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2001年5月19日(土)デリーからアーマダバードへ・2001年インドの旅第14回

         
  • 公開日:2009年10月20日
  • 最終更新日:2022年6月23日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時Rs.1が約2.7円、3倍にして1割引けば簡単に計算できます。

〔5/19(土)のつづき〕

Hotel に荷物を取りに行き駅へ

18:15着 我々の列車は1番線とのこと。
UPPER CLASS WAITING ROOM に入る。

19:35 定刻に出発

室温20℃

サービスの水 しかし壁のホルダーに入らない
食事も付くらしい 2食(夕、朝)
ベジ or ノンベジ
インディアン or コンティネンタル

向かいは親切な男性、エディー・マーフィー似
家族連れ 夫婦、娘、祖母
娘は待合室でも、買ってもらったおもちゃの入った袋(Macのハタも入っていた)を持ってはしゃいでいた。かなりハイソな家庭なのか、「オッオー」とか言う。父親も寝る時に「愛してるよ」とか言う。

21:36 真南へ進行中

【以下の解説は2009年10月20日のものです】

ニューデリー駅に行ったもののまだだいぶ時間があります。
列車の発着を示す掲示板で、私たちが乗る列車が1番線に着くことと、出発時刻に変更のないことを確かめ、待合室で時間をつぶすことにしました。

待合室は1番線にあります。というか、そもそもニューデリー駅の1番線は駅舎に隣接しているホームですので、「待合室は駅舎にあります」と言った方が正しいのかもしれませんが、1番線ホームは長い外廊下のような役割も担っていて、そこに面して駅長室を始めとするいろいろな部屋が並んでいるのです。そしてそんな部屋のひとつに「UPPER CLASS WAITING ROOM」もあるわけです。
「UPPER CLASS WAITING ROOM 」は高い料金の席(または寝台)を利用する人用の待合室なのですが、私が利用する二等エアコン車の乗車券でも入室できます。
これはインド国鉄の客車等級のおもしろいところで、一等、二等、三等という等級の他に、エアコンの有無でも等級が分かれるということに起因します。つまり私が利用するのはあくまでも「二等」ではあるのですが、「エアコン」というオプションが付くことでランクアップするのです。その証拠に二等エアコン車はエアコン無しの一等車より料金が高かったりするのであります。

やがて私たちが乗るラージダニ・エクスプレスが1番線に入って来ました。待合室も1番線にあるので、居ながらにして確認できて実に便利です。
これでようやく列車に乗り込めるわけですが、実はインドで列車に乗る時にはもうひとつしなければならないことがあります。それは乗客名簿の確認です。
各車両の乗車口(の外側)には、プリントアウトされた乗客名簿が糊でべたっと貼り付けてあり、そこに自分の名前がちゃんと載っているかを確認しなければならないのです。
今でこそ列車のチケットもインターネットで予約できてしまうインド国鉄ですが、当時の私は国鉄内部のオンラインシステムでさえ、はたしてどーなのよ?と疑っていましたので、この乗客名簿を見る時はいつもドキドキしたものです。何かの間違いで名前が漏れていたらどーしようという不安がいつも付きまとっていたのです。

めでたく乗客名簿に自分の名前を見つけ、いよいよ乗車となるわけですが、乗客(そしてポーターも)たちはそれぞれ客車の前後にある乗車口から、大きな荷物を持って我先にぐいぐい内部に入って行きます。しかも自分の席から遠い方の入口からでもどんどん入って来てしまうため、車内の狭い通路は人と物がすれ違うために、もつれ合い絡み合いそれはもう大混乱となってしまうのです。かく言う私も、自分の席が乗客名簿の貼ってあった入口からは遠い位置だったため、人をかき分けかき分けようやく席に辿り着きました。
それでもこのエアコン付き二等車は全席指定で定員が決まっていますので、誰かが席に着く度に車内の混乱は少なくなり、間もなく完全に秩序が回復されたのであります。

私たちの席は、二人掛けの椅子が向い合せになっているうちの片方でした。席はそのまま二段ベッドになりますので、その上下を使うことになります。
インド・寝台列車の座席気になるのは向かい側にどんな人が座るかということです。なにしろ一晩をこのスペースで過ごすわけですから、できれば感じの良い人に来てもらいたいと思うのが人情なのですが、私の真向かいに座ったのはエディー・マーフィー似のインド人でした。なかなか親切な人で、いろいろなことを教えてくれ(たとえば左のメモ上部にあるヒンディー語での「列車」とか)、インドの列車初心者の私は実に心強く感じました。
またその隣に座ったおじさんも親切な人でした。おじさんは家族連れ(奥さんに娘、そして母親)の旅行の帰りということでしたが、なかなか金回りがよさそうなハイソな家庭に見えました。なにしろ娘が会話の途中に「オッオー」などと欧米人のような相槌を入れるのです。まあ誰でも「オッオー」と言えばハイソになれるかと言えば甚だギモンではありますが、とにかくこの家族にはハイソな雰囲気がぷんぷん匂っていたのは確かなのであります。

