頼もしき動く水瓶:インドの給水車

日本では災害時か極端な水不足の時くらいにしかお世話にならない給水車だが、インドでは慢性的な水不足に悩む地域も多く、またインフラ整備がなかなか追いついていかないということもあり、大きなタンクを装備した(または牽引した)給水車をよく見かける。

これはディウで見かけた給水車なのだが、何でもすぐに古ぼけさせてしまうインド特有の高速経年変化現象の影響か、はたまた実際に年季が入っているのか、かなりくたびれた外観をしている。

インドの給水タンク車

インドでは普段から給水車が大活躍しているので、この車体もかなり酷使されて来たのだろう。

こう外側が埃にまみれていると、タンクの中の水まで濁っていそうに思ってしまうが、たとえ水が多少濁っていたとしても、この走る水瓶はインドではとても重要な存在であり、万が一故障して使えなくなってしまっては一大事なのだ。

ということで、ぼろっちい給水車のすぐ隣にほとんど新車と思えるきれいなのが停まっていた。次の世代を担う戦力というわけである。

インドの給水車

まだ真新しい給水車は見るからに頼もしく、今後の活躍が期待できる。

新しい車も基本的には古いものと同じタイプのようなのだが、車体の色が違うからか、その顔つきもなんとなく頼もしそうに見える。
また当然タンクも新しいので、中に満たされた水も澄んでいそうな気がする。

でも本当はタンクの水が澄んでいるかなんてことより、いつでも水道から水が飲め、給水車など見ずに済むのがいいのである。

ブロックプリントの版木

快適な空の旅・日本航空デリー便

昨年(2016年)秋の渡印の際は日本航空を利用した。

以前はエア・インディアをよく利用していたが、それはただ単に「安い」というだけの理由であり、別にエア・インディアのファンだったわけではない。本当は毎回日本航空(以下JALと記す)に乗りたいのである。

それが今ではJALでも安いチケットを出すようになったので、最安日を選んで早めに予約した。
料金は税やらなんやらすべて含めて8万4百円であった。しかもJALのサイトから座席の指定もできるので、私は中央(4人分が並んでるところね)の通路側を押さえておいた。

さて出発当日、成田空港のJALカウンターに行くと、職員の対応が何やらおかしい。穏やかな笑顔と丁寧な口調で申し分のない接客態度なのだが、私のチケットを見るや、こそこそとどこぞへ連絡をするのである。
こちらとしては特にやましいところは何もないのだが、今日の乗客の中でおそらく一番お金を払っていないシケた客だということが少々気がかりではある。何か無理難題を押し付けられるのかもしれない。

日本航空のデリー便

やはり日本人には日本の航空会社が肌に合うのだ。

やがて連絡を終えた職員は私に向き直り、「実は本日のフライトは団体のお客様で大変込み合っておりまして・・・」と言うのである。

ほ~ら来た、私はどうすりゃいいのだ。補助席か?それとも立ってつり革か?

しかし天下のJALはそんなことは言わなかった。

「できればプレミアム・エコノミーのお席にお移り頂けないでしょうか」と来たもんだ。

ただ悲しいかな、私はそういう席が世の中にあるということを知らなかった。なので一瞬何を言われているのか意味がわからなかったのである。

しかし天下のJALのきれいなおねえさんが、微笑みをたたえながら丁寧な口調でそう申すのである。おそらくそれは私に不利になることではあるまい。これがエア・インディアの不愛想な太ったおばちゃんに言われたら、即座に大声で「ノー!ノー!」と叫び、なんとしても自分の指定した席に座らせろと全力で主張したことであろう。

やはり私の感は当たっていた。プレミアム・エコノミーという席は、エコノミーよりグレードが上だった。
私は急に自分がお金持ちになったような気分になり、意気揚々と飛行機に乗り込んだ。乗り込むときも、フライトアテンダントの人にプレミアム・エコノミーの搭乗券を自慢げに提示した。

さすがにプレミアム・エコノミーである。シートは通常のものより幅があり、前の座席との間隔も広く、あまつさえフットレストなんてものまでついている。

日本航空のプレミアム・エコノミーの席

なんだか天下を取ったような気分である。

お飲み物のサービスではシャンパンをもらった。なにしろプレミアム・エコノミーだもんな。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーのドリンクサービス

