快適な空の旅・日本航空デリー便

昨年(2016年)秋の渡印の際は日本航空を利用した。

以前はエア・インディアをよく利用していたが、それはただ単に「安い」というだけの理由であり、別にエア・インディアのファンだったわけではない。本当は毎回日本航空(以下JALと記す)に乗りたいのである。

それが今ではJALでも安いチケットを出すようになったので、最安日を選んで早めに予約した。
料金は税やらなんやらすべて含めて8万4百円であった。しかもJALのサイトから座席の指定もできるので、私は中央(4人分が並んでるところね)の通路側を押さえておいた。

さて出発当日、成田空港のJALカウンターに行くと、職員の対応が何やらおかしい。穏やかな笑顔と丁寧な口調で申し分のない接客態度なのだが、私のチケットを見るや、こそこそとどこぞへ連絡をするのである。
こちらとしては特にやましいところは何もないのだが、今日の乗客の中でおそらく一番お金を払っていないシケた客だということが少々気がかりではある。何か無理難題を押し付けられるのかもしれない。

日本航空のデリー便

やはり日本人には日本の航空会社が肌に合うのだ。

やがて連絡を終えた職員は私に向き直り、「実は本日のフライトは団体のお客様で大変込み合っておりまして・・・」と言うのである。

ほ~ら来た、私はどうすりゃいいのだ。補助席か?それとも立ってつり革か?

しかし天下のJALはそんなことは言わなかった。

「できればプレミアム・エコノミーのお席にお移り頂けないでしょうか」と来たもんだ。

ただ悲しいかな、私はそういう席が世の中にあるということを知らなかった。なので一瞬何を言われているのか意味がわからなかったのである。

しかし天下のJALのきれいなおねえさんが、微笑みをたたえながら丁寧な口調でそう申すのである。おそらくそれは私に不利になることではあるまい。これがエア・インディアの不愛想な太ったおばちゃんに言われたら、即座に大声で「ノー!ノー!」と叫び、なんとしても自分の指定した席に座らせろと全力で主張したことであろう。

やはり私の感は当たっていた。プレミアム・エコノミーという席は、エコノミーよりグレードが上だった。
私は急に自分がお金持ちになったような気分になり、意気揚々と飛行機に乗り込んだ。乗り込むときも、フライトアテンダントの人にプレミアム・エコノミーの搭乗券を自慢げに提示した。

さすがにプレミアム・エコノミーである。シートは通常のものより幅があり、前の座席との間隔も広く、あまつさえフットレストなんてものまでついている。

日本航空のプレミアム・エコノミーの席

なんだか天下を取ったような気分である。

お飲み物のサービスではシャンパンをもらった。なにしろプレミアム・エコノミーだもんな。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーのドリンクサービス

飛行機はまだ広島の上空だが、誠に快適な空の旅となりそうである。

機内食もいつもより上等のようである。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーの機内食

私は機内食があまり好きではないので、内容の良し悪しはあまりよくわからない。でもトレイに余裕があるところがエコノミーと違うというのはわかる。

モニター画面も大きいので、いつもはロクに見ない機内上映の映画も見た。「君の名は。」だったが、見て泣いてしまった。

デリー到着前の軽食も、なにやら上等そうなものが出た。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーの機内食

プレミアム・エコノミーではこれ以外にもカップ麺のサービスなどもあるらしい。後から知ったので利用できなかったのが残念だった。

私はあまり飛行機が好きではなく、特に往きのデリー便は昼間飛んでいくので寝ることもできず、毎回その長い時間を苦痛に感じているのだが、今回初めて苦痛を味わうことなく快適に過ごせた。

ああ、世の中にはこんなすばらしい世界があったのだなあ。

この体験に味を占めた私は、次回からは少しお金を足してでもプレミアム・エコノミーにしようかなと思い、さっそくJALのサイトで料金を確認したら、あ~ら、ずいぶんお高いのねえ。やだわ、お金を少し足せば済むどころか、三回くらい往復できる金額じゃないのよぉ。

かくなる上は帰国便も団体客で込み合っていただき、「誠に申し訳ないのですが、プレミアム・エコノミーのお席に・・・」となることを願うしかない。

帰国時、デリー空港のチェックインは何事もなくスムーズに行われた。
そして私は、プレミアム・エコノミーより小さなモニターで「君の名は。」をもう一度見た。

席は狭く、画面は小さかったが、涙がとめどなく流れるのは同じであった。