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第53回:ジャムナガルからブジへのバス移動

         
  • 公開日:2014年5月14日
  • 最終更新日:2022年6月19日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時の1ルピー(Rs.と略す)のレートを約1.7円とお考え下さい。

2013年11月19日(火)ジャムナガル 晴 7:50 20℃

6:35 出発

しばらくは快調に走っていたが、郊外の道へ出てからエンストする。
何度もセルモーターを回すがエンジンはウンともスンとも言わない。
車掌に乗客も加わりエンジンを覗き込み、あれこれやっている様だが動かない。
まさか次の8時発のバスの到着を待って、それに乗り換えることになるのではなかろうかとハラハラする。

外に出て写真など写す。
朝日がきれいに昇って来た。

そうこうするうちにエンジンがかかった。
思わず拍手をする。
喜び勇んでバスへ。

〔以下メモに解説を加えて〕

2013年11月19日(火)ジャムナガル 晴 7:50 20℃

6:35 出発

バスは定刻を5分遅れて出発した。
まだ外は真っ暗だが、時刻は6時半を回っているので、街はもう動き出していた。
しばらくは快調に走っていたが、郊外の道へ出てからエンストする。
何度もセルモーターを回すがエンジンはウンともスンとも言わない。

辺りもだいぶ明るくなり、バスは市街地を抜けていよいよ快調に走り始めた・・・と思ったらエンストである。最近日本では道端に停めて修理をしている車をあまり見かけなくなったので、若い人はエンストという言葉を知らないかもしれないので念のために説明しておくと、エンストとはエンジンストップのことである。エンコなんて言い方もする。
昔は車のエンジンが止まる、あるいは初めからかからないなんてことは珍しくなく、エンジンを手で回すためのクランクが標準装備されていたものである。

で、インドではいまだにエンストは珍しくないが、乗っていたバスのエンジンが動かなくなってしまったのは初めてである。ちなみにオートリキシャやタクシーでは何度も経験している。

車掌に乗客も加わりエンジンを覗き込み、あれこれやっている様だが動かない。

なのでインドの運転手はメカにも精通しているのか、とにかくすぐに修理を試み始めた。ただしかつて乗ったオンボロタクシーがエンストした時は、運転手は大きな石でエンジンをガンガン叩いて直していたので、修理と破壊は紙一重なのかもしれない。さすが破壊と再生の神シヴァが信仰される国である。

まさか次の8時発のバスの到着を待って、それに乗り換えることになるのではなかろうかとハラハラする。

一番の心配は、せっかく確保した席を捨て、別のバスで立って行くことになりはしないかということである。
なにしろバスはまだ40分くらいしか走っておらず、ここからブジまで6時間半はかかるはずなので、座れるか座れないかは大問題なのである。

外に出て写真など写す。

でもまあ私がヤキモキしていてもどうにもならないので、気分転換とストレッチのために車外へ出てみた。
朝日がきれいに昇って来た。

するとちょうど朝日が昇って来るところであった。本来なら揺れるバスの中から汚れた窓ガラス越しに見るはずだった朝日を、こうしてインドの大地に立ってじっくり見られるというのも何かの縁である。
そう、このエンストはインドの神様が私に与えてくれたご褒美と考えるべきなのである。

そうこうするうちにエンジンがかかった。
思わず拍手をする。
喜び勇んでバスへ。

朝日が見られたのは嬉しかったが、やはりバスに座って行けることの方が嬉しい。
命を吹き返したエンジンに拍手とともに最大限の感謝の意を贈り、残りの行程何事もなく運行されんことを切に祈り元の席に着いた。
実はバスは再び走り出してすぐにまた路肩に停まることになってしまったのだが、なあに、さっき直って今度は直らないなんて事はないであろう。
水に濡れた者は水を恐れない、エンストを経験した者はエンストを恐れない。
こうして少しずつインドのやり方に慣れて行くのである。

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インドの伝統工芸細密画