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2016年グジャラート再訪・第46回 / グジャラートの旅を終えて

         
  • 公開日:2019年1月23日
  • 最終更新日:2022年5月21日

ブジに到着した翌日、私はバザールの布屋でバスタオルを買った。
値段は120ルピー(約192円)だったので、500ルピー札を出してみた。
すると店主は苦笑いしながら「これは使えない」と言う。
昨日のレストランはなんとかぎりぎりで受け取ってもらえたが、ついに旧高額紙幣の流通は停止したようである。

インド、グジャラート州、ブジの布屋

500ルピー札を差し出した私に、「だんな、そんな紙切れ使えまっかいな」と店主は言った。ついにその時が来たという瞬間であった。

今回の500ルピー札と1000ルピー札の廃止は、11月8日(2016年)午後8時に突然宣言された。
ブラックマネーの根絶が狙いだったとのことで、ごく一部の人間を除き、金融機関にも寝耳に水の電撃的発表及び実施だったようである。

そのような事情からか、発表翌日から金融機関は休業となり、実際に動き始めたのは11日(金)だったようである。少なくとも10日にジャムナガルの街を歩き回った時には、どこにも混乱らしきものは見当たらなかった。

それが11日のブジ行のバスからは、金融機関に人々が群がっている光景をあちこちの街で目にした。

インドの郵便局に押し寄せる人々

郵便局には新札との交換や旧札の預金のため長い列ができていた。

旧札は新札へ交換ができ、また12月31日(2016年)までは旧札を自分の口座に入金することはできるとのことであった。
しかし新札はまだ準備不足とのうわさであり、口座への入金といっても口座を持っていない人も多いことであろう。そもそも今回の強硬手段はタンス預金を吐き出させる狙いもあるとのことなのだ。

とにかく当面金融機関の窓口やATMが混雑するのは必至である。

インドのキャッシュクライシスにより銀行に詰めかける人々

そもそもかなり抜き打ち的な発表だったため、おそらく銀行側も準備不足だったことだろう。

私はというと、まだかなりの枚数の500ルピー札を保有していた。その一方で確実に使える通貨はごくわずか(日本円で3~4千円ほど)しかないが、ゲストハウスの支払いは500ルピー札でOKとオーナーから言われており、またブジから先の列車のチケットはすでに持っているため、それほどの危機感はなかった。

しかしゲストハウスのすぐ前にある小さな郵便局に、たくさんの人が押しかけているのを目にしたり、時折聞こえて来る怒声を耳にしたりすると、ふと「暴動」の二文字が頭に浮かぶのであった。

インド、ブジの小さな郵便局にも人々が押し寄せていた

みんな新札と交換するための申込用紙に一生懸命記入していた。

そんな波乱のグジャラートの旅となってしまったが、結果から言えば申し訳ないほどスムーズであったと思う。
立ち往生することもなく、大きく予定を変更せざることもなく、そして保有していた500ルピー札も仕入ですべて使い切れた。

こうした旅をすると人々の親切をしみじみ感じたりするものだが、今回のようなアクシデントに見舞われるとさらにそれを実感する。

インド、ブジのオートリキシャのドライバー

ブジを発つ朝、駅まで乗せて行ってくれたオートリキシャのおにいさん。支障なく送り届けていただき、ありがとうございました。

日本のパスポートには「日本国民である本旅券の所持人を通路故障なく旅行させ、かつ、同人に必要な保護扶助をあたえられるよう、関係の諸官に要請する」とあるが、まさしくそれを実践していただいたようで、お世話になった関係各位に心から御礼申し上げる次第であります。

本当にありがとうございました。

*情報はすべて2016年11月時点のものです。

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インドのマフラー