飛行機はまだ広島の上空だが、誠に快適な空の旅となりそうである。

機内食もいつもより上等のようである。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーの機内食

私は機内食があまり好きではないので、内容の良し悪しはあまりよくわからない。でもトレイに余裕があるところがエコノミーと違うというのはわかる。

モニター画面も大きいので、いつもはロクに見ない機内上映の映画も見た。「君の名は」だったが、見て泣いてしまった。

デリー到着前の軽食も、なにやら上等そうなものが出た。

日本航空デリー便、プレミアム・エコノミーの機内食

プレミアム・エコノミーではこれ以外にもカップ麺のサービスなどもあるらしい。後から知ったので利用できなかったのが残念だった。

私はあまり飛行機が好きではなく、特に往きのデリー便は昼間飛んでいくので寝ることもできず、毎回その長い時間を苦痛に感じているのだが、今回初めて苦痛を味わうことなく快適に過ごせた。

ああ、世の中にはこんなすばらしい世界があったのだなあ。

この体験に味を占めた私は、次回からは少しお金を足してでもプレミアム・エコノミーにしようかなと思い、さっそくJALのサイトで料金を確認したら、あ~ら、ずいぶんお高いのねえ。やだわ、お金を少し足せば済むどころか、三回くらい往復できる金額じゃないのよぉ。

かくなる上は帰国便も団体客で込み合っていただき、「誠に申し訳ないのですが、プレミアム・エコノミーのお席に・・・」となることを願うしかない。

帰国時、デリー空港のチェックインは何事もなくスムーズに行われた。
そして私は、プレミアム・エコノミーより小さなモニターで「君の名は」をもう一度見た。

席は狭く、画面は小さかったが、涙がとめどなく流れるのは同じであった。

インドのマフラー

オートリキシャはみんなのもの・オートリキシャの乗合利用

オートリキシャは小さな三輪タクシーなので、日本人的感覚での乗客定員は二人、まあちょっと無理して三人といったところである。
*少し大きめボディのオートリキシャもあります。

しかしこと乗り物の席に関しては、大いに譲り合いの精神を発揮するインドの人たちは、オートリキシャにもたくさん乗ってしまう。バスの便の悪い町などでは、通勤通学時間帯には小さなオートリキシャが乗合タクシー、いや、乗り込む人数的に言えば乗合バスとして使われる。

で、これは私がアーマダバードで乗った、乗合利用のオートリキシャである。
まあ「乗合」といっても私以外の人たちは家族のようであったが。

オートリキシャは貸切だけでなく乗合にもなるのだ。

小さいながらも楽しいリキシャ。

とにかくこのオートリキシャは、道端でなかなかバスに乗れずに困っていた私を乗せてくれた。しかもこの写真では後部座席に座っているお父さんは、わざわざドライバーの横の小さな席に移動し、私を後部座席に座らせてくれたのであった。まあ私としては気兼ねして後部座席に座るより、ドライバーの横で半分身を乗り出し、日本人の勇敢ぶりをぜひ見てもらいたかったのだが、せっかくのご厚意なのでおとなしくお受けさせていただいた。
ちなみにバスで7ルピーほどの距離で、私の支払い分は10ルピー(約16円)で済んでしまった。ありがたや、ありがたや。

このようにインド人は、小さなオートリキシャでもギネスに挑戦!みたいな感じで、みんなで仲良く乗ってしまう。
まあ安全面からしたらいろいろ問題もあるとは思うが、あらゆるものを受け入れるインドの縮図のようで、私はいつもほほ笑ましく眺めているのである。

インドの列車の設備・非常口

ちょっと前までインドの列車には非常口というものが無かった。

もっともインドでは長距離列車にせよ近郊通勤電車にせよ、常にドアが開け放たれたままのことが多いので、なにもわざわざ非常口まで作らなくてもいいのではないか、それより高速で走っているときくらい、ドアが開かないようにする方が先決じゃないのとも思ったりする。

しかしインドの列車のもうひとつの特徴として、基本的に窓が閉鎖的であるということがある。
もちろん暑いインドなのだから、エアコンのない一般車両(という言い方が適切かどうかわかんないけど、とにかく安い席のことね)の窓は大きく開くし風もびゅんびゅん入って来る。
しかしどの窓にも鉄格子ががっちり取り付けられていて、少なくとも人の出入りができない。
さらにエアコン付きの車両となると、窓ガラスはすべてはめ殺しでしかもご丁寧に内側にもう一枚ガラスがはめられ、人のみならずアリンコでさえ出入りができないのである。

