わずかなスペースを有効利用・インドの露店本屋

グジャラート州バーヴナガルの交差点に露店の本屋があった。

メイン商品は雑誌や新聞のようで、古本屋というわけではなさそうである。
道路わきの金属製の柵を上手に利用して、たくさんの雑誌の表紙を見せている。インドでは間口の狭い店が多いが、その点この店はなかなかの好立地と言えるかもしれない。

インド・街角の露店本屋

露店の本屋は道路の柵を利用して上手に雑誌を陳列している。

また時間が昼下がりということで、本屋のおやじも柵の台座のわずかなスペースに、平積みの本と並んで昼寝をしていた。
こんなに狭いところで落ちやしないかと心配になるが、おやじの左手の指はしっかり柵に引っ掛けられていて、落ちることはないのである。

インド・街角の露店本屋の昼寝風景

露店の本屋のおやじは道路の柵を利用して上手に体を横たえている。

インドは広い国土を持つ国なのに、ちょっとしたスペースを最大限に利用する知恵は日本人以上だなあと、思わせられることがよくあるのである。

インドの伝統工芸細密画

凧屋の株は今が買いということか・インドの凧屋

インドは凧揚げが盛んである。
中でもグジャラート州は、年に一度凧フェスティバルが開かれるほど盛んである。

なのでインドでは凧の専門店がある。しかも一軒や二軒ではなく、軒並みあったりするので驚く。

これはバーヴナガルの旧市街の凧屋である。そしてその隣も凧屋である。

インドの凧専門店

凧がこれだけあるということは、それを作っている人もたくさんいるということである。

当然売っているのは凧である。あちらの言葉で「パタン」という。
日本でも凧のことを「ハタ」という地方があるが、このパタン語源説もあるようだ。

インド。凧専門店の店頭で山のように積み重なる凧

この界隈の凧を全部積み上げたら、揚がる高さより高くなるかも。

専門店なので凧本体だけでなく、その用品も扱っている。
しかし凧用品といっても糸と糸巻くらいしか思いつかないし、実際店内の棚を見たところ、やはりその程度の商品しかないようであった。

インド・凧専門店の商品棚には凧糸がたくさん並ぶ

凧糸もたくさん売られているが、素人にはその違いがわからない。

とにかく一軒の店だけでもかなりの数の凧を売っている。
さすがにこれだけの凧がすべて売り切れるとは到底思えないのだが、実はインドの凧揚げは喧嘩凧で、相手の凧と糸の切り合いをするのだ。
つまりどう少なく見積もっても、ふたつにひとつはどこかへ飛んで行ってしまうことになる。さらに戦いが続けばもっと多くの凧が空の藻屑(?)となるのである。

ということで、糸を切られた凧とはまさしく対照的に、凧屋の方では切れ目なく凧が売れていくということなのであろう。

木彫りのガネーシャ

それはこうです!たぶん:【今回のテーマ】プロ 耳かき 道具

 このコーナーは当サイトに関する最近の検索キーワードの中から、「これはいっちょちゃんとお答えしとかなきゃいけませんね」というものをピックアップして、頼まれてもいないのに勝手に回答してしまうコーナーです。
 そもそもその検索キーワードを打ち込んだ方はすでに当サイトを訪れ、そしておそらくがっかりされて去って行かれただろうと思いますが、あえてそのさみしげな背中に向かってお答えさせていただきます。
「それはこうです! たぶん」

今回取り上げる検索キーワードは

「プロ 耳かき 道具」

です。

********************

まず始めにご説明しておくと、インドには耳かきを生業とする人たちがいる。

まあ日本にもおねえさんが耳かきをしてくれる店があったりするが、インドの耳かき屋はそういういやらしい目的・・・いや、私は日本の耳かき屋のことはよく知らないのであくまでも想像でしかないのだが・・・日本のそれは耳を掃除してもらうというより、たぶん、おそらく、もしかしてだけど~、おねえさんのひざまくら~が、目的なんじゃないのお~~~

