鈴の音は相手を遠ざけたり引き付けたり:インドの家畜の鈴・アニマルベル

イソップ童話で「猫の首に鈴を付ける」という話があります。

内容は、ネズミたちが天敵の猫から身を守るため猫の首に鈴を付け、鈴の音が聞こえたらいち早く逃げようという、実にナイスなアイデアを思い付いたものの、肝心の「猫の首に鈴を付ける」という危険な役をやる者が誰もいなかったというお話です。誰でも危ない橋を渡るのは嫌ですからねえ。

また逆のパターンで、こちらが鈴を付けて相手に自分の接近を知らせるというのもあります。登山者などがクマ除けに付ける鈴がそうですし、サンタクロースもこれ見よがしに鈴をシャンシャン鳴らしながらやって来ます。私も子供の頃、干し柿を二個もらいました。クリスマスという特別の日に、そんな普通のおやつレベルの物はあまりうれしくなかったです。

それから鈴の音で人を呼び寄せるというのもあります。
たとえば少人数でやってる宿やお店で、カウンターの上に置いてある鈴(ベル)を鳴らすと奥から人が出て来たりします。あとロバのパン屋もそうですね。あー、そういえばコルカタの人力車夫も鈴を鳴らして客寄せをしていました。

まあとにかく、鈴の音というのは自分(または相手)の居場所を知らせるには打って付けの方法なわけです。

なので大切な家畜の首にも付けたりします。

鈴を首からぶら下げたインドのヤギ

家畜の首に付けられた鈴は、視覚と聴覚の両方で確認できる目印(耳印?)なのだ。

これはインドのヤギですが、首に巻かれた紐に小さな鈴が付けられています。

鈴を首からぶら下げたインドのヤギ

歩くたび、首を動かすたびに鈴が鳴る。

上の写真では小さくて良く見えませんが、その鈴はこんなやつです。
こういう鈴をヤギに付けておけば、誰んちのヤギだかすぐわかりますし、またヤギがどこにいるかもわかるというものです。

インドのアニマルベル

これは小ぶりでつるんとしたタイプの鈴。

そんな家畜用の鈴(アニマルベル)をインドからたくさん仕入れました。
実際に使われていたものということで、仕入先で汚れたまま山になっていた中から、良さそうなものだけを選び出して来ました。

インドのアニマルベル

これは縄模様のついた中くらいのタイプの鈴。

鈴の汚れはある程度あちらできれいにしてから日本に送ってもらいました。
きれいになった鈴(といってもピカピカではありません)をあらためて見てみると、かなり使い込んですり減ったものや、ほとんど使っていないように見えるものまでいろいろありました。

インドのアニマルベル

これは壺のような形をしたちょっと大きなタイプの鈴。

鈴の形や大きさも様々で、そこに汚れやキズ、へこみ、ゆがみなどが加わって来ますので、それぞれ違う個性があります。
ご興味がありましたらぜひこちら「動物の鈴・アニマルベル」でご覧ください。

あー、鈴でお客さんを呼ぼうとしているのは、コルカタの人力車夫と同じだなあ。

動物の鈴・アニマルベル

ずしりと重いのは担う責任ゆえか:インドの南京錠

私は子供のころから南京錠が好きでした。
お祭りの夜店で買ったブリキ製のちゃちで小さなものが、初めて手に入れた南京錠だったと記憶しています。

でもやはり南京錠は頑丈なものに限ります。
なにしろ夜店で買ったものは、すぐにボディが前後に割れて(というか外れて)しまい、まったく財産を守る用をなさなかったのです。もっともその頃の私は、守るほどの財産もありませんでしたが。

頑丈な南京錠は、あのずしりとした重さもまた魅力です。
金属という堅牢な物質の塊であり、しかもそれがちゃんと機能を備えているというのがたまりません。

日本では以前ほど南京錠を見かけなくなりましたが、インドではまだまだあちこちで大切な財産を守るために日々活躍しています。
なので南京錠の専門店なんていうものもあり、いろいろな種類の南京錠が売られています。

