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標高と乗客のテンションは次第に高まって行くのだ:マウント・アブー

         
  • 公開日:2010年7月6日
  • 最終更新日:2022年6月3日

ほぼ満員の乗客を乗せたマウント・アブー行きのバスは、ウダイプールの市街地を抜けると、岩山を切り裂いて延びるハイウェイを快調に走り出しました。このバスにはエアコンが付いていませんので、窓という窓は全開状態で、車内を風がぼぉーぼぉーと通り抜けて行きます。

でも季節は初夏、空はどこまでも青く風はさわやかで、実に気持ちのいいバス旅行です。

と、まだ本格的に走り出してから1時間も経っていないというのに、バスは一軒のドライブインに入って停まりました。早くも休憩のようです。せっかく同乗の娘らの歌声を聞きながら気持ちよくバスに揺られていたというのになあ。

でも次はいつ休憩できるかわかりませんので、こういう旅では与えられたチャンスを有効に使わなければならないのです。

そこで私もバスから降りて、手足をぐいっと伸ばしました。

しかし私はこういうドライブインはチャイなんかもやたらと高いのであまり利用したくないのです。
それでも外でこうしてぼぉーとしているのもなんですので、一応店の中に入ってみましたら、あ~ら、売店に私の好きなポップコーンがあるじゃあありませんか。

ということで、ついポップコーンを一袋買ってしまいました。
値段は20ルピー(約40円)でしたので、まあ通常の倍くらいといったところでしょうか。

短い休憩を終え再びバスは走り出しました。
そして快調に飛ばすこと2時間弱、バスは料金所のようなところに差し掛かりました。インドではこのように道を遮断して料金を取ったりしている光景をよく見かけるのですが、中には村のあんちゃんたちが小遣い稼ぎで勝手に作ったんじゃないの?というショボイ料金所なんてのもあったりします。

でもここの料金所は遮断器の棒も赤と白で塗り分けられた本格的なものですし、通行料らしき金額の書かれた看板などもちゃんと立てられていますので、少なくとも小遣い稼ぎの私設料金所じゃないようです。

ここでバスの車掌(おっさんです)が車内を回って来て、全員から10ルピー(約20円)ずつ徴収しました。
私はてっきりバスの運転手の所持金だけでは通行料が払えないので、みんなからカンパを募っているのかと思いましたら、そうではなく、この10ルピーはマウント・アブーへの各自の入山料だということでした。

なんだよ、それならそうと初めからバスのチケット代に含めておけよな。

料金所を過ぎるといよいよ道は上り坂になり、バスはあえぎながらゆっくり登って行きます。

そんな山道の沿道にふと目をやればこんな看板が・・・おっ、なんだなんだ、このあたりにはクマが出るのか?

そうだったらぜひ出て来て欲しいものです。なにしろこちらは大船ならぬ大型バスに乗ってるので、クマが出て来ても安心安全高みの見物なのです。

やい、クマとは言わずトラでもヒョウでも出て来いってんでい!

とまあ、本当はただ野生動物が見たいなあ、でもってそいつを写真に撮れたらなあというのが正直な気持ちなわけですが、そうそう簡単に動物は現れず、やっと現れたハヌマーン・ラングール(サルです)の写真は揺れる車内からしかも慌てて撮ったために恐ろしいまでのピンボケで、結局ここでは動物の写真は何もお見せすることができないのであります。

さて、そんな話をしている間にもバスは着々と標高を稼いで行き、それにつれて辺りの景色もぐっと山岳地帯らしくなって参りました。相変わらずバスは、急カーブの続く上り坂を苦しそうにゆっくり登っているのですが、乗ってる乗客の方はと申しますと、間もなく到着する避暑地での楽しい滞在、ひいてはめくるめく避暑地の恋などに思いを馳せたり(たぶん)しておりまして、いやがうえにもテンションは上がって行くのでありました。

*ちなみにマウント・アブー着は12時45分でした。

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動物の鈴・アニマルベル