そういうことだろ。

でもインドはそんな不純なものではなく、「カーン・サーフ・ワーラー」と呼ばれるレッキとした職業があるのだ。
ヒンディー語でカーンは耳、サーフは掃除、ワーラーは作業者(仕事にくっつけて「それを行う人」)という意味なので、つまりそのまま「耳掃除人」ということになる。
彼らは目印の赤い帽子(または巻き布)を頭にかぶり、街角で客を探して歩いている。そう、彼らは店を持たない露天商(?)なのである。

では彼らはどのような道具を使っているかというと、基本は「細い棒」一本である。インドの耳かき屋棒の材質や形状の詳細はわからないが、おそらく耳かき屋によって多少の違いがあると思う。
なのでここはあくまでも自分の体験した時のことでお答えするのだが、この時は金属製のもののように見えた。
先端は日本でよく見るようなスプーンのようにはなっておらず、先端付近にらせん状の溝がつけられ、そこに綿をからめて綿棒のようにして使っていた。
ちなみに綿は耳かき屋の耳(つまり「カーン・サーフ・ワーラー・カーン」である)に挟まれている。
インドの耳かき屋とにかく使用しているのは特にすごい工夫があるわけではないただの細い棒なのだが、弘法は筆を選ばず、カーン・サーフ・ワーラーは耳かき棒を選ばず、要は腕がものを言うのである。
耳の穴をのぞき込み、巧みに棒を動かして耳垢をこそげ落として行く。
そして大物を掘り当てたときは、ピンセットを使って引きずり出す。インドの耳かき屋の道具そんな腕と棒一本で生活を支えている彼らだが、この耳かき屋は小さな道具箱を持ち歩いていた。インドの耳かき屋の道具何が入っているのかと覗いて見ると、小瓶がずらりと並んでいる。
これは耳のケア用の薬であるようだ。私も耳掃除の後にしきりにつけることを勧められた。
しかし中身はなんだかわからない。ちゃんとした医薬品かもしれないし医薬部外品かもしれない。またはマヤク、ビヤク、マジナイ、サプリ、トクホのたぐいかもしれない。
とにかくそんな得体のしれないものを使う気にはならなかったので「あくまでも個人の感想です」すら言えないのである。インドの耳かき屋の道具ちなみにこの時の耳かき料金は両耳で20ルピー(約40円)だった。
しかしこれは同行の現地人に交渉してもらった料金である。
某デリー在住者のブログで、コンノート・プレイス(デリーの中心地)で耳かきをしてもらったら100ルピーだったというような記事を読んだことがあるが、料金はケース・バイ・ケースなのだ。
これは耳かきに限ったことではなくインドでの料金設定(定価販売は除く)全般に言えることだが、決してその金額の違いだけで高いとか安いとか判断してはいけない。
価格は需要と供給のバランス、買う側と売る側の立場の強弱(たとえばものすごく耳がかゆくて、1000ルピー払ってでもすぐにやってもらいたいときなど)や、場所、天候、虫の居所などによって常に変動するものなのである。

とまあ以上が私の知りうる限りの「プロ 耳かき 道具」に関する情報である。
イマイチ道具の詳細がわからなかったかもしれないが、要はプロの一番大事な道具は「よい腕!」ということでお茶を濁しておくのである。

以上、少しでもお役に立てたら幸いである。

南インドの休日:その10 / フォート・コーチンでビールとシーフード

それではいよいよお待ちかねのビールの飲めるシーフード・レストランに入ることにしよう。
なお、写真は必ずしも話の進行順で撮られていないため、空の明るさが行ったり来たりするが、その点ご了承願いたい。

