2001年5月26日:さわやかタクシー / ムンバイ

インドな日々

2001/05/26 さわやかタクシー ムンバイ

デリーには市民の足としてタクシー、オートリキシャ、サイクルリキシャが走っていた。
アーマダバードではサイクルリキシャが消えてタクシーとオートリキシャだけになった。
そしてムンバイに来るとオートリキシャもなくなりタクシーだけとなる。

とにかくタクシーだらけの街なのである。
インドのタクシーはだいたい屋根を黄色に、ボディを黒に塗り分けてあるのだが、街中にこれがあふれている。まるで虫の大発生みたいなのだ。ファーブルがこれを見たらすかさず「キグロハシリムシ」などと学名を付けてしまうであろう。

前にも書いたがインド人の車の走らせ方は凄い。混雑した街中をゲーム感覚で縫うように走らせるのである。

ムンバイに到着した朝、インドのタクシーに初めて乗ることになった。
駅には例によって客引きが沢山いて、人が来るとすぐに寄ってくる。
これをファーブルが見たらすかさず「ヒトミヨリツキムシ」などと学名を付けるであろう。
当然私のような外国人紳士が来ればなおさらである。

ほーら、さっそく口の中を噛みタバコで真っ赤にした男が近づいて来た。

「タクシーか?どこまで行く?」と聞いて来るが、まずはちゃんとしたタクシー乗り場を確認しなければならない。変な白タクに乗るのが一番危ないのだ。

「ここはタクシー乗り場なのか?」との私の問いに、その男はうなずき車を指差す。
なるほどキグロハシリムシが沢山生息している。間違いはなさそうである。

そこでようやく「インド門まで行きたいのだが」と切り出すと、一台の車に案内された。
さあ乗れとその男は言うのだが、既に助手席には知らないおじさんが乗っている。
私はこのパターンはヤバイ!ととっさに思った。
それは、この男とドライバーが二人がかりで私から現金、貴重品、クレジットカードに金銀財宝、土地の権利書、そして最後にはケツの毛まで抜いてしまうのだ。考えただけでも痛そうではないか。

私は乗車を拒みつつ「そいつは誰だ?」と聞いてみた。
ドライバーは「ノープロブレム、マイフレンドだ」と言う。
なーんだ、ただの友達だったのか。そういう事は早く言ってくれ。

私は料金を交渉し、後部座席に座った。
車は走り出し、ギアをどんどん変えて朝もやの中を突っ走って行く。

と、右からバイクだ!

キーッ!

ふー間一髪で止まる。

また走り出し狭い通りに突っ込む。

あーっ、左に牛だ牛!右に荷車だ!犬が横切る!子供がうんこしてる!人が寝ている!おばさんのケツがでかい!・・・・・・

こうして次から次へと現れる障害物を、キグロハシリムシは右へ左へ牛若丸のようにかわしながら突っ走って行く。

やがて車は止まり、助手席のマイフレンドが降りて行く。後ろのトランクから大きなカバンを二つも出している。なんだかドライバーにお金も渡しているぞ、マイフレンド・・・
そうか、友達同士でもお金の貸し借りはきちんとしているのだな。なんてさわやかなインディアン・フレンズなんだ!

約束通りインド門に到着したドライバーに、さわやかにチップを渡し、ついでにさわやかな笑顔をあげた。

どうだ!私の方がさわやかさでは一枚上手であろう!ふふふ・・・

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