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その29:ラジャスタンの歌と踊り

         
  • 公開日:2007年6月15日
  • 最終更新日:2022年6月22日

たっぷりお湯を張ったお風呂にゆったり浸かり、身も心もサッパリした私は部屋のソファーでビールを飲んでいました。
窓から入る心地良い風を受け、夕景など眺めながら飲むビールは、それはそれはおいしく感じました。

そうこうするうちに目の前の噴水池広場に着飾ったラクダが牽かれて来たかと思うと、笛や太鼓が鳴り響き始め、人もぞろぞろお出ましになりました。

ビールのほろ酔い気分で眺めるそんな風景はとても幻想的で、これはいったい何だろうと思っていると、やがて小さなヒンドゥー寺院から祝詞のような声が聞こえて来ました。
そこでようやく私も、なるほど、今日はこのホテルで結婚式があるのだなということがわかったのです。

やがて結婚式の儀式も終わり、新郎新婦をはじめとした人々が立ち去ってしまうと、広場はまたもとの静けさを取り戻しました。

私たちもそろそろディナーに出かけようと部屋を出ると、外はもうすっかり夕闇に包まれていました。
噴水池の広場は必要最小限の灯りしかなく、ちょっと不気味な気配すら漂っていましたが、見れば警備の人がちゃんと見回りをしているようです。安心安心。

レストランは本丸をはさんだ反対側になりますので、必然的に中庭を通って行くことになるのですが、本丸へのアーチ型通路を抜けるとこんな光景が目に飛び込んで来ました。そこでは民族楽団らしき人たちが、音楽を奏でていたのです。楽団の構成員は10名ほどで、楽器は男性が担当しているようです。
メインの楽器はハルモニウム(手風琴)と呼ばれるもので、アコーディオンの床置き版のようなものです。
ハルモニウムを演奏しているのは年配の男で、どうやらこの楽団の長のようです。
男はハルモニウムの音色に合わせて歌います。そして他の男たちが太鼓や鐘、カスタネットなどでそれに呼応して行きます。
どことなく切なさを帯びたそのメロディーは、私の鼓膜と心を揺さぶりながら、砂漠の夜空に吸い込まれて行きました。

次の曲が始まると、今度は前列左側に座っていた若い女性が立ち上がり、曲に合わせて体をくねらせ始めました。上体を後に反らし、片方の足だけを上下させるような仕草を繰り返して行きます。
踊りは曲の盛り上がりに連れて次第に激しさを増し、最後にはくるくると回転を始めました。それはすごい早さです。溶けてバターになってしまうのではないかと思うほどの回転でした。SP盤レコードのようです。

そんな踊りをずっと見ていたかったのですが、だいぶお腹が空いてきておりましたので、後ろ髪をひかれつつ、熱演続く中庭を後にしたのであります。

*すべて2007年3月時点の情報です。

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インド先住民族の工芸品ドクラ