インドの列車

インドの列車の窓にはガッチリ鉄格子がはめられている。

これが何事もなく運行されているときならもちろんなんら問題はない。先述のように列車のドアはいつでも開けられ、走行中に飛び降りることさえ可能なのだ。

しかし一朝有事の際にはやはり非常口は必要である。

じゃあ一朝有事とはどんな事態が考えられるのかと言えば・・・これは実に悲惨な出来事であったのだが、かつて列車が焼き討ちに遭い、逃げ遅れた乗客がたくさん亡くなったという事件があった。なにしろ出口は長い車両の両端にしかなく、窓には鉄格子がガッチリはめられているのだから・・・
それ以外にも脱線や転覆事故の時など、少しでも早く多くの人が脱出できる非常口は必須であろう。

おそらくそんな事件事故の教訓からだろう、ここ何年かでインドの列車にも非常口となる窓が設置(というか改良)された。

これはエアコン車の窓であるが、車両のほぼ中央の窓は有事の際に開けられるようになった。窓枠もそれが一目でわかるように赤く塗られている。

インドの寝台列車の窓

相変わらずガラスははめ殺しだが、内側に開くよう改造された。

そしてこちらはエアコンのない車両のものである。
こちらも車両の中央辺りの窓(例外もある)の鉄格子が撤去されている。代わりに内側に梯子状のものが取り付けられているが、これはもちろん有事の際には外されるのである。

インドの列車の非常口

今更ながら長い車両の窓すべてが鉄格子入りだったということが恐ろしく思われる。

とまあ列車の非常口設置などから、インドもだんだん生活の安全基準が上がって来ているのだなあと実感できるのである。

インド先住民族の工芸品ドクラ

インドの列車の設備・モバイル用電源供給コンセント

今やインドの列車にもモバイル用の電源供給コンセントがある。

これはエアコン付二等車(A/C 2nd)のものである。

インドの列車のコンセント

このコンセントは私のベッド(上段)の枕元にあった。みんなで使うものなので、夜中に知らないおっさんが枕元辺りでガサゴソすることもあるが驚いてはいけないのだ。

でもまあエアコン付二等車は上級クラスであるので、スマホやタブレットの普及率からしてもこれくらいのサービスは特に驚くことではない。

しかしそれがスリーパークラス(寝台車としては一番下のクラス)にもあるとなると話は違う。おお、インドもついにここまで来たかと思わずにはいられない。

インドの列車のモバイル用コンセント

乗客共有のコンセントというのは同じだが、列車の等級によって乗客数が違うので競争率も断然違って来るのである。

なお上級クラスの車両でも乗客一人に対してひとつのコンセントが用意されているわけではないので、基本的には早い者勝ち、もしくは強いもの勝ち、または民主的話し合いによる譲り合い(まあやっぱこれが一番ですな)が必要となるのである。

ブロックプリントの版木

南インドの休日:その20 / バックウォーターでのハウスボート滞在(後編)

ハウスボートは係留されてしまうともうただの家である。
しかも両サイドにぴったり他のハウスボートが停泊しているため景色も見えず、こうなるとあとは酒を飲むくらいしかない。

スタッフの方ももう船を操縦することもないので、どんどん食事の用意をしてくれる。

で、夜のメニューはというと、またもや各種和え物とサンバル、チャパティとスチームドライス。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそしてメインディッシュはカレーソースをからめたチキンである。
これでザッツ・オール!なのだ。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートためしにお皿に盛りつけてみるとこんな感じである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート昼間連れて行かれた店で素直にエビを買っておけば、この空白をエビが満たしてくれたのであろう。

でもまあ今さらそんなことを言っても仕方ない。
まあ私にはビールがあるし、それからワインもあるので食事などどうでもいいのだ。
ちなみにこのワインはインドを代表するスーラワインである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートチキンを肴にビールを飲み、さらにワインを飲んでしばらくまったりしていたが、あまり長居をしているとスタッフたちが片づけられないので、残ったワインを持って寝室に引っ込むことにした。

