長年の習慣はそう簡単には変えられないのだ:インドの札束

みなさまお久しぶりでございます。

二ヶ月のご無沙汰でございましたが、約一ヶ月間のインドの旅を経て本日よりインドの話題を再開させて頂きます。どうぞよろしくお願い致します。

では、さっそく・・・

インドの札束これは500ルピー札100枚の束である。
つまりこれで50000ルピーであり、1ルピーを2円(2014年11月時点のだいたいのレート)で計算すると約10万円のかたまりということになる。
う~ん、なんとも微妙な額の札束である。

インドの札束で、この札束は日本のもののように紙の帯封ではなくホチキス(ステップラー)の針で留められている。
分厚い札束を留めるのでそれは太くて大きな針であり、しかも3ヵ所に打ち込まれているのでそう簡単に取り外すことができない。

インドの札束を解体するではどうやってこれを解体するかというと、約半分(つまり約5万円)ずつに分けてしっかり握り、ぐりぐり上下にねじりながら少しずつ針を抜くのである。
針は両サイドから打ち込まれているためそれぞれの5万円束に針が残るが、そこからは地道に針から札を抜いて行き、やがてめでたく一枚ずつの500ルピー札となるのである。
なのでこんな札束をもらってしまうと、外で気軽に使うことができないので実に不便なのである。

実はこうした針留めの札束を見るのは久しぶりであった。
いや、別に私が札束になるほどの額を両替しなくなってしまったからではない。なにしろ10年くらい前は50ルピー札でも針留め札束が普通にあったのである。

しかし当時でも「本当はこんなことをしちゃいけないんだ」と言う両替屋のおやじもおり、本来は通貨であるお札に針を打ち込むなど決して許される行為ではないのであろう。
実際その後政府もしくは中央銀行からそういうお達しがあったのか、徐々に針留めされたものは見られなくなって行ったのである。

ところが今回図らずも針留め札束の生息が確認され、外すのが面倒な反面、なんとも懐かしくてちょっと嬉しかったりもしたのである。

ちなみにこうした針留めはガンディーの肖像画の側には決して行われない。まあたまに中ほどの一枚が逆さになっていて、あわれガンディーの頭部を針が打ち抜いていたりすることもあるが、さすがに建国の父であり偉大なる魂と尊称されるガンディーに針打つ人はいないようである。

ただし、顔に文字を書くのはあまり抵抗がないようではあるが・・・
インドのお札のガンディー

暑い時季には休憩が必要なのだ:インド人の昼寝

インドの町ではよく昼寝をしている人を見かける。

バニヤンの大樹の木陰で寝ているなんて姿はいかにもインドっぽくていいのだが、誰でもそういう好条件で寝られるというわけではなく、特に都市部などではぶんぶん車の行きかう大通りの、幅1mくらいしかない中央分離帯で寝たいたりするので驚いてしまう。
いくら自然の少ない都会だからといって、なにもわざわざあんなに騒々しく、空気も悪く、そしてなにより危険な場所で寝ることもなかろうにと思うのだが、まあそれも各自の好みというやつなのだろう。

で、これもインドの街角でよく見かける昼寝風景なのだが、初めて見たときには何がどうなってるのかさえすぐに理解できなかった光景である。

インド、リキシャマンの昼寝それはサイクルリキシャ(自転車タクシー)の車夫の定番昼寝風景である。

どうだろうこの姿勢。
頭こそ客を乗せる座席にあるものの、尻(腰)にサドルを当て、足はハンドルにかけているだけである。
これでは寝返りをうつどころか、ちょっとした揺らぎでさえ、バランスを崩してたちまち転げ落ちてしまうのではなかろうかと心配してしまう。
また落ちないまでも熟睡などとてもできるとは思えない。

とまあインドの町では、あちこちで昼寝をする人を見かけるので、つい「インド人は怠け者だ」なんて思ってしまいがちだが、連日40℃を軽く超す酷暑季のインドでは、昼寝くらいしないとやっていけないわけである。私も先日軽い熱中症(たぶん)になってしまったので、よーくわかるのである。
日本も暑さきびしき折、みなさんも可能な限り昼寝などして、体力を温存し無事に夏を乗り切って頂きたいと思う次第である。

ちなみに上のサイクルリキシャの車夫の写真は昨年11月に撮ったもので、デリーは大変さわやかな良い季節であったということを付け加えておく。

まあ一度身についた習慣は、季節の変化くらいではびくともしないのであろう。

礼節を知るにはまず衣食が足りていることが条件なのだ:インドの禁煙啓蒙活動

「衣食足りて礼節を知る」なんていう通り、人間まずは食べることが第一である。
なにしろ何か食べなければ死んでしまうのだから。

そして命をつなぐだけの食事が毎回きちんとできるようになると、そこで初めて味とか素材の良しあしとかが気になり始める。
同じ食べるならおいしく食べられるに越したことはないのだ。

さらにさまざまな食事から選んで食べられる状況に至ると、はたしてその食事が健康に良いものなのかどうかが気になり始める。
せっかく命を維持するために食べているのだから、できるだけ体に良いものを選んで食べ、健康に長生きしたいと思うのは当然である。

ということで、日本も戦後の食うや食わずの状態から見事に脱出し、脱脂粉乳やクジラの竜田揚げを経てついには飽食の時代となり、究極のグルメブームが到来し、まいう~となり、宝石ばっこっやぁ~と並行し、黒酢ニンニクすっぽん卵黄軟骨セサミンコンドロイチンアントシアニン僕イケメンなどがもてはやされている。ご紹介漏れはございませんでしょうか。