インドの南京錠屋

こんなに必要なのだろうかと疑問に思うくらい、いろいろな種類の南京錠が並べられている。


インドの南京錠

これはインドの形がデザインされた南京錠。


インドの南京錠

こちらはタージマハルの描かれた南京錠。

インドの南京錠には年号の刻印されたものがあります。
錠前屋のおやじに聞いたところでは、もしその年号までに南京錠が破られてしまったら、全責任を錠前屋(製造者)が取るということでした。つまり保証というわけです。

昨年、そんな年号が刻印された古い南京錠を仕入れて来ました。

インドの古い南京錠

ボディに刻み込まれたキズは、長年警護の任にあったことへの勲章なのだ。

先に述べましたように、刻まれた年号は保証期限を表すようですが、もしかしたら製造年そのものを刻んだものかもしれません。それは造った人に確かめなければわかりませんが、少なくともその年号以前に造られた南京錠に間違いありません。

1990年のインド製南京錠

1990年なんてついこの間くらいに思っていたが、もう四半世紀以上も前なんだなあ。


そこで仕入先で見せられた南京錠の山から、1990年までのもの(四半世紀以上は経っているもの)だけを選び出しました。
南京錠はどれもずいぶん汚い状態でしたから、年号を確かめるのに刻印場所を指でゴシゴシこすり、きれいにしてからでないと判別できず、全部見終えるまでに指紋がなくなってしまうのではないかと思ったほどでした。

とまあ、そんな風にして掘り出してきた古い南京錠です。
もしあなたの記念すべき年号のものがありましたら、おひとつお手元にいかがでしょうか。
新品の南京錠も扱っていますので、ぜひご覧ください。

インドの南京錠

気は心・木のガネーシャ像

今回は商品の紹介でして、あまり持って回った話をしないで単刀直入に言いますと、ご紹介するのは木彫りのガネーシャ像なのです。

ガネーシャは象の頭を持つヒンドゥー教の神様で、日本でも何年か前にガネーシャを題材にした小説がヒットしましたので、ご存知の方も多いかもしれません。

インド・ヒンドゥー教の神様ガネーシャ

人間の体に象の頭のガネーシャは、数あるヒンドゥー教の神々の中でもとても目立つ存在である。

インドでもガネーシャはとても人気があります。
なにしろそのご利益は「富と繁栄」「知恵と学問」「障害を除去し成功をもたらす」という、実に幅広いものなのです。

*ご利益はインドでそう言われているということで、効果効能を保証するものではありません。

またガネーシャはその風貌や逸話によっても親しみを覚えます。

まずその風貌ですが、頭が象であることはすでに述べましたが、他にもふくよかなお腹、半分折れてしまった牙(右側)などがあり、エピソードとしては、お母さん(パールバティー神)の垢から創られた、転んだのを見て笑った月に牙を折って投げつけた、甘いお菓子(モードカ)が大好き、大きな体で小さなネズミを乗り物としている、などがあります。

*エピソードには諸説あります。

インド・ヒンドゥー教の神様ガネーシャ

ガネーシャは笛を吹いたり太鼓を叩いたりもするのです。

どうです、なかなか愛嬌があって親近感がわく神様でしょう。
ヒンドゥー教徒でなくても、見ていてなんとなく安心感を覚えたりします。

*あくまでも個人的感想であり、効果効能を・・・もういいか・・・

特に寝転がった姿のガネーシャなどは、こちらまで気持ちがゆったりして来るようです。

インド・寝転がった姿のスリーピングガネーシャ

なんの悩みもなく、のんびり寝転がった姿はとても神様とは思えない。(失礼)

そんな独特の雰囲気を持つガネーシャですので、冒頭でちょっと触れたように小説の題材としても使われたのでしょう。

その小説(夢をかなえるゾウ)では、ガネーシャが平凡な若者の前に突然現れ、成功のための「課題」を与えて行きます。そしてその若者は、半信半疑ながらもその課題を実践し、次第に成長して行くというお話です。
要はすべての成功は小さなことの積み重ね、そしてそれをやり続けて行くことが大切ということなのですが、これがなかなかできないのですね。なにしろ成果というものはすぐに現れませんので、つい途中で「これでいいのか?」という迷いが出てしまい、迷った挙句に結局全部放り出してしまう、ということもよくあることです。

小説の中では、関西弁を話すユーモラスなガネーシャが、神様とも思えぬ人間臭さを丸出しに、次第に若者のやる気を引き出して行きます。そしてそのガネーシャの醸し出す「身近さ」こそが、「もしかしたら自分にもできるかも」という気持ちを起こさせるわけです。

