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長距離バスは意外と順調に走ったのだった:2013年グジャラートの旅:エピソード編・第8回

         
  • 公開日:2014年1月20日
  • 最終更新日:2022年6月15日

100ルピー(約170円)足してエアコン付のバスに変更した。

11月のこの時季、デリーより若干気温が高めのグジャラートでも、日中はせいぜい30℃に届くかどうかというところなので、特にエアコンが必要とは思わなかった。
しかしそんなことより、予約していた午前7時30分発のバスより一時間も早い出発であるということに心が動いた。
なにしろ勝手のわからない初めての街では、なんとしても暗くなる前に宿を確保したいところであり、そのためには少しでも早い到着が望ましいのである。これから向かうのはアーマダバードから約330km離れたジュナーガルという街である。
できればその途中にあるラジコットで一泊し、短い距離で結んで行きたかったのだが、アーマダバードの滞在を一日延ばしたため、一気にジュナーガルまで行くことになった。

席は一番後ろであった。
これはわれわれが始発から終点まで乗るということに加え、外国人であるということもあるのかもしれない。
とにかく一番後ろならシートも気兼ねなく倒せるので、快適なバスの旅になりそうである。

アーマダバード市内の何ヶ所かで客を乗せるとバスは満席となり、いよいよジュナーガル目指して快調に走り始めた。
市街地を抜けると辺り一面緑の大地が広がった。どうやら綿花畑らしい。さすが繊維産業の盛んなグジャラートである。私はあまりグジャラートのことを知らないので、つい隣のラジャスタンと同じように思ってしまっていたが、車窓にたびたび川や沼を見かけ、砂漠の多いラジャスタンとは大違いの、水の豊富な土地のようである。

それにしてもエアコンの風が寒い。
見上げたらなぜか風向及び風量調整用のパーツがそっくり無くなっていて、丸い送風口からぼーぼー冷風が吹き付けている。
そこで送風口に丸めたタオルを突っ込み、強制的に冷風を止めることにした。午前9時、バスはドライブインに入った。ここで休憩を取るようである。
隣のおっさんに何分くらい休憩するのかと聞くと、「5分」との答え。
通常インド人が「5分待て」と言うとたいてい30分くらい待たされるので、今回の「5分」がいったいどれほどのものかわからず、運転手か車掌に確認しようと思ったら、例のごとく真っ先に休憩に入っていてすでにいなかった。さすがに30分も休憩しないだろうと思ったが、かと言って本当に5分などという短い休憩とも思えず、まあその中間を採って15分くらいだろうと見当を付け、トイレに行き、チャイを飲む。

それでも心配性な私はゆっくりチャイをすすることをせず、さっさと飲み終えた。
と言うのも、向こうに大好きなポップコーンの機械を発見したからである。なにしろ今朝は何も食べていないのである。なのでどうしてもあれを手に入れたいところである。はたしてポップコーンを買ったところでバスのクラクションが鳴った。
どうやら本当に5分間の休憩だったらしい。
恐るべし、グジャラート。

動き出した車内でポップコーンを頬張っていると、エアコンの送風口に突っ込んだタオルが抜けて落ちて来た。穴の直径に対し、丸めたタオルの体積が少々足りないようである。

しかしタオルの他に手頃なものはないしなあ・・・と思ったら、あった。

窮すれば通ず、窓に掛かったカーテンの裾をエアコンの送風口にぐいぐい突っ込むと、めでたく冷風の直撃は止まり、おまけに窓の視野まで広がった。
われながらナイスなアイデアだと自画自賛していたら、前の方の席のインド人も同じことをやっていた。インド人も日本人も同じ人間なんだなあと、しみじみ思った瞬間であった。

走り出して1時間半で休憩を取ったので、あと1、2回は休憩するだろうと思ったのに、バスは途中いくつかの街で客を乗り降りさせただけで、本当に6時間ほどでジュナーガルに到着したので驚いた。

時刻は午後1時、当然まだまだ日も高く、宿探しをする時間は充分にある。

今回はプライベートバスであったため、公営バスのように市内のターミナルまでは行かず郊外で降ろされてしまったが、同じバスで来たジュナーガルの人たちがそれはそれは親切で、市内まで行く無料のバスに案内してくれ、おまけにお奨めのホテルまで教えてくれた。しかし彼らが胸を張って外国人旅行者に奨めるホテルであるから、そこは一目で自分の予算では泊まれないことがわかるようなきれいなホテルであり、それでもせっかくの好意を無にしてはいけないと、意を決してフロントへと突き進んで行くわれわれであった。

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インドの伝統工芸細密画