やって来たのはその名も「コーチン・フォート」というレストランである。
夜ともなるとワイン&ビールという電光看板がよく目立つが、明るい昼間はこの前を通ってもちっとも気づかなかった。
南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストラン店に入るとすぐに魚を並べたショーウインドウがある。
そこで食べたい魚を選んで店員に言うわけである。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストラン魚もいいけどやはりエビは外せない。
しかし物価の安いインドでしかも産地といってもエビは高い。なんとこの一尾が100ルピー(約200円)もした。
もっともその値段には調理代と席料が含まれてはいるのであるが。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランということで、赤い魚とエビを6尾選んだ。
赤い魚は1200ルピー(約2400円)だった。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランこのレストランにはオープンエアのテラス席もある。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランでも屋根の下の席の方が雰囲気がいい。
まだ店内はガラガラだったので、南国風の中庭の見える席に着く。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランなんといってもまずはビールである。
昼からずっと我慢して来たので格別である。
ちなみにビールはキングフィッシャーの大瓶(650ml)が200ルピー(約400円)だった。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランインドに行ったらビールのお供はこれ、パッパルである。
パッパルは豆の粉を練って薄く丸く伸ばしたもので、食べる直前に直火で軽くあぶる。パリパリとした食感と練り込んだ胡椒のピリピリ感がたまらなくうまいのだ。
ただしたまに火であぶらずに油で揚げたものが出されることもある。そいつはぷっくりとふくれていて若干やわらかく、しかも油っこいので好きではない。
なので私は必ず「ローステッド・パッパル」と念を押すようにしている。
ちなみにこのくらいの店だとパッパルはサービスで出してくれたりするが、注文してもたいした金額ではない。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランこれは野菜サラダである。値段を書き留めるのを忘れてしまったが、たぶん100ルピー(約200円)ちょっとだと思う。
インドではよくキュウリやニンジン、玉ねぎやトマトをスライスしたものを「サラダ」と称して出して来る。
でもこうしたニンジンやキュウリに塩を振って食べるのもなかなかいけるし、ビールのつまみにもなる。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランいよいよ注文した魚が出て来た。
これはサッパリした味付けにしてもらったが、生臭さもなくおいしかった。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランそしてこちらがメインのエビである。
これはタンドーリ・プロウンということで、スパイスの効いたソースに漬け込み、タンドール(石釜)で焼いたものである。つまりタンドーリ・チキンのエビ版なのである。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランピリ辛のスパイスとほどよく着いた焦げめが実にうまい!南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランと、だいぶ食事も進んだ頃、店員がなにやら煙の出るお盆を持って店内を回り始めた。
聞けばこれは虫除けとのことであったが、私としてはそろそろ食事が終ろうとしている頃に煙をもくもく焚かれても迷惑なだけなのだ。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランしかしインド人や欧米人は宵っ張りなので、この店が本格的に忙しくなるのはこれからなのである。

前のページへ行く目次へ行く次のページへ行く

インドの南京錠

南インドの休日:その9 / フォート・コーチンの魚屋

豊富な魚介類の水揚げのあるフォート・コーチンだが、それではそれらの魚介類はどこで買えるのか、またどこで食べられるのかといえば、それはもうその場、つまりチャイニーズ・フィッシングネットのすぐそばなのである。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばの魚屋

ここにはこんなパラソルを差し掛けただけの店や南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばの魚屋粗末な小屋掛けの店など、規模の小さな魚屋がたくさん並んでいる。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばの魚屋ちなみに魚あるところに猫ありということで、この界隈にはたくさんの猫がうろついている。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばでうろつく猫中には魚屋のおっさんと一緒に店番をしている猫もいたりなんかして、ぎょっ!と驚いてしまう。
こちらとしては猫が売り物の魚を食べてしまわないかと心配になるのだが、おそらく普段から魚をたらふく食べているのだろう、その証拠にそこらに落ちてる小魚などには見向きもしない。
満腹のライオンが目の前を横切るシマウマを襲わないのと同じということで、ここならサザエさんも裸足で駆け出さなくて済みそうである。
南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばでうろつく猫さて、魚屋があるのはわかったが、旅行者が魚屋で生の魚を買うわけにもいかず、当然どこか料理して出してくれる店に行くことになる。

チャイニーズ・フィッシングネットから一本奥に入った路地にも小さなシーフード・レストランがたくさん並んでいるが、チャイニーズ・フィッシングネットの横を通り過ぎた先、マハトマ・ガンディー・ビーチの前にもレストランのかたまっている場所がある。
南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランただしこういった店ではビールが飲めない。呼び込みのにいちゃんに片っ端から聞いて回ったから間違いないのだ。