さて、このラージダニ・エクスプレスというのは、インド国鉄が誇る最速の列車で、主に大都市間を結ぶ路線で運行されています。たまに「インドの新幹線」という言い方もされますが、軌道は専用のものがあるわけではなく、在来のものを使用しています。また他の列車に比べて運行速度が飛びぬけて早い(たとえば時速200/km以上とか)ということもなく、おそらく車両の徹底した点検管理で故障を防ぐことや、他の列車を停車させてでも最優先で走らせるということで「インド最速」を維持しているのだと思います。

列車は定刻の19時35分に出発しました。さすがはラージダニ・エクスプレスです。
予定より長逗留してしまったデリーですが、それだけにいざ列車が走り出すとちょっと惜別の念などが湧き上がり、ホテルの人たちの顔やチャイ屋のおっさんの顔、そしてついさっき知り合ったばかりではありますが文房具屋の主人の顔などが次々と脳裏に浮かんで来るのでした。

みなさん、さよなら! デリーよ、さよなら!

インド・ミネラルウォーターラージダニ・エクスプレスは車内サービスも充実しています。まず列車が走り出すとミネラルウォーターが配られます。ただし配られるのが1リットル入りの大きなペットボトルですので、壁に付けられたボトルホルダーには収まりません。そこで周りの人たちはどうするのかと見ておりましたら、みんなボトルを逆さにして(つまり細くなった首の方を下にして)ホルダーに差していました。
なるほどねえ・・・これでボトルのキャップがサーバーにでもなっていたら、とても便利なんですけどね。紙コップも付いていますしね。

インド・ラージダニエクスプレスの食事とまあ、せっかく頂いたミネラルウォーターですので、コップに注いでぐびりと飲んで、車窓からすでに暗くなったデリーの街の灯りなどをながめたり、向かいの人たちとあれこれ楽しくおしゃべりなどしておりますと、やがて食事が配られ始めました。そしてそんな配膳作業を見ながら、ハイソなおじさんは、「この列車は食事も付いているんだぞ」と、まるで自分のことのように自慢するのです。

配られた食事の内容は、パンとスープ程度のごく軽いものでしたので、やっぱり乗車前に少し食べて来て正解だったなと思いながら、スープを飲みパンをかじっていたのですが、実はこれは前菜(?)だったのであります。

インド・ラージダニエクスプレスの食事そして出て来たのがこれです。豆のカレーとライス、チキンにほうれん草のカレーを掛けたもの、そしてパラータという具無しのお好み焼きのようなもの・・・

ああ・・・こりゃとてもじゃないけど全部は食えんぞ・・・パイなんて食べて来なければよかった・・・

結局食事は半分ほどしか食べられませんでした。

食事が終ると今度は毛布とシーツが配られました。ハイソなおじさんはまた「この列車は毛布も付くんだぞ」と自慢するのですが、私は初めから毛布くらいは標準装備だろうと思っていたので、今度は驚きません。だいたい私は寝具になるようなものなど何も持っていませんでしたので、逆に毛布がなかったら驚いてしまいます。なんせ車内はエアコンが効き過ぎていて寒いくらいなのです。

というわけで、そろそろ就寝時間です。
下段ベッドは椅子の背もたれを倒して作り、上段ベッドは壁に収納されている棚を手前に引き倒して作ります。
私は上段のベッドに寝ることになりましたので、そこに上がって狭いベッドの上でシーツと毛布と格闘しておりましたら、それを見かねた向かいの席のエディー・マーフィーがやって来て、私をベッドから下ろすや、手際よく寝床を整えてくれました。しかも出来上がった寝床の毛布を少しめくり、「さあ、入ってみろ」と言うものですから、私はまだそれほど眠くはなかったのですが、好意を無にしてはいけないと思い素直に毛布に潜り込みました。するとエディー・マーフィーは、仕上げとばかりに私の肩のあたりの毛布を整え、そこでようやく満足そうな顔になるや、私の顔をのぞき込み「グッナイト」などと言うのでありました。

不本意ながら早々にベッドに横たわり目をつぶると、やがて心地よい列車の揺れが睡魔を誘い、私は眠りへと落ちて行ったのでありました。

つづく

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インドのマフラー