ということで、あなたのおそばにもそんな親近感あふれるガネーシャをおひとつ(お一人?)お招きしてみてはいかがでしょうか。
ただしこのガネーシャは課題を出してくれたりはしませんが・・・

インド・寝転がった姿のスリーピングガネーシャ

なにかと忙しい日本人には、日がな一日のんびり寝ているというのは、最高の贅沢なのだよなあ。

木彫りのガネーシャ像は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

木彫りのガネーシャ

木は森に隠せ、ブツはブックに隠せ・アンティークな真鍮製ボックス

小学生のころ、探偵小説に夢中になっていた時期がありました。

もともとは友達の影響で読み始めたのですが、すっかりそのトリコになってしまい、当時子供向けに発行されていた怪盗ルパンやシャーロック・ホームズといった本をずいぶん読んだものです。

ポプラ社の少年向け探偵小説集

つい夢中になってしまい、授業中にもこっそり読んだりしていました。

またテレビやマンガなどでも探偵ものやスパイものといった冒険活劇は人気があり、スパイ手帳なるものまで売り出されたりして、あの頃の子供はそういった遊びもよくやりました。

そんな当時の探偵小説やスパイ映画といったものの中に、分厚い本や辞書にピストルを隠すというシーンが出てきました。つまり本のページをピストルの形に切り抜き、そこにピストルを収納して何気なく本棚にさしておくというわけです。まあ偽装というやつですね。

私はそのアイデアにいたく感心いたしました。なにしろそれくらいなら、実際にやれそうではありませんか。
これが腕時計にカメラを仕込むとか、自動車が空を飛ぶとかになると、ちょっと子供では手が出ません。そもそも当時の子供は時計もカメラも持っていませんし、ましてや自動車や飛行機はなおさらです。

それが本を切り抜くというだけならできそうです。
でも家にある厚い本といえば百科事典くらいです。しかしさすがに百科事典を切り抜くわけにはいきません。なにしろ当時の親というのは、子供より物の方が大事でしたから、高価な百科事典を台無しにしたのがバレたら、何回頭を叩かれるか知れたものではありません。頭を良くするための百科事典のせいで、逆に頭が悪くなりそうです。
そこで私は、厚さの充分ある少年マンガの月刊誌を切り抜くことにしました。本当は固い表紙の本がベストなのですが仕方がありません。

早速私は月刊誌の表紙をめくり、1ページ目におもちゃのピストルを置き、その輪郭をマジックペンでなぞって行きました。ピストルを押さえている手と、ペンを動かしている手が交差するときに、ピストルが少し動いてしまいましたが、まあこのくらいは切り抜くときに修正すればいいでしょう。

線が引けたらいよいよカットです。
今みたいによく切れるカッターナイフがあるわけではありません。使うのは「ボンナイフ」と呼ばれる10円のカミソリです。
ボンナイフの四角い刃の先を、引かれた線の上に突き立てぐっと力を入れます。刃先は2、3ページほど紙を貫いたようです。
次はその突き立てた刃先を線に沿って動かすのですが、これが意外に力がいるのです。子供の力ではボンナイフはなかなか動きません。
それでもぐりぐり左右に動かしながら手前に引いて行くと、少しずつ動き出しました。
しかしほんの2、3ページを切り抜くのにこんなに時間をかけていては、ピストルが入る深さにまでするのは大変です。

そこで今度は少しムキになって強く引いてみました。
するとボンナイフからカミソリの刃が外れてしまい、勢い余った刃のない本体の金具が、無残にもページをズタズタに切り裂いて行ってしまいました。
まあ道具も道具ですが、マンガ雑誌の紙質なんてその程度のものです。

それで私はすっかりやる気が失せてしまい、ピストル(おもちゃですが)を本に隠すという偽装作戦はあえなく失敗に終わったのであります。

さて、ずいぶん前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

しかしあれからウン十年、私はついにこんなものを手に入れました。

ブックタイプの真鍮ケース

どこからどう見てもただの本ですが・・・

本です。
はい、もう本以外の何物でもありません。

でもちょっと待ってください。
本にしてはビスが打ってあったり・・・おやおや、鍵穴までありますね。

ブックタイプの真鍮ケース

横にしても本にしか見えませんが・・・

あっ、もしかしたらこれは、中にピストルかなにかを隠してある本なのではないでしょうか。

それでは、注意しながら本の表紙をめくってみましょう。

ブックタイプの真鍮ケース

な、なんと中は・・・

パーン!