で、しつこくしつこく聞き取り調査を行った結果、バスターミナルのすぐそばにビールが飲めるレストランがあることを知った。やった!
というか、バスターミナルはヴァイピーン島からのフェリー乗り場とチャイニーズ・フィッシングネットの間にあるので、ビールビールと騒いでいるわりには今まで気が付かなかったのがおかしいのである。
南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランこうしたレストランでは店先に魚を並べたショーウインドウが置いてあり、そこで自分で魚を選び、好みの調理方法を指示する。
もちろん調理方法はお任せでもOKで、その方が間違いがない。下手に薄味でお願いすると、生臭さが鼻についておいしくないこともあるのだ。南インド、ケララ州、フォートコーチンのチャイニーズ・フィッシングネットそばのシーフードレストランそれではいよいよビールの飲めるレストランに入ってみよう。

前のページへ行く目次へ行く次のページへ行く

人の想いは言葉の壁をも越えるのか:インドの物売り

「マッチ売りの少女」はとても悲しいお話である。

暮れも押し迫った凍てつく街頭でひたすらマッチを売り続ける少女。しかし足早に通り過ぎる人々は誰もマッチを買ってくれない・・・

私は小さい頃この本を母親に読んでもらいながら「誰かマッチを買ってやればいいのに」と憤ったものである。

でもそれは、この話がマッチ売りの少女目線で書かれているためである。

じゃあ実際に年末のあわただしいさなかに街角でマッチを買うかといえば、たぶん私は買わないと思う。

インド:交差点での物売りインドには小商人(こあきんど)がたくさんいる。彼らは身一つで元締めから託された商品をひたすら売り歩く。

彼らは街中にもいるし、大通りの交差点にもいる。そう赤信号で止まった車相手に商売をするのである。

売り歩く商品は様々である。
たとえばタオルを山ほど抱えて売りに来る少年がいる。
少年は信号待ちの車の間を移動しながら、一台一台タオルを広げて見せる。
まあタオルなら生活必需品なので売れるのではなかろうか。私は買わないけど。

新聞や雑誌を売りに来るじいさんがいる。
これも必要な人は買うであろう。もっとも私は読めないので買わないが。

インド:交差点での物売りそうかと思えば一抱えもある大きな風船を売りに来る青年がいる。
こんなもの誰が買うのかと思えば、これが意外と売れている。
これは使用時の商品の大きさに対して受け取る商品(ふくらます前の風船ね)が小さいので、売る方も買う方も楽であろう。ただし買った風船が見本のもののように大きくふくらむかはわからないが・・・

私が乗っていた車にも少年の売り子が来た。
少年が扱っている商品はボールペンである。
少年は買ってくれと言う。
私はいらないと答える。
そんな押し問答が何度か続く。
そうこうするうち前方の信号が青になった。
と、少年は少し開いた窓の上からボールペンを差し入れて来た。
私はあわててそれを押し戻す。
車がゆっくり動き出し、少年もようやくあきらめボールペンを引っ込め車から離れて行く。
あー、よかった・・・
しかし少年は車から離れる際、なにやらするどく言葉を言い放った。
いわゆる捨てゼリフというやつで、その雰囲気からしてちょっとした呪いの言葉のようにも聞こえたが、私はインドの言葉がわからないのでこんな時は大いに助かる。なにしろ呪いの言葉なんてものは、意味が分かって初めて心理的効果を表すものなのだ。

ところが、車が走り出してしばらくすると私の体に異変が起こった。
なんだか急に下っ腹が痛んで来たのである。
目的地に着いてからも腹の痛みは増すばかりで、昼時でもあったのでレストランに入り、すかさずトイレに駆け込んだ。

ひどい下痢をしていた。朝まではなんともなかったのに・・・

う~ん・・・もしかしたらこれはあの少年の呪いなのであろうか。
そしておそらく少年は私にこう言ったのであろう。

くそったれ!

