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第36回:ポルバンダール / ホテル前の海にて

         
  • 公開日:2014年3月28日
  • 最終更新日:2022年6月18日
〔当時のメモより〕
*金額に関しては当時の1ルピー(Rs.と略す)のレートを約1.7円とお考え下さい。

2013年11月16日(土) ポルバンダール 晴

海岸を見てHotelへ

〔以下メモに解説を加えて〕

2013年11月16日(土) ポルバンダール 晴

海岸を見てHotelへ

ホテルの前にラクダがいた。これがどこか他の町なら観光用かと思ってしまうが、ポルバンダールに限ってはそんなことはないだろう。
なにしろ観光客などほとんど来ない町である。観光客相手の商売で食べて行くなんてことは到底無理なのである。
ラクダの横に荷車が置かれているところを見ると、おそらくこのラクダは先ほどまで運搬の仕事をしていたのであろう。そして今日の仕事を終え、荷車だけここに残して家に帰るところと思われる。
その証拠に、ラクダ遣いのおっさんがラクダに鞍を取り付けている。しかしこんな面倒な事をせず、そのまま荷車に乗って帰るというわけにはいかないのだろうか。
あー、もしかしたら自宅に駐車スペースがないのかもしれないな。
つまり東京辺りの駐車場事情と似たようなものだと思うが、でも東京では駐車場から家まで歩いて移動しなければならないことを考えたら、こちらのほうが恵まれているのかもしれない。鞍を付けるのは大変そうだけど。

「海岸を見て」と言っても、そもそもホテルが海沿いに建っているので、ただホテルを回り込めば海に出られるのである。海は白砂でなかなかきれいなのだが、ほとんど人はおらず牛の方が多かった。そして犬がひとり、いや一匹波打ち際でもだえ転げまわっていた。砂浜の右側はごつごつした岩場で、ところどころに潮だまりがあった。
そちらでは何人かが下を向いてなにやら探しているようだったので、もしかしたら夕飯のおかずになるようなものがあるのかもしれない。
そう思って潮だまりのひとつを覗いて見たが、緑の海藻と小さな魚がいるくらいで、特に伊勢エビや毛ガニがいるわけではないようである。と、向こうから地元の人と思われるおっさんが私を呼んでいる。
これはきっとなにか大物がいるに違いないと、足元の悪い岩場を急いで移動して行くと、はたしておっさんの指差す先には小さな魚がいた。さっき私が見つけたのと同じやつである。
まあおじさんも親切心から私を呼んでくれたのだろうが、ハッキリ言って「なんだよ!」であった。

そんな海にいつまでいても特に面白いことはなさそうだったので、早々に部屋に引き上げることにした。
なにしろ大枚2999ルピーも払ったオーシャンビューの部屋なのである。
夕日が沈むのはエアコンの効いた快適な部屋の窓から見ればいいのである。部屋に戻り海を眺めていると、一頭の牛が浜辺を離れ歩き出した。
すると他の牛もぞろぞろと浜辺を離れ、最初の牛に従ってホテルの脇の道に入って行くではないか。どうやら牛の帰宅時間のようであるが、じゃあなぜそれまであの牛たちは浜辺にいたのであろうか。
私が見た限りでは、浜辺になにか彼らの食べ物になるようなものがあるようには思えなかった。
それに当の牛だって何かを探している風でもなく、ただのんびりとリゾートライフを満喫しているようにしか見えなかった。

おい牛たちよ、いったいお前たちは一日海で何をしていたのだ。

まったくインドの牛はいいご身分なのである。

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真鍮製のアンティーク弁当箱