのだ。
私が列車で行くからいいと言うと、バスの方がどんなに便利で安くて快適かをとくとくと語りだす。電話をぜんぜん切らせてもらえないのだ。

そんなに電話での勧誘が好きなら、ホテルになんか勤めずに商品先物取り引きの会社にでも勤めればいいのだ!

私はさすがに頭にきて「今私はとても忙しいのだ!」と見え透いたうそを言うと、フロントの男は「私は今ぜんぜん忙しくないので問題ない」とまで言うのである。

そんな商売熱心なインド人達は、もう全員が「商店」そのものなのだ。
おもしろいことを言って座布団を積み重ねて行くように、努力を積み重ねて少しでも高い位置に行こうとしているのである。みんな必死なのである。

そういうことなら私の帰りのカバンには若干の余裕があるので、彼らの努力を汲んで何か買ってやろうかと思っている。

ちゃらーん!

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