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2001年5月23日(水)アーマダバード・2001年インドの旅第20回

         
  • 公開日:2009年10月28日
  • 最終更新日:2022年6月23日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時Rs.1が約2.7円、3倍にして1割引けば簡単に計算できます。

5/23(水) アーマダバード 晴 気温30℃(10時)

5時過ぎ目が覚める。6時頃起き出す。

朝食
マンゴー2ヶ
バナナ2本
チョコビスケット3ヶ

まだ下痢は止まらない。正露丸飲む。

10:00過ぎ、郵便局でハガキを出し、バザールへ写真を撮りに行く。
昨日のフルーツショップでマンゴー4ヶ(Rs.30)買う。

角の店でリムカ(Rs.7.5)を飲み、水1リットル(Rs.10)を買う。

シディ・サイヤド・モスクの周りを歩き正面まで行くと、中に入れと言われた。
ハダシになり中に入ると下の石が熱い!
アッチアッチと歩いていると、若いインド人たちに笑われ、わざわざ日なたを歩いて見せた。
このモスクは透かし彫りの窓がきれいなことで知られているため、みんな写せと言う。
モスクの右側の天井は修復作業中で、足場を組み、若いあんちゃんが5~6人登っていた。
彼らも写せとうるさい。

ホテルに戻り、マンゴーを食べる。

洗濯、昼寝 4時にTel. Rs.85

【以下の解説は2009年10月28日のものです】

自分の意志に反して、体はすっかり「起床は5時!」と決めてしまったようで、今朝もまた5時に目が覚めてしまいました。
しかしこんなに早く起き出してもなにもやることがないので、少しでも体力を温存しようと、そのまま一時間ほどベッドに寝そべったままでいました。

朝食はマンゴーとバナナ、それにチョコビスケットという内容です。マンゴー好きな人からしたら、なんともうらやましい朝食に思えることでしょうが、私は早くも飽きて来ました。

まったく今回の下痢は実にしつこく、今朝もまだ続いています。
お尻の穴もかなりヒリヒリして来ており、トイレットペーパーを使うと痛くてたまりませんので、先日から私は「インド式洗浄法」、つまり水を使って「左手で処理する」という方法を実践しております。

10時になったので、郵便局にハガキを出しに行きました。
私はアーマダバードでも毎日、しかもやっぱりわざわざ窓口からハガキを出していましたので、ここでもすっかり顔を覚えてもらうことができました。とはいえ郵便局ですので、顔を覚えられたからといって普通より多く消印を押してくれるわけでもなく、またたくさん押してもらいたいわけでもありませんので、別になんてことはないのです。

もう一度昨日のバザールに写真を撮りに行きました。昨日は店を見て回るのが忙しかったということもありますが、はたしてカメラを向けてもいいものかどうか迷っていたということもあり、思うように写真が撮れなかったのです。

*5月22日の記事に添えた写真の一部は、この日(23日)に撮ったものを使用しております。

さすがに昨日一度来ているので、心なしか店の人たちも警戒心が薄らいでいるように見え、試しにカメラを向けると、ポーズまで取ってくれるほどです。そもそもここアーマダバードの人たちはとても人懐っこく、街を歩いているとよく「ハロー!」と声を掛けられます。これは外国人旅行者が少なく珍しいため、単純に好奇心から声を掛けて来るというだけのようで、それが証拠に、こちらも呼びかけに応えて「ハロー!」と叫ぶと、それで満足したような顔になり、特にその後なにかするでもなく、そのまま立ち去って行くのです。
これがデリーなんかですと、声を掛けて来るのはたいてい下心のある連中ばかりなので、うっかり返事でもしようものなら、インドの下痢と同じくらいしつこくしつこくどこまでも付きまとって来るので、本当にいやになってしまいます。その点アーマダっ子はとてもサッパリしているのであります。

さて、私の泊まっているホテルの真ん前には、「美しい透かし彫りの窓がある(ガイドブックより)」というシディー・サイヤド・モスクという名の、小さなモスクがあります。ところが、私はまだ一度もそこへ行っていなかったのです。
そりゃあホテルの真ん前ですから、その姿はいやでも毎日見ていたわけですが、実はそのモスクは、たくさんの車の行き交う道路の真ん中にある中州のような場所に建っているのです。なのでそこへ行くには、結構なスピードで走る車やバイクの間隙を縫って道を渡らねばならないわけで、それがどうにも怖いというか面倒というか、とにかくまあそれだけの理由で今まで行かずじまいになっていたのです。

しかし今夜はこの街を発つことになっていますので、チャンスはもう今しかありません。

さあ、勇気を出して道を突っ切れ!