おお、びっくりしたあ!

いや、驚かせてしまい大変申し訳ありません。
でも先ほどの「パーン」というのは銃声ではなく、インド庶民に人気のある嗜好品の名前なのです。私が口で言いました。

パーンは古くからインドにある嗜好品で、コショウ科のキンマの葉でカルダモンやクローブなどのスパイス類を包み、丸ごと口に放り込んで噛んで楽しむものです。

インドの嗜好品パーン

パーンは高級レストランでも食事の後に出されたりする。

街中にはこのパーンを商う店がたくさんあり、注文を受けてから葉っぱに石灰の汁を塗り、客の好みに合わせて配合した各種香辛料を包んで渡してくれます。

インド・街中のパーン屋

パーン屋は多数の材料を巧みに組み合わせてパーンを作ってくれる。

というわけで、今回ここでご紹介する「本」は、そんなパーンを家庭で楽しむための材料容れなのです。
これは推定で30年から50年前のもので、実際にインドのどこかのご家庭で使われていたものです。

ブックタイプの真鍮製パーンケース

古いものなので、実際には食品以外の小物入れにご利用ください。

でもわざわざ本の形にしてあるということは、人に隠れてやるような・・・・

いえいえ、パーンは決して麻薬ではありません。ただのスパイスですから、これならガニマール警部だってコロンボ警部だって手出しできません。でももしかしたらペッパー警部は興味を示すかもしれません。

また今回は手提小箱タイプのパーン容れも手に入れました。まあステキ!
こちらも同様に古いもので、もちろん一点物です。

ブックタイプの真鍮製パーンケース

こちらもずっしりどっしりのしっかりした作りです。

そんなアンティークなパーン容れにご興味のある方は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しておりますので、ぜひご覧になってください。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

これはインド人らしくないインド人によるインド伝統の技術なのだ・ドクラの真鍮製品

みなさんは「インド人」のイメージとしてどういうものをお持ちでしょうか。

私の子供の頃は、なんと言っても「ターバン」でした。
これは取りも直さず某メーカーのカレー粉(昔はカレールーなどと言わずあくまでもカレー粉でした)のテレビCMの影響であり、さらにはそのCMで使われた「インド人もびっくり」というフレーズまで、「インド人」とセットで覚えられてしまったほどでした。

ターバンのインド人

かつてのインド人のイメージはこんな感じだろうか。

もちろんこれはインド人に対する正しい認識ではなく、テレビCMという特殊な情報がもたらした、宣伝商品流布過程での副産物的固定観念化です。なにしろテレビCMは短い時間で、いかに視聴者の目を引き付けるかが勝負ですので、それに利用されたものまでが人々の脳裏に強く刻み込まれてしまうわけです。

しかしインド人はみんなターバンを巻いてびっくりしているのかといえば、決してそんなことはないわけです。七三分けで落ち着き払ったインド人もおりますし、禿げ頭で怒っているインド人もいるわけです。

そんな「インド人=ターバン」といったイメージも、今ではテレビの映像などでインドの情報がどんどん入って来るようになり、「おっ、案外インド人もターバンをかぶっていないのだな」ということが知られるようになりました。そしてあの「インド人もびっくり」というフレーズに至っては、日本通のインド人がシャレで使うのみとなったのであります。めでたしめでたし。

インドの街角

インド人でターバンを巻いているのは少数派と言っていいだろう。

で、インド人はなにもターバンを巻いた人だけではないぞというその延長線上に、インドには先住民族の人たちもいるんだぞというお話があるわけです。

彼らはアディヴァシーと呼ばれ、インド亜大陸の山間部(私が実際に行ってみたのはチャッティースガル州でした)に古くから住んでいた人たちです。もっとも初めから山岳地帯にいたのではなく、異民族の侵入でそこに追いやられたのかもしれません。

