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石もて追われるようなことは決してするでないぞ:インドの列車への狼藉

         
  • 公開日:2015年1月15日
  • 最終更新日:2022年7月25日

前回前々回に続いてシャタブディ・エクスプレスの話である。

今までインドの列車には何度も乗ったが、今回初めて気づいたことがあった。

それがこれ、窓ガラスのヒビである。まあ常日頃から物の取り扱いが荒っぽく(特に自分の物ではない場合など)、またメンテナンスの行き届かないインドでは、列車の窓ガラスにヒビが入っていて、それがしばらく放置されていても特に不思議ではない。

なので今までこういう光景を見てもあまり気にならなかっただけなのかもしれない。

しかし同じ列車の同じ車両で、いくつもの窓ガラスにヒビが入っているのを見たら、さすがにこれは異常と思わざるを得ない。いくらインドといってもである。

ほら、こちらは並んで二つ、まるで銃撃を受けた防弾ガラスのようになっている。これはおそらく、いやまず間違いなく投石によるものであろう。

列車への投石に関しては、その昔チェンナイ滞在中にちょっとした暴動騒ぎがあり、その際暴徒らによる駅のチケットカウンターの焼き討ちと並んで、列車への投石があったというニュースを見た。
そして最近も、列車への投石が問題となっているというニュースを聞きかじってはいたが、こうして実際に窓ガラスのおびただしい数の損傷個所を目にすると、なるほど投石はなにも暴動の時だけでなく、もはや日常茶飯事と化しているのだなあと実感したのである。

窓ガラスが壊れるのも困るが、窓を開けっぱなしにしているところを狙われたらそれこそ大変である。なにしろインドの列車は今でも冷房がなく、窓を開け放している車両が大半なのであるから、石が体に当たれば大けがあるいは死に至ることだってありとても危険である。

でもたぶんその可能性は低いのだろうと思う。そもそも暴徒の行動でもわかるように、こうした投石の要因は日ごろの不満の表れであり、その矛先は上級列車(上級車両)に向かうであろうと思われるからである。

そこで狙われるのが、シャタブディやラージダニのような上級車両だけで編成されている列車であろう。しかもご丁寧なことにシャタブディは水色、ラージダニは赤と、他の列車との違いを車両の塗装で表しているのだから、狙う方からすればこんな好都合なことはないのである。

と、今回のインドの旅では初めての乗車列車となったシャタブディ・エクスプレスでそんなことを思ったのであるが、期せずして最後の乗車列車となったのもまたシャタブディ・エクスプレスであった。

20時30分、ラクナウからニューデリーに向かっていたその列車は、30分ほど遅れてアリガル・ジャンクション駅に到着する直前であったが、突然バシッ!というするどい音が車内に響いた。

私は驚いて斜め前方の窓(ひとつ前の席の窓)を眺めると、あらら、なんとまあ窓ガラスにヒビが入っているじゃないの。しかもその真ん中には穴まであいているじゃないのよ。それにしてもまさか自分の乗ってるすぐそばに投石されるとは思ってもみなかった。

まあ窓は二重ガラスになっているので、外側のガラスが割れただけで車内には特に影響はなかったが、その席は若夫婦と小さい子供が座っており、もし万が一石やガラスの破片が車内に飛び散ったらと思うと実に怖かった。

証拠もなくこうした仕業を貧困層の人たちによるものだと決めつけるのはよくないが、大きな駅の近くの線路際がスラム化していることも事実である。

で、これはあくまでひとつの仮説として言うのだが、もしそうした貧困層の子供が列車に向かって投石しているのであるなら、ぜひそのピッチング技術をクリケットの練習につぎ込み、プロ・クリケット選手になることを目指して欲しいと切に願う次第である。

あの天上に輝く明星がプロリーグの星だ!

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