と・・・

まったく人の想いというのは時として恐ろしい力をもつものなのだなあ。

ちなみに少年の呪いは二日間有効であった。

くそ・・・

インドのマフラー

簡易商店の運営は決して簡易ではないのだ:インドの露店の準備

ここはアーマダバードの旧市街、日中から夜にかけてはたくさんの露店が並び、大勢の人でごったがえす場所だが、朝はすべての露店が姿を消し、通る人もまばらである。

インドの露店台車で商売をする場合、営業終了後は商品にシートをかけ、その近く、またはその上に人が寝て番をするということもあるが、ここでは商品はすべて持ち帰り、空の台車だけその場に残していくようである。

さて、それではその空台車の後ろの壁に立てかけてあるものがなにかお分かりだろうか。

インドの露店はい、正解は商品陳列棚の骨組みで、これが正真正銘この店の「屋台骨」ということなのである。

店の構造自体はこのように極めて簡単なものなのだが、この組立、陳列、撤収という作業を毎朝毎晩やるのだから大変である。

よく「『商い』は『飽きない』でやるのが大切」などという教訓めいたダジャレ(いや、ダジャレを使った教訓か)を聞くが、こういう人たちを見ているとホントにそうだなあと思う。
彼らは雨の日も風の日も、灼熱の太陽降り注ぐ酷暑の中でも、また凍えそうな雪の日・・・はないと思うけど、とにかく毎日この地味な作業を連綿と繰り返して行くのである。
そして彼らは「屋台の商売なんてもうやだい」などと、下手なダジャレは決して言わないのである。

インドのショール

男はぐっと我慢しなくちゃならない時もあるのだ:インドのおもちゃ

インドの中長距離路線バスでは、ちょっと長く停車する時に物売りがわっとばかりにやって来る。

売り子がひっさげて来るものといえば、カットフルーツにカット野菜、ポップコーンにポン菓子風スナック、水にジュースにビール・・・はさすがにないが、とにかく食べ物や飲み物が中心である。
しかしたまに食べ物ではないものを売りに来ることもある。

ここはグジャラート州ジュナーガルのバスターミナル、出発を待つバスがたくさん並んでいる。

インドのおもちゃ私は最後部近くの席で、すでに売り子から買ったポップコーンをほおばっていたのだが、新たに乗り込んで来た売り子が持っている商品がとても気になった。
それはカラフルなプラスチックでできたおもちゃのようなのだが、このバスにはあまり子供の乗客がいなかったので、売り子は後ろの方までやって来ず、その商品をよく見ることができなかった。

う~ん、どんなおもちゃなのか実に気になる。
でもまさか大の大人でしかも外国からの紳士がそんなものを買うわけにはいかないし、買わないのにわざわざバスの最後部まで呼び寄せて見せてくれとは言えない。なにしろ彼らはバスが出てしまうまでの短い時間が勝負なのである。

そうこうするうちに売り子はバスを降りて行ってしまったが、どうやら隣に停まっていたバスで売ることに成功したらしく、幸運にもそのおもちゃを買ってもらえた子供が隣のバスの窓越しに見えたので、こっそり盗み撮りしておいた。

インドのおもちゃなるほど、傘の周囲にぐるりと人形が吊るされていて、根元にあるレバーかなにかを押すと傘が回転し、遠心力で人形たちがぶんぶん振り回されるというおもちゃなのだな。

う~ん、一度でいいからやってみたい。

しかし大の大人で外国から来た紳士としては、まさか子供に「一回やらして」などとは口が裂けても言えないのであった。

インドの伝統工芸細密画

インド銀輪部隊は今日も行く:インドのサイクルリキシャ型運搬車両

経済発展目覚ましいインドは自家用車の保有率も増え、渋滞や大気汚染の問題も深刻化しているが、まだまだ人力パワーも健在である。

今回はそんな人力パワーの中から、自転車型運搬車の活躍ぶりをご覧頂こう。

まずはプロパンガス専用の運搬車両。
インドのサイクル運搬車

そして野菜の入った麻袋を運ぶ車両。
インドのサイクルリキシャ型運搬車両

こちらは製品の入った段ボール箱を山のようにして運んでいる。
インドのサイクルリキシャ型運搬車両

これはゴミ・・・いや、ゴミかどうかは持ち主の見解によって変わるが、そのようなものを運ぶ車両。
インドのサイクルリキシャ型運搬車両

金属パイプの加工品を運ぶ車両。
インドのサイクルリキシャ型運搬車両

布が掛けられているが、おそらくソファー(抱き合わせで2脚)を運んでいる。
インドのサイクルリキシャ型運搬車両

これはソファーに比べたら軽い籐の椅子だが、運搬専用車両ではなくただの自転車である。
インドの自転車による運搬風景

こうしてインドの人力パワーは、今日もインドの物流を支えているのである。

インドの南京錠

目くそ耳くそを笑うことなかれ:インドの耳かき屋

びろうな話で恐縮だが、私たちの体から出る「くそ」と呼ばれるいくつかの物体は、おおよそ自らの力で排泄もしくは除去することができるが、こと耳くそに関してはどうしても素手では取り去ることが難しい。
耳の穴がせめて鼻の穴ほどの大きさがあり、また鼻の穴ほどの柔軟性があれば、人差し指でほじほじできそうなものなのだが、なぜに神はこのような耳の穴をお創りになられたのだろうか。