しかしせっかく大きな窓のある寝室だが、いかんせん目の前に隣のハウスボートがあるのでカーテンを閉めるしかない。せっかくの水上生活なのになんとも味気ないのだ。

11月のアレッピの夜は決して涼しくはなく、寝る時にはエアコンが必要なくらいであるが、さすがに水のシャワーはつらい。そこで私はタオルを濡らして体を拭くに留めた。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート朝は明るくなると同時にあちこちからエンジンの音がし始めた。

寝室を出てみると、早くも隣のハウスボートはどこかへ行った後だった。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートさらにもうひとつ先のボートも出て行き、一気に視界が開けた。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート次いで反対側のボートも出て行った。なんだかみんなやけにお早いお発ちなのだ。

それにしても昨夜こんな景色を見ながら夕食がとれたらなあ。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートボートがいなくなって空いたスペースでは、目の前の家のおっさんが朝の行水を始めた。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート朝食はフレッシュジュースから始まる。
これはミックスジュースだが、材料はテーブルに置いてあったウェルカムフルーツであった。
昨日少し食べてしまったが、もし全部食べていたら朝のジュースはなかったのだろうか。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート朝食のメインはマサラドーサにプレーンオムレツである。
食事はごくあっさりした内容だが、ようやく開けた視界が味をぐっと引き立ててくれる。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート朝食を終えるともう8時過ぎ、そろそろこのボートも出発なのだ。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートしばらくは水郷地帯の朝の風景などをのんびり眺め、残り少ないクルーズを楽しんでいたが、南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートだんだん周囲にハウスボートが増えて来た。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそしてついにハウスボートの大集団となった。

まあ出る時もあれだけのボートがいたわけだし、ましてや帰りは同じくらいのチェックアウト時間を目指してボートを走らせるので、こうなるのは当然であろう。

それにしてもまるで放牧場から畜舎に帰る牛の群れのようである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートわがハウスボートが元の係留場所に戻ったのは、チェックアウト時間の9時ちょうどであった。さすがである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートボートを降り、一日お世話になったスタッフの二人に笑顔でお礼を言った。
しかしなぜかスタッフには笑顔がない。それどころか右側のスタッフはちょっと怒っているようである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートすると迎えに来てくれていたエージェントのおっさんが「スタッフにチップを渡したか?」と聞いて来た。

なるほど、そうだったか・・・

インドではこういう判断が難しいのである。基本的にはインドにはチップの習慣はないと解説しているガイドブックもあるし、実際そうなのだと思う。
しかし今回のようにチップがいるケースがあるのも事実である。

エージェントのおっさんにチップの相場を聞くと、それぞれ100ルピーずつあげてくれとのことだった。

スタッフのところに戻り、すまんすまん、すっかり渡すのを忘れていたと言いながら、あらためて二人にチップを手渡したが、彼らの表情は険しさこそ消えたものの、ついに笑顔は戻らなかった。
でもそんなところが南インドの人たちのすれていないところなのだろう。お金をもらったからといってすぐに態度を変えたりするのは恥ずかしいよな、とか思っているのだと思うのである。

とまあ、以上がアレッピのハウスボート一泊二日滞在記となるのだが、最後にもう一度注意点を挙げておくので、これからアレッピに行こうとしている人はぜひ参考にして、快適な滞在をされんことを切に祈る次第なのである。

【ハウスボート滞在における注意点】

 1、酒は早めに用意する。
 2、できればエビは買っておこう。
 3、チップを忘れずに!

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木彫りのガネーシャ

南インドの休日:その19 / バックウォーターでのハウスボート滞在(中編)

