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2010年インドの旅・実録編:第33回 ゴア

         
  • 公開日:2012年10月25日
  • 最終更新日:2022年6月10日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時1ルピーが約2円だったので、ただ単に2倍にすれば円価になります。

2010年4月4日(日) パナジ 晴 30℃(マドガオンのホーム)

ホームの食堂で昼食
注文のシステムがよくわからずまごつき、ようやく食べることができた。
トマトスープ、ベジ・チョーメン、水 Rs.82

ヒマなので駅の外へ出て見る。
バイクタクシーの写真を撮る。
バイクタクシーの男は、「オレたちはパイロットと言うんだ」と胸を張る。

トイレ Rs.2

16:28 ベンチに座って2時間半経過。もう何本の列車を見送っただろう。

誰かが遠くへ行くのか、たくさんの見送りの人たちが窓に取り付いて別れを惜しんでいる。客車内にまで入っていた少年たちも、動き出した列車から飛び降り、そしてまた走って窓のところまで行く。

この時間は列車の発着がひと段落なのか、ホームの人の数が先ほどまでとは違い少なく落ち着いている。

陽も少し傾き涼しくなったからか、3~4匹の犬がしきりに追いかけっこをしている。

17:40 また何本かの貨物列車が停車しては発車して行き、今目の前にムンバイ行の急行が入線して来た。白人の旅行者が立ち上がり、車両に近づいて行った。

前のベンチのシークの青年がポテトチップをくれ、モバイルに入っている曲が日本のものかどうか聞いてくれと言って来た。ちょっと聞いたが初めて聞く曲で、しかも女性のかすれた声で気だるく歌っているので、何を歌っているのかよく聞き取れない。たぶん「心を自然に保って、風や雨の様にしていなさい」ということだと思うと答えておいた。

チャイを飲みに行ってる間に犬に場所を取られた。

列車のチケットは取れたようである。
これでこの田舎駅からまたパナジに戻らないで済む。あと3時間半・・・

18:40 ついにホームに灯が灯った。これからだんだん暗くなるのである。

暗くなって良い事と言えば涼しくなることで、気温は29℃とちょっとだけ下がった。吹く風はさらに涼しく感じる。
ただ、暗くなったので蚊が出て来た。下に寝ている犬も、顔のあたりを掻いている。

一度3時半に閉めた食堂が再び開き、閉まっていた本屋が開いてまた閉まった。

犬は相変わらず無防備な格好で寝ている。

8時半、歯を磨く。まさしく「ホーム」だ。
この頃からホームにシートを敷いて座り込む人が増えて来た。ますます「ホーム」だ。

9時、2番線へ移る。

9:17 入線

しかしドアの外に乗客リストがないので少々心配。

9:35 ようやくドアの外のリストで確認。

9:38 出発
今回は下段。上段は誰もいなかったので早々に寝る。

しばらくするとカーテンがレールごと落ちる。
みんなで直すが、なぜかカーテンは一枚になった。

3時過ぎまでウトウトしかできなかった。

【以下の解説は2012年10月25日のものです】

〔以下メモに解説を加えて〕

2010年4月4日(日) パナジ 晴 30℃(マドガオンのホーム)

ホームの食堂で昼食 注文のシステムがよくわからずまごつき、ようやく食べることができた。 トマトスープ、ベジ・チョーメン、水 Rs.82

駅のホームにある食堂だからか、殺気にも似た活気に包まれていて、どこでどう注文していいのか戸惑うほどであった。また値段は高めで、味はイマイチなのも駅ゆえのこと。 「ベジ・チョーメン」は「ベジタブル・チョーメン」のことで、まあ野菜ヤキソバといったもの。
マドガオン駅での昼食

ヒマなので駅の外へ出て見る。 バイクタクシーの写真を撮る。 バイクタクシーの男は、「オレたちはパイロットと言うんだ」と胸を張る。

マドガオンの駅は南側がメインのようで(バスから降りて入って来たところは北側)、そこにはタクシーなどもたむろしていた。 「バイク・タクシー」とはその名のままで、バイクの後ろに客を乗せて運ぶというもの。ゴアではしきりに見かけるが、他の州にはないと思う。私はちょっと乗る気にはなれないが、それに乗らなきゃ予定の列車に間に合わない、というのなら乗るかも。そんなバイク・タクシーの運転手は「ドライバー」や「ライダー」とは言わず、「パイロット」と言うのだそうな。
ゴアのバイクタクシー

トイレ Rs.2

駅のトイレはたいてい有料で、入り口にいるおばさんやおじさんに小銭を渡さないと入れない。しっかり料金を表示してあるところもあるが、だいたいはそんなものはなく、慣れないといくら渡していいのか悩んでしまう。

16:28 ベンチに座って2時間半経過。もう何本の列車を見送っただろう。

動いても暑くて疲れるだけなので、ほぼずっとベンチに座り続けた。日本から持って行ってまだ読んでいなかった文庫本を一冊読み切ってしまった。
マドガオン駅のホーム

誰かが遠くへ行くのか、たくさんの見送りの人たちが窓に取り付いて別れを惜しんでいる。客車内にまで入っていた少年たちも、動き出した列車から飛び降り、そしてまた走って窓のところまで行く。

駅にはたくさんの出会いと別れがある。日本ではもうあまり見かけなくなった見送り風景が、ここではまだしっかり残っている。いくら携帯電話やインターネットが普及しても、電波越しでは伝わらないものはたくさんあるのだ。
マドガオン駅のホーム