で、ここでようやくインドの話になるのだけれど、経済発展著しいインドでも、最近では健康に対する意識が高まっているようなのである。

前回(2013年11月)インドに行ったとき、宿のテレビで洋画を見ていると、時折画面になにやら字幕が出る。
なんだろうと思いつつも、小さなブラウン管テレビを少し離れたベッドの上から眺めているだけなのでなんだかよくわからなかった。

しかししばらく(正確には何日か)見ていると、字幕が出る法則がわかってきた。
どうやらその字幕は、映画の出演者がタバコを吸おうとすると出るようなのだ。
そこで画面に近づいて字幕をよく見てみると、はたしてそれは「喫煙は健康に悪い」という意味の言葉なのであった。
それにしてもその字幕を出すタイミングというのが、まるで先輩がタバコを取り出すと間髪入れずにライターで火をつける後輩のようなのだ。まるで花の応援団みたいなのである。
インド版花の応援団は、俳優がポケットからタバコを取り出し、口にくわえる瞬間を狙って、「オッス!失礼します!」とばかりに字幕を出す。そして吸い終わると字幕をひっこめ、また吸うと出す。
実にせわしないというかけなげというか・・・これじゃインドでは刑事コロンボなど落ち着いて見られたもんじゃないだろうなあ。

インドの安タバコさて、詳しい数字は知らないが、おそらくインドは日本より喫煙者率が高いのではないかと思う。少なくともまだまだタバコは、庶民が気軽に楽しめる大切な嗜好品であることに間違いない。

そんな愛煙家の底辺を支えているのが「ビディ」という安タバコである。
こいつは葉っぱを刻まず、ただくるくるっと巻いただけのもので、パッケージも安っぽい包装紙で包んだだけである。

インドの安タバコのパッケージそんな安タバコの安っぽい包装紙にも、ついにタバコによる健康被害をわかりやすく伝える広告(?)が入るようになった。
しかもそれはタバコによって害されたと思しき肺のカラー写真と、「SMOKING KILLS」という恐ろしい文言である。
う~ん・・・なんだか上のクジャクの羽まで、害されているように思えてしまう。

ということで、インドの庶民もこれからはタバコを覚悟して吸うようになるのであろうが、はたしてその前に充分な食事が取れているかどうか気になるところである。

なにしろ礼節だけでなく、健康も衣食足りて初めて知るものなのだから。

郷に入っては剛にしとかなきゃね:インドの乗り物

前回はインドの生活様式に合わせた電気オーブンの話をしたが、今回は乗り物である。

ちょっと前まで「インド」を紹介する映像に、必ずと言っていいほど登場したのが、一台のバイクに家族全員で乗っているシーンである。
最近はインドに対する報道の質も量も向上したので、あまりそういう「いかにも」的なものが減ったように感じるが、当のインドではギネスに挑戦的家族総出の曲乗りはいまだ健在である。

インド、バイクの5人乗りで、私も昔はそういう光景を、ただ「すごいなあ」と見ていただけだったが、よく考えてみたら、こういう乗り方が日常茶飯事である国でバイクを売るには、それなりの強度を考慮した設計でなければならないのだろうと気が付いた。

たとえばフレームは強靭なものが要求される。それから車輪も簡単にはゆがまない強度が必要である。さらに本来人が乗ることを想定していない燃料タンクも、簡単に凹まないような強度が必要となって来よう。

インド、児童を満載したスクールトラックこうしたことはなにもバイクに限ったことではなく、インドで走るあらゆる乗り物に言えることである。なにしろインド人はおよそ人が立てる隙間があれば、楽々乗車してしまうのである。

なのでインドで乗用車両、いや貨物車両でも人が乗ること間違いなしなので、とにかく車両関係の販売をするときは、最低でも常識的乗車定員の5倍くらいを想定して設計するか、さもなければ所定の乗車位置以外のところにオイルを塗って、滑って乗れないようにするしかないであろう。

とにかく異国向けにものづくりをする方々の、たゆまぬ努力に頭が下がる思いである。

同じ下手なら絵の方が通じる:インドの絵サイン

インドの識字率は約74%(2011年の国勢調査)とのことである。
そこに私が加わると数字は悪化する。

ということで、私もインドに行くと文盲の仲間入り(日本でも難しい漢字は読めないが)なのだが、そういう人のためにか、または単にわかりやすくするためか、案内板に絵が添えられている、または絵だけで構成されているということがよくある。

これは前にも一度紹介したが、アーマダバードのガンディー・アシュラム内の壁に描かれた絵で、アシュラム内で生活する子供たちへの、衛生に関する啓蒙看板である。これなら現地語が読めない私でもよくわかる。
インド、絵サイン左から
「歯を磨こう」
「手を洗おう」
「顔を洗おう」
「わき毛を剃ろう」
である。
いや、これは子供相手の看板だからわき毛はないな。
じゃあ
「体を洗おう」
かな。
インド、絵サイン
それではこれは何だかわかるだろうか。

なかなかピカソ的な絵であるが、まあ男の人の顔であることはわかるのではないだろうか。
インド、絵サインはい、答えは男子トイレのサインなのである。

このようにあまり上手とは言えず、それどころか笑ってしまうような稚拙な絵であっても、まったく読めない記号よりは格段に役に立つということなのである。

ちなみにこの右側には女子トイレもあり、その入り口には男子トイレと同じ筆致の「女子の絵」が描かれていたが、そんなものを写真に撮っていると変態と思われ袋叩きにされること間違いなしだったので写せなかった。

場所はグジャラート州ブジの駅の公衆トイレなので、女性の方でそこに行かれる方がいたらぜひ写真に収めて頂きたいと、この場を借りてお願いする次第である。