昼食終了後はふたたびクルーズが始まる。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートバックウォーターと呼ばれるアレッピ周辺の水郷地帯は、主に水田として活用されていて、運河とは椰子の木の茂る畔で仕切られているが、低い船からでも時折田んぼが見えたりする。
稲が刈り取られた後なのか、それとも田植えの直前なのか、土があらわになった田んぼには、餌を求めておびただしい数の水鳥たちが集まって来る。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートまた運河沿いは生活の場でもあり、人々は広い畔というか中州というか、とにかく水に囲まれた土地に家を建てて住んでいる。
水路が道路より発達したこの地では、さしあたりこの家などは大通りに面した一等地に建っていると言えるのかもしれない。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートわがハウスボートはそんな大通り的水路を進んでいるのだが、それだけに行き交うハウスボートも多く、ひんぱんにすれ違う。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート先にも述べたようにハウスボートにもいろいろな大きさのものがある。
今すれ違おうとしているこれなどは二階建ての大きなものである。きっと家族や仲間の大グループで借り切っているのだろう。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートいずれにせよハウスボートに乗ってるのは休暇を楽しむ人たちばかりなので、みんな一様にウキウキしていてテンションが高い。酒も入っているのかもしれないが、若者のグループなどはすれ違う時に大げさな身振りで呼びかけて来たりするので、こちらも負けずに元気よくあいさつをすることになる。
もっともこちらもほろ酔い気分なので悪い気はしないのである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそんな風にのんびりと田園風景や水鳥、そして行き交うハウスボートの人たちを眺めながら船に揺られていると、意外なほど早く時が過ぎて行き、早くも陽がヤシの葉影に隠れるほどの時間になってしまった。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートハウスボートは夜になると停泊し、翌朝まで動かない。
それは事前に知っていたが、はたしてどのような眺めの場所に係留するのだろう、あまり人気のなさすぎる場所でもさみしくて嫌だなあ、と思っていたら、船を着けた場所はなんと民家の庭先だった。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートしかも同じ場所に後から後からハウスボートがやって来る。
ほら、右側はこんな感じである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそして左側のこんな近い場所にもハウスボートがいる。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートこれならまあ決してさみしい思いはしなくて済むが、わざわざ船に泊まるという観点からしたらどうなのよ?
せめて舳先を岸とは反対側にして泊めてくれれば、広々とした運河が見えていいのになと思うのだが・・・

あまりの予想外の展開にしばし唖然としていると、ハウスボートのスタッフに加え、前の家から出て来たおっさんも手伝ってどんどん係留作業は進んで行く。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート最後に前の家からひかれて来ている電線に船からのプラグを差した。
なるほど、夜間電力は船に搭載した自家発電機ではなく陸地からもらうというわけか。
確かに夜中中発電機を回してたらうるさくて仕方ないわなあ。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそんなわけで夜は寝室のエアコンも使えるということになって、誠にありがたいことではあるのだが、てっきり椰子の林に囲まれた静かな水辺での滞在になるのかと思っていたら、こんな向こう三軒両隣、とんとんとんからりんと隣組みたいな感じになってしまい、あららあ、なのであった。

でもなんだかこのシチュエーション、昔あこがれたアニマル1(ワン)の世界みたいでちょっといいかもしれない。

注:「アニマル1」と言っても動物が出て来るジャングルの話ではなく、オリンピックを目指すレスリング選手の漫画である。 主人公の東一郎の大家族が船で暮らしているのだが、子供のころそれがうらやましかったのである。

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木彫りのガネーシャ

南インドの休日:その18 / バックウォーターでのハウスボート滞在(前編)

ハウスボートの滞在は、どこもおおよそ正午から翌日の午前9時までとなっているようである。

私は11時に来るようにと言われたが、まず待ち合わせ場所のお土産屋に立ち寄り、さらにビールの買い出しなどがあったため、結局乗船は11時50分頃となった。

ハウスボート乗り場(というか係留場かな)には想像以上の数のハウスボートが並んでいた。
そんな中の一艘に案内され、舳先から板を渡しただけのあぶなっかしい仮設桟橋で乗り込む。
ちなみに黒シャツのおっさんが、今回のハウスボートを手配してくれた業者である。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートウエルカムドリンク(もちろんソフトドリンク)のサービスを受け、いよいよ出航である。

両サイドのハウスボートにぶつからないように注意しながら、船はゆっくり後退して行く。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートとにかくどのハウスボートも同じようなスケジュールを組んでいるため、水路に出てもおびただしい数のハウスボートがいる。まるで出勤ラッシュである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート水郷の風景を楽しみながらのゆったりした船旅を想像していたのに、いきなりボートレースのような様相を呈して来た。
船は少しでも遅い船をどんどん追い抜いて行く。
たいして広い水路ではないので、おそらく取り決めでこの水路は一方通行になっているのであろう。その点ではインドのバスが公道で繰り広げるチキンレースよりはるかにマシである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート船は20分ほど走ると大きな湖に出た。
さすがにここでは先ほどのようなハウスボートの密集は解けたが、湖のそこかしこに船が浮かぶ光景は、さながらいにしえの合戦風景のようにも思える。