この時間は列車の発着がひと段落なのか、ホームの人の数が先ほどまでとは違い少なく落ち着いている。

ここに着いた時にはベンチに座り切れないほどの人がいたのに、今ではベンチに寝転がることさえできそうなくらい空いて来た。なんだか取り残されたような(実際そうなのだが)気分でちょっと寂しい。
マドガオン駅のホーム

陽も少し傾き涼しくなったからか、3~4匹の犬がしきりに追いかけっこをしている。

陽の盛りには犬も涼しいところを探して(それはたいていベンチの下だったが)寝てばかりいたが、少し涼しくなったら俄然やる気を出してホームを走り回り始めた。

17:40 また何本かの貨物列車が停車しては発車して行き、今目の前にムンバイ行の急行が入線して来た。白人の旅行者が立ち上がり、車両に近づいて行った。

ベンチに座っている間は共に列車を待つ「同志」として親近感が湧くが、列車に向かうその姿は仲間を見限った「裏切り者」にしか見えない。

前のベンチのシークの青年がポテトチップをくれ、モバイルに入っている曲が日本のものかどうか聞いてくれと言って来た。ちょっと聞いたが初めて聞く曲で、しかも女性のかすれた声で気だるく歌っているので、何を歌っているのかよく聞き取れない。たぶん「心を自然に保って、風や雨の様にしていなさい」ということだと思うと答えておいた。

前のベンチのシーク教徒の青年も「同志」だった。同志は食料も分け合うものである。しかしそんな同志も私よりはるかに早く裏切り者となってしまった。
マドガオン駅のホーム

チャイを飲みに行ってる間に犬に場所を取られた。

場所を取られたと言っても、犬がベンチに座っていたわけではない。本来私が足を置く場所に、犬が寝場所を移していたので座れなくなってしまったのである。インドの野良犬は総じて体がでかいので、怖くてちょっかいなど出せないのだ。
マドガオン駅の犬

列車のチケットは取れたようである。 これでこの田舎駅からまたパナジに戻らないで済む。あと3時間半・・・

当初7時と言われていたが、6時には列車の乗客名簿が掲示板に貼り出された。そこに自分の名前を発見した時は嬉しかった。「サクラサク」の心境であった。
マドガオン駅の掲示板

18:40 ついにホームに灯が灯った。これからだんだん暗くなるのである。

まだ明るいうちはよかったが、日が暮れ始めるとやはりさみしい気持ちになってしまう。まあ列車に乗れることになったで、今夜の不安はなくなったが。
マドガオン駅の夕暮れ

暗くなって良い事と言えば涼しくなることで、気温は29℃とちょっとだけ下がった。吹く風はさらに涼しく感じる。 ただ、暗くなったので蚊が出て来た。下に寝ている犬も、顔のあたりを掻いている。

インドでは蚊は刺されると痒いというだけではなく、マラリアやフィラリア、デング熱などの病気を媒介するので要注意なのである。それに比べたらハエなどかわいいものである。
マドガオン駅の犬

一度3時半に閉めた食堂が再び開き、閉まっていた本屋が開いてまた閉まった。

駅では自分が動かずとも、人の流れや店の動きで時の流れがわかる。私はそんな流行に流されず、じっとベンチに座り続ける。

犬は相変わらず無防備な格好で寝ている。

犬もまた流行に流されず、あるがままの姿で、いや、本来あるまじき姿で寝ている。

8時半、歯を磨く。まさしく「ホーム」だ。 この頃からホームにシートを敷いて座り込む人が増えて来た。ますます「ホーム」だ。

ここで食事をしてここでトイレに行き、ここで本を読みここで歯を磨く。今日はほとんどホームの上で生活しているが、ここに居る間はホームレスではない。

9時、2番線へ移る。

列車の出発時間まであと30分となり、いよいよホーム・ポジションから移動である。
マドガオン駅のホーム

9:17 入線 しかしドアの外に乗客リストがないので少々心配。

ついに列車はゆっくりホームに入って来た。席は事前に貼り出されたリストで確認済みだが、当の列車に貼り出されるリストで確認するまで安心できない。長いホーム暮らしが私を疑り深くさせたのだ。

9:35 ようやくドアの外のリストで確認。

遅いよ!だいたい発車予定時刻が21時30分でしょうが。
列車の乗客名簿

9:38 出発 今回は下段。上段は誰もいなかったので早々に寝る。

下段ベッドは最初は椅子として使われるので、上段の人が自分のベッドに行くまでは共同の場所となり、あまり自分勝手に寝られない。なので人が来る前にどんどん寝てしまうのがいいのである。

しばらくするとカーテンがレールごと落ちる。 みんなで直すが、なぜかカーテンは一枚になった。

エアコン付の二等車には、向かい合わせの四人席と通路との間を仕切るカーテンがある。そんなカーテンがステンレス製のパイプのレールごと落ちてしまったのである。隣近所の人と力を合わせて直したが、本来二枚あるはずの布がなぜか一枚消えてしまい、半分開いたままになってしまった。もちろんその一枚は自分の側に垂らした。

3時過ぎまでウトウトしかできなかった。

カーテンが半開きだからということでもないが、今夜はなかなか寝付けない。すっかりホームのベンチに体が馴染んでしまい、ベンチでなければ安心できない体になってしまったのだろうか。

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インドの伝統工芸細密画