とにかく彼らは長い間深い森の中であまり外界とは接触せずに暮らして来ていたようで、インド政府がその存在を認識したのがイギリスからの独立後だったというから、これはまさしく「インド人もびっくり」だったわけです。

まあ「インド人=ターバン」というイメージはすでに過去のものとはいえ、初めて接する先住民族の人たちのその姿や生活文化は、それまで私が持っていたインド人のイメージとはずいぶん違っておりました。

インドの先住民族の人たち

先住民族の人たちのファッションは、男性より女性の方がより伝統色を残している。

そんな一般的な(大多数の)インド人とはだいぶ違う彼らですが、実は古くから受け継ぐ伝統技術があります。
それは金属の鋳造技術で、その起源は5000年前のインダス文明に遡ると言われており、その点でも彼らは正統な「インド人」の系統と言えるのかもしれません。

インダス文明の踊り子像

モヘンジョダロから出土されたこのブロンズ像が、インド先住民族の伝統技法「ドクラ」の源流といわれている。

つまり一見インド人らしくない人が実は真のインド人であり、そんな人たちが創り出すあまりインドっぽくないものが、実は昔からあるインドのものだったりするということで、こうなるともうなんだかよくわからなくなってしまうのであります。

でまあ、そんなアディヴァシーの人たちのことは、こちら「ドクラの工芸品」にもう少し詳しく書いてありますので、よかったらご覧いただきたいと思う次第であります。

そしてインドの先住民族アディヴァシーの作品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

トライバルアート、ドクラの真鍮作品

こちらにたくさん並べてあります。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

尻がもぞもぞするほどの細かさなのだ・インドの細密画

インド人は実に大雑把です。

もっともインド人もいろいろですので、みんながみんな大雑把かといえばもちろんそんなことはないわけですが、そこをあえてステレオタイプな見方と断った上で言えば、やはり大雑把と言わざるを得ないでしょう。

たとえば時間に関してはホント大雑把で、インド人の言う5分は日本人の30分、インド人の言う3日は日本人の一週間以上ということがよくあります。
またインド人はやたらと「ノープロブレム」という言葉を使い、発生した問題をあいまいにしてしまうのですが、実際そう言われると少し気楽になることもあり、そんな時はインド人の大雑把さ、いや、おおらかさに救われた気がします。

まあ「大陸気質」に対して「島国根性」なんていう言葉がありますので、世界的に見たら日本人の生真面目さや細かさの方が珍しいのかもしれません。
インドにしばらくいてインド流に慣れて来ると、それが結構快く感じられるようになり、日本にいる時はなんであんなことでイライラしていたのかなあと不思議に思ったりするほどです。

さて、そんな風にとかく大雑把なイメージのあるインド人ですが、こと手工芸の世界になると、実に細かい作業をこつこつやっていたりして驚かされます。

細密画の工房を見せてもらった時もそうでした。

工房には数人の職人(画家というより「職人」て感じなんですよね)が床に置いた座り机に向かい、一心に細い筆で絵を描いていました。

インド・細密画の制作風景

一日中ここに座り絵を描いている。

突然の闖入者が間近に寄ってジロジロのぞき込んだりカメラのレンズを向けたりしても、少しも心乱すことなく、正確な線を引いて行くのです。

インド・細密画の制作風景

使うのはリスの毛で作られた細い筆一本。

見ているこちらの方が尻がもぞもぞしてしまうような緊張感でしたが、たぶん職人さんの方は「緊張」というのはまったくなく、鍛え上げた腕で黙々と絵を描いているといった感じなのでしょう。