とにかくまあ、これでようやくゆったりした船旅が始まりそうである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートと思ってくつろいでいたら、5分もしないうちに船は岸に向かって進んで行き、お店らしき建物の前に接岸してしまった。

船のスタッフが言うには、この店にはいろいろな食材が置いてあるから、もしよかったら夕食用に買って行くといいとのことなのである。

私としてはハウスボート滞在中は、乗ったら最後翌日の下船までそのまま乗ったきりで、ビールを飲みながら過ぎ行く景色をぼんやり眺め、ただただ怠惰にうだうだしていようと思ったので実に余計なおせっかいなのである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートでもまあ一応いい大人なので、やだ、絶対下りない、などとは言えず、とりあえず下船して店の人の差し出すバケツの中のエビなど眺めたが、エビ一尾がなんと1500ルピー(約3000円)もするというのでとても買う気にはなれなかった。なにしろそれじゃ仕入れた酒代より高いじゃないの。

しかしそこは日本人気質というか、なにも買わないのもなんだかなあ・・・ということで、ガラスケースの中に並んでいたポテトチップス(40ルピー/約80円)とピーナッツ(20ルピー/約40円)を買った。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートポテトチップスは買う前から、これはどうなのかなあと危惧してはいたが、ビニール袋の内側は油がベトベトであり、チップス自体もちょっとしけった感じであった。

でも思えば子供のころに食べたポテトチップスもこんな感じだったなあと、少しなつかしみながら口にしてみたが、やっぱりおいしくなく、すぐに食べるのをやめてしまった。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートおそらくあの店で買い物をすると、そのうちのいくらかが客を連れて来たハウスボートスタッフの懐に入るのだろう。ポテトチップスと豆しか買わない私を見るスタッフたちの視線が、少し険しいように感じられた。

そんなケチな客を乗せて再び走り出した船だったが、またまたすぐに岸に着けられ、今度はロープでしっかりと係留されてしまった。
どうやらここで船を泊めて昼食の準備をするらしい。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート昼食のメニューは、サンバル、インゲンの和え物、パイナップルの和え物、キャベツの和え物とスチームドライスにフライドパッパル。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートさらにメインディッシュとして、カレー味の魚のフライといったラインナップである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートそしてこれ、苦労して手に入れたビールである。

ということで、まずは乾杯なのだ!南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート

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動物の鈴・アニマルベル

南インドの休日:その17 / ハウスボートの紹介

今夜のアルコールも無事手に入れて、これからいよいよハウスボートに乗り込むわけだが、まずその前に今回乗るハウスボートを紹介しておこう。

今回のハウスボートは寝室がひとつだけという、基本的に二名用のものである。おそらくこれが宿泊できるハウスボートの中では一番小さいタイプであろう。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート船の最前部は操縦席になっていて、特徴的な船の操舵輪がこれから始まる航海(行くのは海じゃなくて運河だけど)への期待感をいやがうえにも盛り上げてくれる。

そんな操縦席のすぐ後ろには乗客用のシートも用意されているので、まるで自分が船長になったような気分にもなれる。

おもかじいっぱぁ~い! のりたまでさんばぁ~い!南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートでもなにも操縦席にかぶりつきで前方を凝視しなくても・・・と言う人は、そのすぐ後ろに応接セットが用意されているので、ゆったり椅子に座って流れ行く景色を眺めよう。
ってか、そういう人の方が絶対多いであろう。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート応接セットの後ろには食事用のテーブルも用意されている。
また壁にはテレビも掛かっている。
ただし今回の滞在では一度も点けることがなかったので、ちゃんと映るかどうかはわからない。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート後方に向かって左側が通路になっている。
そしてこの右側が寝室となる。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート船の中なので寝室は決して広くはないが、他にあれだけ居住空間があり、ここは寝るだけなのでこれで充分である。

ベッドの上には鳥の形に折ったタオルが置いてあり、おもてなしの気持ちが伝わって来てうれしい。

尚、この寝室にはエアコンも付いているが、実はエアコンは夜しか使えない。その理由はまた後程ご説明しよう。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート通路とは反対側(進行方向左側)には大きな窓がある。
なのでベッドに寝っころがって景色を楽しむことも可能だが、先ほども言った通り昼間はエアコンが使えないので、汗みどろになりながらの寝たきり遊覧となることであろう。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートバスルームにはちゃんとシャワーもある。
ただしお湯は出ないとのことだったので使わなかった。