しかし素手で勝負できない場合、道具を発明するのが人間のすごいところである。そう、人間は直立歩行で両手が使えるようになった時、ついに耳かき棒を発明したのであった。

しかし実際にはこの道具を用いても、自分ではなかなか思うようにできないものである。なんか気持ち良さが中途半端だし、ちょっとでも痛いと力を緩めてしまい、なかなか大物が引っ張り出せないのである。

そこで登場したのが耳かきを生業とする人たちである。
ただし日本ではその仕事はもっぱら若いおねえさんたちが担い、ずいぶんと高いお金を取るという。これでは気軽に耳かきをお願いすることができない。

ということで、ここでようやくインドのお話しになるのである。

インドの耳かき屋インドには耳かき屋がいる。あちらの言葉で「カーン・サーフ・ワーラー」という。

彼らは赤い帽子をかぶったり鉢巻きをしたりし、そこに耳かき棒を差し込んでいるのですぐにわかる。というか、こちらが気付かなくてもあちらから声を掛けてくれるのですぐにわかる。

彼らは耳かき屋なので耳かき棒一本で勝負をしているかというとそうではなく、いろいろな油の入った薬瓶を収納した小さな箱状のカバンを持っている。

インドの耳かき屋の道具箱ほら、これがそのカバンであるのだが、なんともかわいらしく、また機能的そうではないか。なんだか小学校の時に学校で購入希望を採った、二種類の絵具箱の高い方みたいで実にうらやましい。ちなみに安い方は持って歩いていると金具が外れ、ちびた絵具がばらばらと路上にばらまかれてしまったものである、くそ!

おっと、耳くその話であった。

そんなインドの耳かきを初めて経験した。

最初耳かき屋はこちらが外国人でカモにできると思って近づいて来たようであったが、地元のインド人が一緒だったために20ルピーでやることになり、ちょっと力が抜けているようであった。

それでもさすがはプロである、なんとも気持ちが良い・・・

細い耳かき棒を巧みに操り、がさがさごそごそと耳の穴をくまなく掃除して行く。

とその時、耳の奥で「カチッ!」という音がした。どうやら耳かき棒の先っちょが、大鉱脈に行き当たったようである。
この感覚は自分でやっている時に何度も経験しているが、自分でやるとどうしても痛さと怖さでそこから先に進めないのである。

さあ、プロならどうする?この状況。

すると耳かき屋、私を座らせていたベンチに片足を乗せた。つまり態勢をぐっと前のめりにし、より耳の穴を覗き込みやすく、そして右手の棒を操りやすくしたのである。
どうやら耳かき屋、プロとしての本能が目覚めたようだな。もしかしたら先ほどの「カチッ!」という音は、耳かき屋のやる気スイッチが入った音だったのかもしれない。

格闘すること一分、あの細く暗い耳の穴の中で細い棒の角度を微妙に変え、さまざまな方向から鉱脈にアプローチした結果、ついにそれが白日の下にさらされたのである。

で、ちょっとピンボケだがこの下にその写真がある。

でもまあ特にそんなの見たくないという方もいれば、絶対見たくない!という人もいるであろうから、こうして無駄に行間を開けることで、写真をなるべく下に持って行こうとしているのである。

でももうそれも限界である・・・

それでは、その写真をご覧頂こう。

これだ!

インドの耳かき屋がかき出した大物

さすがにこんな大物を耳の穴から引きはがされたので、ちょっとその部分がひりひりするような気もしたが、しきりにその部分に小瓶の油を塗るよう勧める耳かき屋を制して、20ルピーを渡してその場を立ち去ったのであった。

完全に20ルピーの元を取ったど~!