インド・細密画の制作風景

筆を洗っては色を変え、鮮やかな世界を描き上げてゆく。

そしてそんな技の集大成、いや、本業の絵からしたらほんの余興(?)として、この工房のマイスターが私の名前を米に書いてくれました。

インド・細密画の制作風景

心をコメて米に字を書く。

文字はアルファベットでしたが、いやはやさすがだなと感心いたしました。
もちろんその米は今でも大切にしまってあります。
ただ大切にしまい過ぎてどこにあるのか・・・

まあそれはともかくといたしまして、今回はインド人の手先の器用さと細かい作業をし続ける精神力を、ちょいっとご紹介させていただいたのでありました。

そして、そんな細かい地道な作業の結晶にご興味をお持ちいただいた方は、ぜひこちら「インドの細密画その1」もご覧いただきたいと思う次第であります。

またインドの細密画は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

インドの伝統工芸細密画

心を震わす音色は振動というより感動なのだ・インドの真鍮製シンギングボウル

シンギングボウルというものは、真鍮(他の材質のものもあります)のボウル(器、鉢)です。

インド・真鍮製のシンギングボウル

お菓子を入れたり金魚を飼ったりもできそう。

しかしそのボウルの周りを木の棒などでこすると「うぉ~ん」という音が鳴るのです。
なのでシンギングボウルと呼ばれるわけです。

インド・真鍮製のシンギングボウル

木の棒も付いているので料理もできそう。

ではその「うぉ~ん」という音が何かといえば、それは共鳴音なわけです。
でもってその「共鳴」が何かと広辞苑で調べますと・・・

物理系が外部からの刺激で固有振動を始めること。特に刺激が固有振動数に近い振動数を持つ場合をさす。
広辞苑 第三版 昭和六一年一〇月六日 第三版第四刷発行(かなり古いですがたぶん原理は変わってないでしょう)

とあります。

よくわかりません。

でも、とにかくシンギングボウルはその胴体を震わすことで音を発します。
そしてその振動に合った刺激(木の棒でこすって)を与え続けると、その音が増幅されて行くのです。

それだけのものではあるのですが、「単なる真鍮の器」を「何の変哲もない木の棒」でこすると、あの「うぉ~ん」という音が出るというのがなんとも不思議で心地良いのです。

それでも木の棒のこすり方にはちょっとコツが要って、震え出したシンギングボウルの振動に上手く合うスピードでこすらなければなりません。
下手にこすると振動が消えてしまい、上手くこすると振動を増幅させ音も大きくなります。
またどうかすると高音のキーンとした音が混じることがあるのですが、それもこする位置やスピードを調整することで消すこともできるのです。

そんな「音を育てる」というような感覚もまた、シンギングボウルの魅力なのだと思います。
何度も練習してきれいな音が出せたときには、本当に嬉しくなります。

インド・真鍮製のシンギングボウル

このシンギングボウルのように、人生もまたでこぼこ道だが、それも味というものなのだ。

つまりシンギングボウルの振動は、単に音を出すだけでなく、私たちの心をも揺さぶり感動を呼び起こすのだと私は思うのです。

で、そんな私の考えに共鳴して頂ける方は、ぜひこちら「真鍮製のシンギングボウル」もご覧いただきたいと思う次第であります。

またこの商品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

シンプルデザインの真鍮製シンギングボウル

見た目は違えど大切さはみな同じです・インドのブロックプリントの版木

インドを代表する伝統技法のひとつにブロックプリントがあります。

ブロックプリントは木を彫って作った版を、人の手によって布に押して柄付けする手法です。
ベッドシーツのような大きな布も、小さな木版押印の繰り返しから成り、彩り鮮やかな模様もまた、小さな木版押印の積み重ねから生まれます。

インド・ブロックプリントの版木

ブロックプリントの工房には版木がずらっと並ぶ。

デザインにもよりますが、一つの柄を作り出すのに数個の版木が使われます。
下地を染めるための版木、一部分に色を付けるための版木、逆に色を付けたくない箇所を防染するための版木、そして輪郭線を描くための版木など、実に様々な種類が使われるのです。

なので木版自体のデザインも、繊細なものや大胆なもの、華やかに見えるものや地味なものなど千差万別となります。
しかしそれぞれの版木の担う役割はどれもみな重要だということに違いはなく、どれひとつが欠けてもあの美しい模様は成立しないわけです。

インド・ブロックプリントの版木

細かいデザインや大胆なデザイン。派手に見えるもの地味に見えるもの。しかしどの版木が欠けても布は完成しないのである。

そんな版木も役目を終える時が来ます。

その一生もまた様々で、幸運にも擦り切れるまで使ってもらえたもの、残念ながら途中で割れたり欠けたりしてしまったもの、また相方(型)となる版木の脱落に伴い退いたものなどなど。

