オートリキシャの遺伝子を感じる車・TATA Magic Iris

デリーにはこんなかわいいタクシーが走っている。

インドのミニタクシー、TATA Magic Iris

なかなか愛嬌のあるかわいいフォルムなのだ。

これはタタモータース(Tata Motors)のマジック・アイリス(Magic Iris)という車である。

インド版軽自動車、TATA Magic Iris

これはインド版軽自動車といったところなのだ。

総排気量は611cc、全長2,960mm、全幅1,512mm、定員4名(メーカーサイトには「ドライバー+4名乗車」の記述もあるが、インドなので乗れるだけ乗るので「定員」はあってないようなもの)ということで、日本の軽自動車の最大規格である全長3,400㎜より短く、全幅1,480㎜よりちょっと広く、よって全体的にずんぐりした印象を受けるが、そこがまた愛嬌があっていい感じである。

そして一番私が気に入ったのが、後部(タクシー仕様の場合は客席)の窓が巻き上げ式の幌というところである。

インドのミニタクシー、TATA Magic Iris

この時代にこの方式というのが実に良い。

このゆるい解放感はオートリキシャから受け継いだDNAだろうか。メーカーサイトにもわざわざ「三輪より大きな収容力(capacity than 3-wheelers)」という売り込み文句が掲げられているところを見ると、やはりこの車はオート三輪ユーザーを意識した位置づけで開発されたものなのだろう。

はたしてマジック・アイリスはオート三輪に取って代われるだろうか。
それともその前に電動自動車の時代が来てしまうのだろうか。

ブロックプリントの版木

異邦人が思う白い朝:デリーの環境対策

まだ私が若かりし頃、「異邦人」という歌がずいぶん流行った。
あの異国情緒あふれるメロディーと詩に、まだ見ぬ世界(特に中東あたり)に想いを馳せたものである。

その歌の中に「私を置きざりに過ぎてゆく白い朝」という歌詞が出て来るのだが、そもそもあの歌のタイトルは「白い朝」というものだったそうである。

異国で迎える白い朝。なんてロマンティックなんだろう。
こんな感じだろうか・・・

デリーの大気汚染

白く煙るデリーの街 / 2017年11月8日のニュースサイトより

急激に発展を続けるインドでは、深刻な大気汚染(それだけじゃないが)が進んでいる。上の画像はそんな大気汚染で煙るデリーの街である。ぜんぜんロマンティックなんかじゃないのだ。

そのニュースはたびたび日本でも報道されるが、ついにデリー市内の全小学校が、大気汚染による臨時休校という事態にまでなった(2017年11月7日)。なんでもWHOの定める安全基準の30倍近くにも達する大気汚染だというから、まさに異常事態である。

もちろんインド政府もただ手をこまねいているだけではなく、ずいぶん前から環境汚染対策は行ってはいる。

その第一弾とも言うのが、2001年に始まった公共交通機関のCNG化だった。
これはガソリンより環境にやさしいCNG(圧縮天然ガス)を燃料とするというもので、デリーなどの大都市から規制が始まった。

インド、CNG燃料で走るオートリキシャ

これが大気汚染の切り札になるかと思われたのだが・・・

しかしそんな対策も、車の普及のスピードには追い付かなかったようである。
燃料を変えても内燃機関を使用している限り、この大気汚染は止められないのだろう。ついにインド政府はこの6月(2017年)、2030年までに電気自動車以外の車両販売を中止すると発表したのだった。

まあその実現の可否は別にしても、すでにデリーでは数年前から電動のオートリキシャが走り始めている。
でも私は従前の(特に古いタイプの)オートリキシャが好きなので、ここでは特に紹介して来なかっただけなのだ。
でまあ、今さらではあるが、これがその電動式オートリキシャである。

デリーの電動式オートリキシャ

はたして救世主となるかどうかはわからないが、いずれは全部これに置き換えられるのだろう。

ドライバー氏のなんと晴れがましい笑顔であろうか。自分が新しい時代の担い手であることを自覚しているようである。

でもインドでは環境にやさしい乗り物はもっともっと昔からある。

上の写真でも右端に写っているが、自転車を改良したサイクルリキシャである。
これならいくら走っても、出るのは漕ぎ手の汗と息、それからウ〇コくらいなので、それほど環境に悪くない。

そしてもう一つ、やはり上の写真の右奥に写っている赤い丸の書かれた看板なのだが、これはデリーメトロの駅を示すものである。

デリーメトロは2002年から営業を始めた電車である。
開業当初は路線も限定的だったこともあり、車内はいつもガラガラだったが、今ではラッシュ時の主要駅では乗り切れないほどの乗客でごった返している。
とにかく今やデリーメトロは庶民の重要な足となり、他の大都市でも同様の路線建設が進んでいるので、少しは車離れにつながることであろう。

インドのデリーメトロ

これはもうラッシュアワーが終わったあとのホーム。

とまあ、なかなか大気汚染の進行を食い止めるまでには至らないインドであるが、その一方でまだまだ人力や動物の動力なども使用されており、そうした新旧入り混じった対策を進めて行けば、きっと今にきれいな空を取り戻すことができるのではないかと、かなりの期待を込めてそう信じたい。

