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インド:わかるなあ、その気持ち・インドの自転車少年

         
  • 公開日:2009年7月6日
  • 最終更新日:2022年7月11日

これはコルカタのマイダーン公園で出会った少年(の写真)です。私が公園の中で写真を撮っておりましたらこの少年がやって来て、私につかず離れずしながら一生懸命自転車をこぎ、時折こちらをチラチラ見るという示唆あるいは示威とも取れる行動をするのです。

まあこの行動は別に私に敵意を持って行われた警告というものではなく、ただ単にカメラを持った外国人(私のことです)に興味を示したのと、できればそのカメラで自分の写真を撮ってくんないかなあという、とても子どもらしい気持からのことだとすぐにわかるものでした。

そこで少年にカメラを向け、「撮っていいか?」という仕草をすると、少年はすぐに自転車から降りポーズを取りました。

はい、ぱちり!

ほうほう、こうしてよく見ればなかなかいい自転車じゃあないですか。
まあ新車には見えませんが、たとえ中古(もしくは誰かからのお下がり)だったとしてもかなり高価なものでしょう。

なるほど、この少年は私に興味を持ったのではなく、この自慢の自転車を私に見せたかったのですね。そうなるとなんだかちょっと残念な気持ちがするから不思議です。

でも、私もかつて子どもだった頃、やっと買ってもらった自転車が嬉しくて嬉しくて、いやもう嬉しくて嬉しくて嬉しくて、なんだかこう嬉しくて嬉しくて嬉しくて嬉しくて・・・えっ?くどい?

とにかくその自転車を誰かに見せたくて、そしてその自転車に乗っている私の姿を見てもらいたくて、でもってできることならば「おっ、いい自転車乗ってるね!カッコいいぞう!」などと言ってもらいたくて、意味もなく住宅街をぐるぐる走り回ったものです。うん、わかるわかる、その気持ち。

もちろんそんな私ですから、この少年に「おっ、いい自転車だね!」と言ってあげましたとも、ええ。

すると少年は私に、「少し乗っていいよ」と言ってくれたのです。

おそらくこの少年にとってとても大切な自転車だと思うのですが、そんな自転車をもしかしたらそのまま祖国にまで乗って逃げて行ったしまうかもしれない見ず知らずの外国人に貸そうだなんて、なかなか純粋でいい少年じゃないですか。

でも私はその時ちょっと大きな荷物を持っていたのと、地面が草地で自転車をこぐにはちょっと苦労しそうな状況だったこともあり、少年の申し出を丁重にお断りしたのであります。

少年よ、いつまでもその清らかな心を忘れず、決して外国人を騙すような人にはならないでおくれ。

真鍮製のアンティーク弁当箱