トイレは水洗式であった。
でも汚水の行方は知らない。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボート寝室の後ろはもうこの船の最後尾である。
ここは調理室となっていて、スタッフが食事やおやつを作って出してくれる。

ちなみにスタッフは船の操舵から食事の調理や配膳などなんでもこなす。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートこの船の場合二名のスタッフが乗り込んでいる。
もう一人はこのFM放送のTシャツのおにいちゃんである。南インド、ケララ州、アレッピーのハウスボートといったところが、今回滞在したハウスボートの全貌であるが、もちろん参加人数や予算によって船の大きさや設備は変わるので、あくまでも一参考例ということでご了承頂きたい。

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南インドの休日:その14 / マッタンチェリーのオートリキシャ

驚いたことにマッタンチェリーからフォート・コーチンに行くバスがなかった。
ちょうどいい出発時刻のバスがないということではなく、路線自体がないようなのである。

フォート・コーチンとマッタンチェリーはこの辺りの二大観光地(まあ規模は小さいけど)であり、しかも隣り合った地区でもあり、さらにフォート・コーチンにはバスターミナルがあって頻繁にバスが発着しているので、まさかその両者を結ぶ路線がないとは思いもしなかった。

フェリー乗り場のすぐ前にはバス専用らしき駐車スペースも設けてあるので、てっきりそこから路線バスが出ているものと思っていたのだが、どうやらそれは観光バス用の駐車場だったらしい。
近くにいたおっさんに聞いてみたら、ここからフォート・コーチンへ行くバスはないのでオートリキシャで行けと言われてしまった。

まあフェリーで行くことも不可能ではないのだが、フェリーは一方通行(航行?)の路線となっていて、マッタンチェリーからフォート・コーチンに行くには、一旦対岸のエルナクラムに渡ってさらに乗り換えなければならないので時間がかかる。なにしろ来るときにも一時間もかけているので、もうこれ以上はいやである。

と、前置きがずいぶん長くなったが、とにかく木陰で休んでいたオートリキシャに乗ることにした。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャオートリキシャはTVSモーターズ社のキング( King )という車種である。
二灯式のヘッドライトがウルトラセブンのようでかっこいい。ジュワッ!南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャここからフォート・コーチンのチャイニーズ・フィッシングネットまでは、海に沿った道を通って3Km足らずである。
しかしとにかく道が狭い。なるほど路線バスが走っていないわけである。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャしかもこの通り沿いには商店や倉庫が多く、そこへ荷物を運んで来た(またはそこから積んで行く)大型トラックがたくさん停まっているので混雑に輪をかけている。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャこれは前回(2010年)にこの辺りを歩いた時の写真であるが、ご覧のように道は大型トラックがやっとすれ違えるほどしかなく、駐車中のトラックの脇を通り過ぎるには、誘導してもらいながらゆっくり進むしかないのである。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャさて、話をオートリキシャに戻すが、オートリキシャの運転というのはバイクと同じようにほとんどが手で行う。
ハンドルの右側のグリップはアクセルになっていて、手前にひねるとエンジンの回転が上がる。
そして左側のグリップはギアチェンジ用になっていて、クラッチレバーを握りながら向こう側に回して行くとロー、セカンド、サードとギアが上がっていく仕組みである。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャところがこのオートリキシャのクラッチレバーは非常に硬いらしく、ドライバーのおっさんはギアチェンジの度に両手でレバーを握り、よっこらしょとグリップを回さなければならないのであった。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャもちろんギアチェンジであるから走っている最中である。
片手運転ならまだしも、両手で片方のグリップを持って運転するというのはなかなか難しいものである。嘘だと思ったら自転車でやってみればわかる。私は小学生の時に、変わった自転車の運転方法を開発しようといろいろ試したので知っているのである。

とまあ、狭い道でしかも駐車車両や対向車を避けながら両手でギアチェンジするという離れ業を繰り返し、オートリキシャは無事にフォート・コーチンに到着した。

これで50ルピー(約100円)という料金は、私には決して高いようには思えなかった。南インド、ケララ州、マッタンチェリーのオートリキシャ

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インド先住民族の工芸品ドクラ