まあ所詮私は、ちょっとふり向いてみただけの異邦人ではあるのだが。

木彫りのガネーシャ

とにかく今をしっかり生きよう:インドのバイク型三輪車

グジャラートに行くと、こうした乗り物をよく見かける。

インドのバイク型三輪トラック

グジャラートではこうしたタイプの貨物車が活躍している。

オートバイの後ろに荷台を取り付けたものなので、ここでは「バイク型三輪」と呼ばせていただくが、バイクの「バイ」は二つという意味なのでちょっと変と言えば変なのだ。かといって「トライク」ではイメージが違い過ぎる。とにかくそこにこだわっていると先に進めないので、気にしないで話を進める。

さて、この乗り物は見ての通り貨物用である。
ここは街中なので袋に入った商品を積んでいるが、農村部では畑の収穫物を山積みにして走っていたりする。そういう姿を見ると、こいつは耕運機のようにも見える。

インドのバイク型三輪トラック

毎日様々な荷物がこれに積まれ、どこかへ運ばれて行く。

あくまでもこれは実用車であるので、たいていはあまりきれいではない。
しかし中には愛車をきれいに飾り付けている、グジャラート版トラック野郎もいる。

インドのバイク型三輪トラック

大切な愛車をきれいに飾りたいというのは万国共通の思いなのだ。

でも貼り付けられている絵は神様のようで、さすがに八代亜紀や工藤静香はないようだ。

インドのバイク型三輪トラック

やはりピカピカ光るパーツは飾りつけのマストアイテムなのだろう。

また、エンジンには「 ROYAL ENFIELD(ロイヤル・エンフィールド)」のロゴが付いている。

インドのバイク型三輪トラックのエンジン

エンジンはロイヤル・エンフィールドというロゴが付けられている。同じエンジンがオートバイにも使われているのか。

ロイヤル・エンフィールドはもともとイギリスの会社であり、20世紀初頭にはもうオートバイの生産を始めていたそうである。
しかしその後、幾多の紆余曲折の果てにイギリスの会社はなくなり、現在はインドで生産され続けているというオートバイである。

インドのバイク、ロイヤル・エンフィールド

これはオートバイの写真である。ロイヤル・エンフィールドのバイクはクラッシックで実にかっこいいのだ。

もしかしたらバイクに搭載しているのと同じタイプのエンジンなのかもしれないが、バイクのものとは決定的に違うのがスターターである。
見るとキック式のスターターも付いているようだが、なんといってもむき出しのプーリー(滑車)が目につく。

インドのバイク型三輪トラックのエンジン

エンジンをスタートさせるプーリーが懐かしい。

そう、このプーリーに紐を巻き付け、勢いよく紐を引っ張ることでエンジンをかけるのである。
日本でも自家発電機やチェーンソーなどで同じ仕組みのスターターが使われているが、それは紐が巻き取られるリコイル式というものである。その点こちらは昔懐かしいロープスターターで、ここだけみるとやはり耕運機のようなのである。

先にも述べたように、これはあくまでも貨物用の車である。
しかしそこはインド、人も乗ってしまう。まあ日本でも昔は刈り取った稲を耕運機に満載し、その上に人が乗るなんていうのはごく当たり前の光景だった。

で、これはジュナーガルの観光名所、ウパルコート砦のそばに停まっていたバイク式三輪である。こいつは先ほどこの荷台に観光客を満載して坂を上って来たのである。
そして今は荷台の頭上に作られた仮設網棚に置かれた荷物を、運転手が見張りながら客の帰りを待っているというわけである。

インドのバイク型三輪貨物

運転手のおっさんは乗客の大切な荷物も守る。

そんな風に貨物用に、そして乗用にと大活躍のバイク型三輪であるが、どうもその栄光にも暗い影が忍び寄って来ているようなのだ。

下の写真は三年前(2013年)のウパルコート前のものであるが、当時はここに観光客を乗せて来たバイク型三輪がたくさん停まっていた。

インドのバイク型三輪貨物

3年前はバイク型三輪貨物も乗客をたくさん運んでいた。

ところが2016年に行った時には、バイク型三輪の姿は一台もなく、オートリキシャがたくさん停まっているだけだった。

インドのバイク型三輪貨物

オートリキシャもバイク型三輪と比べるとモダンに見える。

これはもしかしたら何らかの法的規制ができたか、または庶民の生活向上に伴う「荷台に乗るのはいやだよお」気運の高まりによるものに違いない。
まあいずれにしても、バイク型三輪の乗り合い仕様は、オートリキシャに押されて次第に姿を消しているようである。

しかし所詮この世は無常、栄枯盛衰である。
そのオートリキシャもデリーでは徐々に電動式の新型車に置き換えられつつある。

こうしてだんだんインドならではの面白いものが無くなって行ってしまうが、まあそれが時の流れというものなのだろう。

追うものも、いつかは追われるものになる。 なのだ。

インド先住民族の工芸品ドクラ