案ずるより産むがやすし、私は車に轢かれることもなく無事に道路を渡り切り、壁の外からではありますが、モスクをぐるっと一周見て回ることができました。
そしてふたたびモスクの正面まで戻って来たところで、中から「ハロー!」と声が掛かりました。声を掛けて来たのはモスクの中に座っていた若者たちでした。彼らは特にそこで何をしていたというわけでもなく、ただ友だち同士でおしゃべりをしていただけのようです。まあヒマだったのでしょう。
とにかくその若者たちは、私に「中に入って来い」と言っているようです。しかしあくまでここは宗教施設であり、私は異教徒でありますので、自分の勝手な解釈でずかずかと入って行ってしまいますと、いきなり若者たちに捕えられ、ムチウチの刑にされないとも限りません。それでなくともお尻の穴が痛いのに、この上背中まで痛くなったら大変です。
そこで私は慎重にゆっくりと門から中に入りました。若者たちはそんな私をじっと見ています。
入ってすぐのところからは、一段高くなった石造りのテラスになっていて、その手前にいくつかのサンダルがありました。どうやらここで履物を脱がなければならないようです。
私は若者たちに身振りで「ここで靴を脱ぐのか?」と尋ねました。すると若者たちは「そうだ」と言うように大きく頷いたのです。つまりそれは、「そこで靴を脱ぐんだ」というのと同時に「靴を脱げば中に入っていい」という意味になるわけです。靴さえ脱げば、ムチウチ刑にされなくて済みそうです。
そこでようやく私は安心し、裸足になってモスクに続くテラスを歩き出しました。
ところがアーマダバードの5月の太陽は大変強烈で、テラスの床に敷き詰められた石はとてつもない高温になっており、私のヤワな足の皮ではその温度にはとてもじゃないけど対応できず、せいぜいつま先立ちになった足を素早く動かしながら歩くしかなかったのです。しかし若者たちにはその様子がかなり滑稽に見えたようで、一斉に大笑いし、中の一人などはわざわざ熱い石の上を「どうだ!」というように歩いて見せるのです。
しかしこのことで私たちは一瞬にして打ち解けることができました。

このシディ・サイヤド・モスクは、よくあるモスクのイメージとは違い、高い塔もなければ、ネギ坊主のようなドーム屋根もありません。形から言えば、ただの四角い箱のようなものです。
しかしその正面奥には、ガイドブックでも紹介されていた通りの美しい透かし彫りの窓があり、若者たちもしきりに「写せ、写せ」と撮影を勧めてくれるので、「はたしてモスク内部の写真を写しても大丈夫だろうか?」という、私の心配は杞憂に終わったのであります。この1月に発生した大地震の影響はこのモスクにも及んでいたようで、モスクの右側には足場が組まれ、数人の男たちが修復作業をしていました。

そんな様子を下から見上げていると、彼らもまた「写せ、写せ」とせがんで来ます。透かし彫りの窓とは違いあまり美しい風景ではありませんでしたが、そんなアーマダっ子の人懐っこさに、慣れぬ土地での極度の下痢という悪条件で、ともすれば意気消沈してしまいそうになる私は、いままで何度も元気をもらって来ておりましたので、アーマダバードでの活動の最後に、お礼の意味を込めて一枚撮らせて頂きました。

パチリ!しかしまあ、アーマダバードの滞在中はずーと下痢に悩まされ続け、思うように歩き回ったり食べたりできなかったのが本当に残念でした。
なのでまた再びこの街を訪れる機会があれば、その時は必ず体調を万全にして、だれかれ構わず「ハロー!」「ハロー!」と愛想を振りまきながら、シシカバブにかぶりついてやるぞ!と、密かに誓う私だったのであります。

つづく

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真鍮製のアンティーク弁当箱