そんな本来の役目を終えた版木ですが、固い木に深く刻み込まれた模様はどれも美しく、そのまま廃棄してしまうにはあまりにも惜しいことです。

ということで、当店では引退版木をインテリアなどにご活用いただこうと、インドよりいろいろ集め、取り揃えておりますというお知らせでした。

まずはこちら 「ブロックプリント用の版木」 をぜひともご覧ください。

またこの商品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

ブロックプリントの版木

裏表のない実に良いやつなのだ・アジュラック染めのコットンショール

インド人は布の使い方がうまいなあと思います。

一枚の長い布を頭にぐるぐる巻きつけて使うターバンや、体に巻きつけるサリーなどはその代表的なものになりますが、何気ない日常で布をひょいっと首や肩から垂らしたり、頭にかぶったりする姿が実に様になっていてかっこいいのです。

粋に布を使うバイクトラックのおっさん

三輪トラックのドライバー。なんということはないのだが、頭に巻いた布がかっこいい。

日本でも最近手ぬぐいが見直され、それを粋に使うおしゃれもあるようですが、インド人はおしゃれというより防寒や日よけ、ほこりよけなどの実用として使い、それがまた自然でいいのです。

防塵日よけに余念のないバイクのおねえさん

スクーターのおねえさんの防塵、日よけは完璧なのだ。

ただちょっと気になるのが、布をマフラーやショールのように使う時の裏側の見え方です。つまり柄が表だけにあって裏にはないと、布がひるがえった時などに少々見劣りがするということです。

日本手ぬぐいの場合は、本染め(注染)という技法によって裏側まで柄を染め抜きますが、インドの伝統技法であるブロックプリントではそうも行きません。あくまでも柄は木版を押した側にしか付きません。

ところがインドでも西の端、パキスタンとの国境近くの一部の地域では、布の両面に柄を付ける技法があるのです。

その方法は至って簡単、裏側にも木版で柄を押印して行くだけです。

しかし「言うは易し、行うは難し」、裏側にも表側と同じ柄を付けるというのは、それはもう大変な作業です。なにしろ使用する木版は一辺が15~20㎝ほどの小さなものですから、それを規則正しく布一面に押していくだけでも大変なところを、表側と同じ位置に押さなければならないのですから、これはもうほとんど神業としか思えません。

ということで、当店でもそんな超絶技法の職人の作った両面柄染めショールを取り扱っております、というお知らせでした。

ぜひこちら「アジュラックのコットンショール」もご覧ください。

またこの商品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて販売しております。

*すでに売り切れている場合もございます。その際は何卒ご容赦願います。

あの鈴を鳴らすのはあなた、かな?・エレファントベル / 象の鈴

ペットの話となると、やれイヌ派だネコ派だと大きく意見が分かれたりします。
確かに実際飼われているペットと言えば、イヌとネコがその二大勢力でしょう。

でも、子供たちに「好きな動物はなあに?」と尋ねたら、おそらくゾウが上位に来ると思います。

インドの街角の象

インドでもゾウは人気者。

なんたってゾウは昔から日本の子供たちに親しまれて来ました。
童謡「ぞうさん」では題名からしてゾウに「さん」付けしていますし、かつてテレビで盛んに流れていた某引越センターのCMでは、女の子が「キリンさんが好きです、でもゾウさんのほうがもっと好きです」なんて、同じく子供たちに親しまれているキリンを引き合いに出してまでゾウを持ち上げる厚遇ぶりです。
その点、今年赤ん坊が生まれ再び脚光を浴びたあのパンダでさえ「パンダさん」とは呼ばれません。「パンダさん」はかぐや姫です。動物のパンダはせいぜい「パンダちゃん」です。そう、ちょっと下に見ているのです。
あまつさえサルの一種アイアイなどは、童謡で「ア~イアイ、ア~イアイ、ア~イアイ、ア~イアイ」と幼稚園児にまで呼び捨てされまくりなのです。「ぞ~おさん、ぞ~おさん」とは大違いです。

と言うことで、ゾウがいかに日本人に親しまれ、愛されているかが再確認できたところで本題です。

愛象家のみなさん! 大変長らくお待たせいたしました。

ついにあの鈴がインドよりはるばるやって参りました。

ゾウを愛し、ゾウに愛されたあの鈴が・・・ついに・・・

気になる方はこちら「インド象の鈴・エレファントベル」をご覧ください。

またこの商品は「ラクダ隊商パインズクラブ楽天市場店」にて真面目に販売しております。